外傷後に発生したCRPSに関する裁判

 複合性局所疼痛症候群(CRPS)は9割以上患者で外傷(手術、点滴、採血、針をさす医療行為を含む)後に発症します。捻挫や打撲傷などごく軽度の外傷後もCRPSが発症します。外傷の程度とCRPSの症状の程度には何ら関連がありません。捻挫や打撲傷を受傷した患者の中でCRPSが発症する患者はごくわずかです。恐らく、CRPSになりやすい要因(女性という性別など)がある人に外傷が加わってCRPSが発症したと推測しています。たとえCRPSになりやすい要因(女性という性別など)があったとしても外傷がなければCRPSは発症しなかったと推測されます。これは私の個人的な考えですが、裁判官も同様の考え方を通常しています。
 医療行為後にCRPSになり裁判になることがあります。通常は医療行為がCRPS発症の原因あるいは原因の一つと見なされます。しかし、神経に針が刺さった場合を除けば、医療行為そのものには過失がないと判定されることが多いように思います。神経に針が刺さった場合を医療側の過失とすることが適切かどうかはここでは述べません。手術によりCRPSが発症したことを過失と見なすと手術そのものをすべて中止せざるを得ません。つまり、手術後にCRPSが発症した場合、因果関係は通常認められますが過失とは認められません。
 ただし、適切な治療が行わなければ医療側の過失と見なされ、1000万円以上の損害賠償が認められます。医療行為ではない外傷の場合も、適切な治療が行われないと医療側の過失とされます。
 素因減額という概念があります。CRPSになりやすい要因のある人にCRPSが起こったのであるから素因の分だけ損害賠償額を減額するという理論です。最高裁は首長事件で素因減額を否定しています。首が長い人が頚椎捻挫になっても素因減額しませんでした。しかし、素因減額は頻繁に行われています。

 線維筋痛症もCRPSと類似しています。しかし、外傷後に発症した人の割合は半数以下です。線維筋痛症の場合、外傷とは通常交通事故後の外傷です。裁判官は因果関係に関してはCRPSの場合と同様に考えるようです。CRPSと異なり、適切な治療が行われなくても医療側は過失を現時点では問われません。

 PTSDも同様と思います。同程度に怖い思いをした人でも全員がPTSDになるわけでもありません。なぜPTSDが起こるのか完全に分かっているわけではありません。しかし、外傷後にPTSDが起こった場合には因果関係が通常認められます。PTSDでは因果関係が認められ、線維筋痛症では因果関係が認められないことはおかしなことです。
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by fibromyalgia11 | 2011-10-30 11:11 | 複合性局所疼痛症候群
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世界標準の線維筋痛症を専門家が説明します


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