カテゴリ:FMの疫学( 79 )


慢性広範痛症は乳がんの危険因子らしい

・40-70歳の Stages 0-3(非転移性)の乳がん女性40人。 対照群は年齢を一致させた40人の健常女性。乳がんの女性は健常人より慢性広範痛症chronic widespread painである傾向がある。

Association of fibromyalgia characteristics in patients with non-metastatic breast cancer and the protective role of resilience.
Schrier M, Amital D, Arnson Y, Rubinow A, Altaman A, Nissenabaum B, Amital H.
Rheumatol Int. 2011 Sep 8. [Epub ahead of print]

 非転移性腫瘍なので乳がんが原因で広範な痛みが起こるわけではありません。広範な痛みを感じている人は乳がんになりやすいということです。この研究では有意差はないようですが、過去の報告とあわせると慢性広範痛症は癌の危険因子であろうと推測されます。治療により慢性広範痛症が軽快したら発がん性が減るのかどうかは不明です。
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by fibromyalgia11 | 2011-09-13 21:19 | FMの疫学

人口の20%が線維筋痛症のグレーゾーン

 線維筋痛症の有病率は報告によりかなり異なりますが先進国では約2%と推測されています。これは一時点での有病率です。線維筋痛症かどうかの境界領域の人は症状が強い時には線維筋痛症の基準を満たしますが、症状が軽い時にはその基準を満たしません。そのため、真の有病率は2%より少し多いかもしれません。
 慢性広範痛症の基準は通常1990年にアメリカリウマチ学会が報告した線維筋痛症の分類基準に記載されたchronic widespread painが用いられます。つまり身体5か所(右半身、左半身、上半身、下半身、体幹部)に3か月以上の痛みがある場合です。つまり線維筋痛症は慢性広範痛症に含まれます。他の疾患で症状が説明できる場合には通常慢性広範痛症とは診断されません。慢性広範痛症の有病率は5-18%と差が大きいのですが、線維筋痛症込みで約10%と判断することが妥当です。
 身体の4か所や3か所に3か月以上の痛みがある場合には、通常chronic regional pain(
慢性局所痛症)と診断されます。他の疾患で症状が説明できる場合には通常慢性局所痛症とは診断されません。慢性局所痛症の有病率は慢性広範痛症の有病率の1-2倍と報告されています。
 肩こりや腰痛症と慢性局所痛症の区別はあいまいです。通常の肩こりのみの範囲や通常の腰痛症のみの範囲を超えると慢性局所痛症と診断することが一般的です。肩こりと腰痛症の両方があれば、通常は慢性局所痛症あるいは慢性広範痛症です。
 通常、肩こりや腰痛症から慢性局所痛症、慢性広範痛症を経由して線維筋痛症が発生します。世界では、線維筋痛症の治療を行っている医療機関では通常慢性広範痛症に大しても通常線維筋痛症の治療を行っています。慢性局所痛症、慢性広範痛症に対して線維筋痛症と同じ治療を行えば線維筋痛症以上の治療成績を得ることができます。
 つまり、人口の少なくとも20%は線維筋痛症あるいはそのグレーゾーンであり、その人たちに線維筋痛症の治療が有効です。この患者数は膨大すぎます。腰痛、肩こり、慢性痛を論じる際、線維筋痛症を無視することは、戦国時代を論じる際豊臣秀吉を無視することと同様です。日本ではそれが行われています。
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by fibromyalgia11 | 2011-09-04 14:47 | FMの疫学

頭痛患者における線維筋痛症

頭痛外来の患者889人中FMは174人. 緊張型頭痛群にFMは多い (35%, p<0.0001)、そして慢性緊張型頭痛subtype群中のFM (44.3%, p<0.0001). 頭痛の頻度、不安、頭蓋周辺の圧痛、睡眠の質が悪いこと、肉体的な障害がFMの合併を区別する最も優れた指標であり、81.2%の感度. 慢性片頭痛と慢性緊張型頭痛は最もFMを合併しやすい (Bonferroni test, p<0.01).

J Headache Pain. 2011 Aug 17. [Epub ahead of print]
Clinical features of headache patients with fibromyalgia comorbidity.de Tommaso M, Federici A, Serpino C, Vecchio E, Franco G, Sardaro M, Delussi M, Livrea P.
Neurophysiopathology of Pain Unit, Neurological and Psychiatric Sciences Department, Medical Faculty, Policlinico General Hospital, Aldo Moro University, Neurological Building, Piazza Giulio Cesare 11, 70124, Bari, Italy,
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by fibromyalgia11 | 2011-08-21 15:16 | FMの疫学

