カテゴリ:複合性局所疼痛症候群( 131 )


外傷後に発生したCRPSに関する裁判

 複合性局所疼痛症候群(CRPS)は9割以上患者で外傷(手術、点滴、採血、針をさす医療行為を含む)後に発症します。捻挫や打撲傷などごく軽度の外傷後もCRPSが発症します。外傷の程度とCRPSの症状の程度には何ら関連がありません。捻挫や打撲傷を受傷した患者の中でCRPSが発症する患者はごくわずかです。恐らく、CRPSになりやすい要因(女性という性別など)がある人に外傷が加わってCRPSが発症したと推測しています。たとえCRPSになりやすい要因(女性という性別など)があったとしても外傷がなければCRPSは発症しなかったと推測されます。これは私の個人的な考えですが、裁判官も同様の考え方を通常しています。
 医療行為後にCRPSになり裁判になることがあります。通常は医療行為がCRPS発症の原因あるいは原因の一つと見なされます。しかし、神経に針が刺さった場合を除けば、医療行為そのものには過失がないと判定されることが多いように思います。神経に針が刺さった場合を医療側の過失とすることが適切かどうかはここでは述べません。手術によりCRPSが発症したことを過失と見なすと手術そのものをすべて中止せざるを得ません。つまり、手術後にCRPSが発症した場合、因果関係は通常認められますが過失とは認められません。
 ただし、適切な治療が行わなければ医療側の過失と見なされ、1000万円以上の損害賠償が認められます。医療行為ではない外傷の場合も、適切な治療が行われないと医療側の過失とされます。
 素因減額という概念があります。CRPSになりやすい要因のある人にCRPSが起こったのであるから素因の分だけ損害賠償額を減額するという理論です。最高裁は首長事件で素因減額を否定しています。首が長い人が頚椎捻挫になっても素因減額しませんでした。しかし、素因減額は頻繁に行われています。

 線維筋痛症もCRPSと類似しています。しかし、外傷後に発症した人の割合は半数以下です。線維筋痛症の場合、外傷とは通常交通事故後の外傷です。裁判官は因果関係に関してはCRPSの場合と同様に考えるようです。CRPSと異なり、適切な治療が行われなくても医療側は過失を現時点では問われません。

 PTSDも同様と思います。同程度に怖い思いをした人でも全員がPTSDになるわけでもありません。なぜPTSDが起こるのか完全に分かっているわけではありません。しかし、外傷後にPTSDが起こった場合には因果関係が通常認められます。PTSDでは因果関係が認められ、線維筋痛症では因果関係が認められないことはおかしなことです。
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by fibromyalgia11 | 2011-10-30 11:11 | 複合性局所疼痛症候群

免疫調整薬の効果の系統的総説

免疫調節薬の効果の系統的総説。39の論文。理論的には免疫調節薬の使用は炎症を抑え障害のある手や足の機能を改善する。しかし、より質の高い研究が必要。
Effect of Immunomodulating Medications in Complex Regional Pain Syndrome: A Systematic Review.
Dirckx M, Stronks DL, Groeneweg G, Huygen FJ.
Clin J Pain. 2011 Oct 13. [Epub ahead of print]
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by fibromyalgia11 | 2011-10-22 15:01 | 複合性局所疼痛症候群

ケタミン点滴の効果

49人の患者に369回の外来でのketamine点滴を行い、後ろ向き研究。データがないため36回の点滴は除外。18人(37%)はCRPS.残りの31人31 (63%)のうち, 8人は難治性頭痛、7人はひどい背部痛。全員VASが有意に低下、5.9 (standard error [SE] 0.35). CRPSの患者ではVASの低下は7.2 (SE 0.51, P<0.001); 他の疾患ではVASの低下は5.1 (SE 0.40, P<0.001). 群間の差の2.1は有意(SE 0.64 P=0.002). 29人の患者では疼痛改善の期間を記録。the Bernoulli modelを用いると, 難治性の疼痛状態患者での疼痛改善の持続の確率は90%信頼区間で59-85% (3週以上では23-51%). 副作用はわずかであった。

