痛み治療は軽視されている
医師は万能ではない。自分が対処できることは自分が治療すべきであるが、自分が不得意な領域は専門家に紹介することが求められている。あまりにも程度の低い治療を行うと、患者さんが最新の治療を受ける機会を失ってしまう。人々が医療機関を受診する症状の中で最も頻度が多い症状は、おそらく痛みである。ほとんどの医師が適切な痛みの治療を行っていないが、専門家に紹介することはほとんどない。鎮痛薬としてのアセトアミノフェン、アミトリプチリン、SSRIの使用方法を尋ねたのみで、痛み治療の実力はほぼわかる。
患者も、神経ブロックを用いない痛みの治療を軽視している。詳細をここに書くことはできないが、痛みの治療が一般人にどのように思われているかがよくわかる。
一つの疾患に対する投薬を二つ以上の医療機関で受ける人は通常いない。高血圧に対する薬を2か所の医療機関でもらう人はいないはずだ、しかし、痛みの治療ではそれは珍しくない。私が痛みの治療をしていてもいつの間にか他の医療機関で鎮痛目的の投薬が行われることが時々ある。その場合には、通常その医療機関に痛みの治療を依頼している。