人口の20%が線維筋痛症のグレーゾーン

 線維筋痛症の有病率は報告によりかなり異なりますが先進国では約2%と推測されています。これは一時点での有病率です。線維筋痛症かどうかの境界領域の人は症状が強い時には線維筋痛症の基準を満たしますが、症状が軽い時にはその基準を満たしません。そのため、真の有病率は2%より少し多いかもしれません。
 慢性広範痛症の基準は通常1990年にアメリカリウマチ学会が報告した線維筋痛症の分類基準に記載されたchronic widespread painが用いられます。つまり身体5か所(右半身、左半身、上半身、下半身、体幹部)に3か月以上の痛みがある場合です。つまり線維筋痛症は慢性広範痛症に含まれます。他の疾患で症状が説明できる場合には通常慢性広範痛症とは診断されません。慢性広範痛症の有病率は5-18%と差が大きいのですが、線維筋痛症込みで約10%と判断することが妥当です。
 身体の4か所や3か所に3か月以上の痛みがある場合には、通常chronic regional pain(
慢性局所痛症)と診断されます。他の疾患で症状が説明できる場合には通常慢性局所痛症とは診断されません。慢性局所痛症の有病率は慢性広範痛症の有病率の1-2倍と報告されています。
 肩こりや腰痛症と慢性局所痛症の区別はあいまいです。通常の肩こりのみの範囲や通常の腰痛症のみの範囲を超えると慢性局所痛症と診断することが一般的です。肩こりと腰痛症の両方があれば、通常は慢性局所痛症あるいは慢性広範痛症です。
 通常、肩こりや腰痛症から慢性局所痛症、慢性広範痛症を経由して線維筋痛症が発生します。世界では、線維筋痛症の治療を行っている医療機関では通常慢性広範痛症に大しても通常線維筋痛症の治療を行っています。慢性局所痛症、慢性広範痛症に対して線維筋痛症と同じ治療を行えば線維筋痛症以上の治療成績を得ることができます。
 つまり、人口の少なくとも20%は線維筋痛症あるいはそのグレーゾーンであり、その人たちに線維筋痛症の治療が有効です。この患者数は膨大すぎます。腰痛、肩こり、慢性痛を論じる際、線維筋痛症を無視することは、戦国時代を論じる際豊臣秀吉を無視することと同様です。日本ではそれが行われています。
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by fibromyalgia11 | 2011-09-04 14:47 | FMの疫学
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世界標準の線維筋痛症を専門家が説明します


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