Efficacy of Outpatient Ketamine Infusions in Refractory Chronic Pain Syndromes: A 5-Year Retrospective Analysis.
Patil S, Anitescu M.
Pain Med. 2011 Sep 21. doi: 10.1111/j.1526-4637.2011.01241.x. [Epub ahead of print]
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by fibromyalgia11 | 2011-09-27 22:05 | 複合性局所疼痛症候群

交感神経ブロックはSympathetically maintained pain の診断に有用か

Sympathetically maintained pain (SMP)。経験豊富な麻酔科医が19人の患者(SGBや胸部交感神経ブロック11人、腰部交感神経ブロック12人)。痛みの程度をブロック前、ブロック後10分、30分、1時間、3時間、6時間で調べた。両側の皮膚温をブロック前30分、ブロック後120分まで測定、冷却、加温、接触、振動刺激の閾値をブロック前後に調べた。結果:23回のブロック中10回(43%)ではSMPの診断には適さなかった(4回は皮膚温上昇が不十分、6回は痛い部位での冷却と接触の閾値が増加した)。11回のブロックでは感覚閾値は有意には変化せず。2人では冷却と接触の閾値が顕著に低下した。SMPは少なくとも1つのブロックにより併用した体性感覚ブロックなしで皮膚温の増加が起こった12人中1人(25%)で診断可能であった。結果:交感神経ブロックはSMPの診断に有用であった。しかし擬陽性(故意ではない感覚ブロック)や擬陰性(不十分な交感神経ブロック)の可能性があるためその価値は限定的。SMPの適切な診断を行うためには、ブロック後少なくとも90分間の交感神経機能と体性感覚機能の適切なモニターが必要。

Are Sympathetic Blocks Useful for Diagnostic Purposes?
Krumova EK, Gussone C, Regeniter S, Westermann A, Zenz M, Maier C.
Reg Anesth Pain Med. 2011 Sep 20. [Epub ahead of print]
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by fibromyalgia11 | 2011-09-27 20:48 | 複合性局所疼痛症候群

切断は複合性局所疼痛症候群の有効な治療か

手の舟状骨骨折後CRPSになり9年後最後の手段として手を切断した症例。

Handchir Mikrochir Plast Chir. 2011 Oct;43(5):307-12. Epub 2011 Sep 20.
[Amputation of the hand as last resort in severe complex regional pain syndrome].
[Article in German]
Hohendorff B, Mühldorfer-Fodor M, van Schoonhoven J, Prommersberger KJ.
Klinik für Handchirurgie.

 切断を行って段端部に再び痛みが起こった症例をたくさん知っています。その場合には医学論文としては報告されません。切断によって上手くいった場合のみが報告されます。その偏りを知るべきです。
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by fibromyalgia11 | 2011-09-24 14:30 | 複合性局所疼痛症候群

botulinum toxinの効果

・外来CRPS患者に対するbotulinum toxinの効果を後ろ向きに研究。首あるいは上肢帯の筋肉のけいれん・ジストニアの37人。方法:EMGで誘導しBotulinum Toxin - A (BtxA)注射, 各筋10-20単位. 各患者の総投与量は100単位。BtxA注射4週後に局所痛点数を11点のLikert scaleで測定。結果:平均疼痛点数は43%減少 (8.2 ± 0.8 から4.5 ± 1.1へ減少, P < 0.001). 97%の患者は有意な疼痛軽減. 一人の患者は注射後一時的な首下垂。対照群なし。文献的な総説。

Intramuscular botulinum toxin in complex regional pain syndrome: case series and literature review.
Kharkar S, Ambady P, Venkatesh Y, Schwartzman RJ.
Pain Physician. 2011 Sep-Oct;14(5):419-24.
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by fibromyalgia11 | 2011-09-22 00:00 | 複合性局所疼痛症候群

CRPS発症の前兆

睡眠障害、麻酔薬に反応しない痛み、腫脹、こわばり、痛覚過敏はCRPS発症の前兆。

Complex regional pain syndrome of the upper extremity.
Patterson RW, Li Z, Smith BP, Smith TL, Koman LA.
J Hand Surg Am. 2011 Sep;36(9):1553-62.
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by fibromyalgia11 | 2011-09-03 01:22 | 複合性局所疼痛症候群

