抗不安薬による常用量依存の恐ろしさ


 抗不安薬は依存を引き起こすことが大きな問題です。依存と聞くと薬の効果が徐々に減少し、使用量が漸増するイメージがあります。しかし、抗不安薬は通常そのようなことは起こりません。ただし、使用量を減らすと吐気などの不愉快な症状が出るため減らすことが困難です。つまり、薬を減量しようとしなければ何も問題は起こりません。つまり依存が起こっていることに気が付かれにくい「静かな依存」です。ただし、時には使用量が漸増してしまう場合もあります。
 また、抗不安薬の依存は通常の臨床使用量であっても起こります。そのため常用量依存といわれます。抗不安薬を使用する必要がなくなった場合でも、常用量依存になると中止が困難です。つまり、生涯病院に通院する必要があります。高血圧に対して降圧薬を使用している場合、減量などにより血圧が下がった場合、降圧薬は不要になります。この場合、降圧薬はすぐに中止できます。
 抗不安薬を長期使用すると様々な副作用が起こります。骨折や転倒の増加、運動機能の低下、交通事故の増加、情報処理能力の低下、理解力の低下、認知機能低下、抑うつ頻度の増加や抑うつ症状の悪化、新たな骨粗しょう症の発生、女性における死亡率の増加などが起こります(根拠となる論文は「線維筋痛症がわかる本」を参照して下さい)。問題はこれらの副作用は長期間経過して起こるため、個々の患者に起こっても「個人の不注意」、「歳のせい」で片付けられてしまいます。医師も気がつきません。論文を読んではじめてその怖さが分かります。気が付かれにくい副作用であり、気が付いた時にはたとえ中止しても回復することが困難であり、気が付いた時には中止が困難という点でこれらの副作用はとても恐ろしい副作用です。
 日本の抗不安薬の使用量は世界的に突出して多いのです。
 抗不安薬の中でも作用時間が短く、薬効の強いエチゾラム(デパスなど)は依存を引き起こしやすいのです。日本ではエチゾラムが抗不安薬の中で最も頻繁に処方されます。
 抗不安薬を処方すると痛みや不安がすぐになくなるため、医師は患者さんから感謝されます。そこに落とし穴が待っています。生涯病院通いする必要が生じます。線維筋痛症の痛みや不眠には抗不安薬を使用すべきではありません。
 抗不安薬はその名の通り不安障害に処方する薬です。しかし、抗不安薬を治す根本的な治療薬は抗うつ薬です。1年以上投与すると不安障害が治癒することがあります。しかし、抗不安薬の場合には投与期間のみ薬効があり、何年投与しても不安障害を治癒させる効果はありません。抗うつ薬が効果を発揮するまでに2,3か月かかるため、抗不安薬はその間の一時しのぎで処方すべきです。抗不安薬の効果は即日現れます。
 抗不安を半年以上使用するのであれば前述の副作用を説明すべきですが、それがなされることはほとんどありません。
 抗不安薬の常用量依存の恐ろしさを知らない医師が日本には多いことは大問題です。多くの精神科医や心療内科医も抗不安薬の常用量依存の恐ろしさをあまり知らないようです。
 抗不安薬を中止する場合には漸減する必要があります。主治医と相談して減量してください。

 私は痛みの治療をしており、痛みのある人が抗不安薬を飲んでいる場合にはそれを漸減後中止する治療をしています。しかし、痛みがなく抗不安薬を飲んでいる人においてそれを中止する治療はしていません。痛みがなく抗不安薬を飲んでいる人の治療は抗不安薬に対して私と同じ意見を持っている精神科医に依頼しています。

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by fibromyalgia11 | 2011-09-25 18:12 | 抗不安薬の常用量依存
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世界標準の線維筋痛症を専門家が説明します


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