薬物の漸増方法

 線維筋痛症に有効な薬物の投与方法は大きく分けて二通りです。初回投与量が最大投与量であるノイロトロピン、ラフチジンなどと、初回投与量から漸増する薬です。後者の方が圧倒的に多いのです。
 後者の代表がアミトリプチリン(商品名トリプタノール)です。5mgから開始し、30mgまでは1週間に5mgずつ漸増、30mgを投与し副作用も、鎮痛効果もなければ以後は1週間に10mgずつ漸増。30mgを投与した時点で副作用か鎮痛効果が出れば50mgまでは1週間に5mgずつ漸増。50mgからは1週間に10mgずつ漸増。50mgまでは夕食後または就寝前投与にしてください。眠気が起こるからです。50mgを超えたら朝食後、昼食後、夕食後の投与もせざるを得ませんが、夕食後や就寝前の投与を多くしてください。子の投与方法は、国際疼痛学会が推奨する投与方法より遅いのですが、トリプタノールの使用に慣れていない医師はこのくらいゆっくりと増量した方が安全です。抗うつ薬、抗痙攣薬の中でアミトリプチリンを最初に使用する場合が多いため、患者さんの反応を見る必要もあります。抗うつ薬、抗痙攣薬を5,6種類使用すれば、副作用に強いか弱いか、どのような副作用が出やすいかがある程度わかります。そのため、抗うつ薬、抗痙攣薬の中で最初に使用する薬はゆっくり増量した方がよいと思います。
 上限量を投与せず、無効と判断しないで下さい。ただし、トリプタノールの上限量は300mgですが、心毒性を危惧し、私は150mgを上限量にしています。
 副作用でギブアップして中止したり減量する場合、150mgを1週間投与しても鎮痛効果がなく婿と判断する場合には1日10mgずつ減らすように患者さんに説明しています。これ以上の速度で減量することは危険です。国際疼痛学会などの公的団体は減量の速度を定めていません。科学的根拠に基づいてそれを定めた報告もありません。子の減量方法は私の経験による減量方法です。不都合があれば、変更されればよいと思います。
 ただし、高熱、口の中に潰瘍ができたなどの症状があればこれより急速に減量する必要があります。その場合には、医師に連絡する必要があります。トリプタノールの減量中に次に使用する薬物と一時的に重なってもかまいません。
 トリプタノールの主な副作用は、眠気、めまい、ふらつき、のどの渇き、尿が出にくくなる、便秘、動悸です。トリプタノールの副作用は患者自身が気づきやすく、気づいたらほぼ間違いなく医師に伝えるため、慢性痛の薬物治療に慣れていない医師が処方しやすいと思います。
 副作用と、鎮痛効果が出た場合には最適な投与量は患者さんに決めてもらっています。
 トリプタノールは緑内障患者には投与禁忌です。ただし、緑内障によってトリプタノールが使用できない場合、その他にも使用できなくなる薬があります。それらの薬は重要な薬です。そのため、「緑内障」と患者さんが申告した場合には全員眼科に紹介しています。トリプタノールを使用可能な緑内障が存在します。
 トリプタノールの使用ができればその他のほとんどの薬を使用できます。漸増、漸減、上限量を使用せず無効と判断しない、の三つが重要です。
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by fibromyalgia11 | 2011-06-19 16:57 | FMの薬物治療総論
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世界標準の線維筋痛症を専門家が説明します


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