ビスフォスフォネート製剤は複合性局所疼痛症候群に有効

・48歳日本人男性がCRPS type I になり、5か月の理学療法やNSAIDにもかかわらず右足関節の激しい疼痛でVAS 59/ 100。レントゲンで著しい局所的なosteoporotic変化と骨シンチで足関節のradioactivityが著しく増加。1か月後経口risedronate(アクトネル:エーザイ) (1日2.5mg)投与, 骨痛はVAS scoreで 59から18に低下. 12か月後の骨シンチはその患者の正常(左足関節)よりも radioactivityは著しく低下。 この結果治療は15か月で中止。32か月の時点で疼痛はほとんどなくなりレントゲンでは局所的な osteoporotic変化は正常になった。別の48歳日本人男性はCRPStype Iになり9か月の理学療法やNSAIDsにもかかわらずVAS83の激しい疼痛が右足に生じた。レントゲンで指骨, 中足骨, 足根骨に局所的なosteoporotic 変化が認められ、骨シンチで足にradioactivityの著しい増加を認めた。経口alendronate(ボナロン、フォサマック) (1週間に35mg)開始1か月で, 骨痛はVAS 83から30になり, 9か月の時点で3になった. 15か月の時点で疼痛が軽減したため治療を中止した。30か月の時点で、疼痛はなく、レントゲンでは局所的なosteoporotic変化は著しく改善した。
Improvement of pain and regional osteoporotic changes in the foot and ankle by low-dose bisphosphonate therapy for complex regional pain syndrome type I: a case series.Abe Y, Iba K, Takada J, Wada T, Yamashita T.
J Med Case Reports. 2011 Aug 4;5(1):349. [Epub ahead of print]
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by fibromyalgia11 | 2011-08-06 21:40 | 複合性局所疼痛症候群

ステロイドと局所麻酔薬による局所静脈内ブロック

・lidocaine とmethyloprednisoloneによる局所静脈内ブロック. 168人の上肢のCRPS-I 患者を5年治療. 治療終了時88%の患者は軽度の疼痛又は無痛。 平均5年の経過観察後(28か月から7 年) 完全な無痛は患者の92%. 急性期の症状は改善。早期発見と早期治療開始が疾患の経過にとって非常に重要であり、それにより症状が改善しやすい。上肢機能がよく満足できる疼痛改善が予測できる。
malizos@med.uth.gr
J Hand Surg Eur Vol. 2011 Jun 30. [Epub ahead of print]
Complex regional pain syndrome type I as a consequence of trauma or surgery to upper extremity: management with intravenous regional anaesthesia, using lidocaine and methyloprednisolone.Varitimidis SE, Papatheodorou LK, Dailiana ZH, Poultsides L, Malizos KN.
Department of Orthopaedic Surgery, University of Thessalia School of Medicine, Larissa, Greece.
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by fibromyalgia11 | 2011-07-08 20:58 | 複合性局所疼痛症候群

CRPSは他の慢性痛より額の痛覚過敏の割合が多い

CRPSでは痛覚過敏は罹患肢から同側の額にしばしば広がる。これが他の慢性痛よりCRPSで頻繁に起こるのかどうか調べるために, 圧迫疼痛閾値と剛毛に対する鋭い痛を額の両側、疼痛部位、反対側でCRPS以外の慢性痛患者 (neuropathic 又はnociceptive肢痛, 下肢へ放散する根性疼痛、帯状疱疹後疼痛r)32人と, 34 patients with CRPS患者34人で評価した。CRPS患者の59%では同側の額で圧迫疼痛に対する痛覚過敏が存在したが、CRPSではない慢性痛では13%のみであった。CRPSに罹患した肢を疼痛を引き起こすような冷水につけると額での圧迫に対する感度が増加し、特に同側の額で増加した。一方健側の肢を水につけると圧迫疼痛に対する額の感度が下がる(健常な対照群よりは効果が少ないが).
The Specificity and Mechanisms of Hemilateral Sensory Disturbances in Complex Regional Pain Syndrome.
Knudsen L, Finch PM, Drummond PD.
J Pain. 2011 Jun 22. [Epub ahead of print]
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by fibromyalgia11 | 2011-07-02 14:05 | 複合性局所疼痛症候群
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世界標準の線維筋痛症を専門家が説明します


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