薬を飲んだら死亡する危険性がごくわずかに増加する

 私は線維筋痛症あるいはその不完全型の患者さんの治療を行なう場合全員に、「薬を飲んだら死亡する危険性がごくわずかに増加する」と説明しています。この説明によって少なくない人が治療を希望しません。
 この説明により治療を受ける患者数が確実に減っています。それにより治療を受ける患者さんの治療時間を十分にとることができます。初診患者の制限も全くしていません。初診患者の待ち期間はほぼゼロ(診察日が限定されているための待ち期間は除く)です。使用する薬を変更する可能性がある間は最低でも1か月に1回の受診を義務付けています。それができない人は治療を断っています。
 意図したわけではありませんが、この説明を行い始めてからは患者さんとのトラブルが減りました。大変残念なことですが、線維筋痛症患者にはモンスターと言われる患者さんの割合が多いのです。厳密に言うと線維筋痛症に合併しやすい精神疾患が原因でモンスターと言われる患者さんが多いのですが、一般的には線維筋痛症患者にはモンスターと言われる患者さんの割合が多いとみなされてしまいます。
 「薬を飲んだら死亡する危険性がごくわずかに増加する」は「人間は必ず死ぬ」と同程度の当たり前のことなのです。しかし、医師は薬を処方する際にはこの当たり前のことを説明しません。しかし、私は説明しています。線維筋痛症の薬物治療はほとんどの場合、適用外処方となるからです。各薬は使用する疾患が決められています。抗うつ薬はうつ病に使用するなどです。しかし、抗うつ薬を鎮痛目的で使用するなど、厚生労働省が決めた疾患以外に使用することを適用外処方と言います。適用外処方は原則禁止なのですが線維筋痛症ではこれをしないと治療成績が向上しません。適用外処方を行い死亡などの重篤な副作用が出た場合、医師は大変なことになります。大野病院事件(妊婦に異常があり手術を行い、妊婦が死亡)では医師は証拠隠滅の可能性がなくても(カルテが押収されたので証拠隠滅は不可能)、逃亡の可能性がなくても(このような状況で医師が逃亡することはあり得ない。私の先輩は戦時中南方の島で行方不明になりましたが、後に戦死と判明。)逮捕されます。この医師はその後裁判で無罪になりましたが、それまでの数年は医業につくことはできませんでした。私がそのようなことになれば患者さんは治療の場を失います。私は経済的に破綻し子供は退学になります。薬の副作用で死亡した場合、患者の家族から告訴(告発?)されるか、告訴されないかは大きな問題です。遺族と話をする際に、「薬を飲んだら死亡する危険性がごくわずかに増加する」という説明をしたことを遺族に話せば、告訴される確率が減ると考えています。
 実はほとんどすべての薬を飲むと死亡する危険性は増加します。当然です。化学物質を飲むのですから。エビやソバを食べても死亡する人がいます。テレビのコマーシャルで有名な風邪薬でも死亡する人がいます。ちなみに薬局で普通に売っている風邪薬でも毎年死者が出ており、その何倍もの人が視力の極端な低下などの作用に苦しんでいます。高血圧や糖尿病の薬はそれを飲むことにより寿命が延びるため、副作用死があっても差し引きすれば寿命は延びます。しかし、鎮痛薬の場合には寿命が延びることはないとは言いませんが、それはわずかです。そのため差し引きすると寿命は短くなってしまいます。
 ビタミン剤は実はビタミン剤ではありません。重量割合から考えればビタミン以外の不純物の方が圧倒的に多いのです。もし不純物に対してアレルギーがあれば死亡する可能性は否定できません。
 実はほとんどすべての医師は適用外処方を行っています。通常の鎮痛薬の場合、胃潰瘍の副作用予防のために胃薬を当初から併用する場合が多いのです。胃薬を使用するため、「胃潰瘍」という病名をつけます。厳密にいうとこれはルール違反であり、適用外処方です。胃潰瘍と言う病気があれば「胃潰瘍」という病名をつけることができますが、胃潰瘍がないにもかかわらず胃潰瘍を予防するために「胃潰瘍」という病名をつけることは、ルール違反であり、適用外処方なのです。予防投与が認められている胃薬は少数ありますが、副作用が多いためPPI(プロトンポンプ阻害薬)やムコスタが使用されることが多いのですが、それらの薬は予防投与することが認められていません。
 うつ病の薬を鎮痛薬として使用することも、ルール違反であり、適用外処方です。しかし、痛みのためにうつになったため、そのうつを治療するために抗うつ薬を使用したと言い訳をすることができます。しかしメジコンは慢性気管支炎の薬であり、ガバペンはてんかんの薬です。言い逃れはできません。
 「薬を飲んだら死亡する危険性がごくわずかに増加する」を受け入れられない人は、ほとんどの薬を飲めません。それは現代医療の恩恵を受けられないこととほぼ同じ意味です。さらに言えば自動車、電車、飛行機の乗ることもできなくなります。それらを利用すると事故死する危険性がごくわずかに増えてしまいます。
 「薬を飲んだら死亡する危険性がごくわずかに増加する」を受け入れられない人の価値観を私は理解できません。しかし、なぜ「薬を飲んだら死亡する危険性がごくわずかに増加する」を受け入れられない人と受け入れられる人に分かれるのでしょうか。ほとんどすべての薬には死亡する危険性があることがわかる人とそれがわからない人がいることが一因と考えています。また痛みにどの程度困っているかも一因と考えています。それほど痛みが強くなければ死亡する危険性を冒したくないが、痛みが強ければわずかな死亡の危険性を冒してもよいと考えるのかもしれません。しかし、「薬を飲んだら死亡する危険性がごくわずかに増加する」を受け入れられない人がすでに多くの薬を飲んでいる価値観は私には理解できません。
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by fibromyalgia11 | 2015-10-12 11:45 | FMの雑感
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世界標準の線維筋痛症を専門家が説明します


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