抗リン脂質症候群に線維筋痛症は多い

・ブラジル。抗リン脂質症候群◆血栓症や流産などを引き起こす抗リン脂質抗体に関連する疾患◆【略】APS
一次性抗リン脂質症候群primary antiphospholipid syndrome (PAPS).症例対照研究には30人の PAPS 患者(the Sapporo基準)と40人の健常者. 人口動態的または臨床的データ, 薬の使用, および抗リン脂質抗体を調べた。FMはACR基準で診断. the Short Form 36 Health Survey (SF-36), Beck Depression Inventory (BDI), FIQを含む生活の質のアンケートとVASを調べた。PAPS患者と対照群の平均年齢、性別、白人の割合は同じ。平均罹病期間は5.4 ± 4.2年. PAPS 中FMの診断は5人 (16.7%) であり対照群では一人もいなかった(p = 0.012). PAPS 患者の方が広範な疼痛の割合が多く(各々53% vs. 0% , p < 0.0001),11以上の圧痛点の割合が多く (各々23% vs. 5%, p = 0.032),圧痛点の総計が多く (各々75 vs. 57, p < 0.0001) 患者一人当たりの圧痛点の数の中央値が多い(各々5 [0-18] vs. 0 [0-11], p < 0.0001). 対照群よりPAPS患者はSF-36のすべての値が低く, FIQ scoresが高く, BDI scoresが高く, BDI resultsの結果で診断された抑うつの割合が多く, VASが高い。FM を合併しないPAPSと比べてFMを合併したPAPSは人口動態的特徴や血栓症の出来事や臨床的な出来事には有意な差はなかったが、FM を合併したPAPS患者はSF-36 dimensionsが低く、FIQが高く (各々82.6 ± 9.6 vs. 33.6 ± 29.8, p < 0.0001) 、VAS scoresが高い(各々6.6 ± 2.97 vs. 3.25 ± 3.11, p = 0.03). BDI scoresは両群で同程度。
omyalgia in primary antiphospholipid syndrome.
Costa SP, Lage LV, Mota LM, de Carvalho JF.
Lupus. 2011 Aug 3. [Epub ahead of print]
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by fibromyalgia11 | 2011-08-06 21:20 | FMの疫学

国内学会と国際学会の一般演題における線維筋痛症、慢性広範痛症、複合性局所疼痛症候群の演題数の比較

日本ペインクリニック学会43、44回大会と12th 、13th World Congress on Painの一般演題における線維筋痛症、慢性広範痛症、複合性局所疼痛症候群の演題数の比較
 2010.7.21-23 松山市
 廿日市記念病院リハビリテーション科
  戸田克広 

【目的】日本と世界の学会における線維筋痛症(FM)、慢性広範痛症(CWP)の普及度を調べた。【方法】日本ペインクリニック学会43、44回大会(国内学会)と12th 、13th World Congress on Pain(国際学会)の一般演題におけるFM、CWP、複合性局所疼痛症候群(CRPS)の演題数を比較した。両学会の一般演題の演題名にFM、CWP、CRPS又は反射性交感神経性ジストロフィー(reflex sympathetic dystrophy)が入っている演題数を調べた。【結果】国内学会の一般演題620演題中、FMの演題は7題(1.1%)(3題が演者の演題)、CWPの演題が2題(0.3%)(2題はFMの演題と同一でありすべて演者の演題)、CRPSの演題が30題(4.8%)であった。国際学会の一般演題3309演題中、FMの演題は114題(3.4%)、CWPの演題が9題(0.3%)(2題はFMの演題と同一)、CRPSの演題が68題(2.1%)であった。【考察】FMやCWPはcentral sensitivity syndrome(中枢性過敏症候群)の典型であり、FMの有病率は約2%、FMを含むCWPの有病率は約10%と推測されている。世界におけるFMやCWPの重要性と日本での現状は両学会におけるCRPSとFM、CWPの演題数の差に反映されている。
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by fibromyalgia11 | 2011-07-23 21:51 | FMの疫学

自殺未遂

FM患者に調査票を郵送。180人から回答あり。13人(16.7%)が1-3回の自殺企図(自殺未遂)を報告。服毒自殺が自殺未遂の最も多い方法 (70%). 自殺未遂者と自殺を図ったことのない者の間では年齢、教育歴、結婚状態は関連がなかったが、就労状態では有意差あり。今回の対象者では自殺未遂者と自殺を図ったことのない者の両方で過去の論文での報告よりPlutchik's suicide scale scoresが高かった。自殺未遂者のFIQRは自殺を図ったことのない者のそれより有意に高かった。FIQRと Plutchik suicide risk scale scoresには強い相関あり。疼痛、睡眠の質が悪いこと、不安や抑うつは自殺の危険性と正の相関。
Suicide attempts and risk of suicide in patients with fibromyalgia: a survey in Spanish patients.
Calandre EP, Vilchez JS, Molina-Barea R, Tovar MI, Garcia-Leiva JM, Hidalgo J, Rodriguez-Lopez CM, Rico-Villademoros F.
Rheumatology (Oxford). 2011 Jul 12. [Epub ahead of print]
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by fibromyalgia11 | 2011-07-16 09:34 | FMの疫学

FM患者には医療費がかかる

外来リハビリ患者(骨粗しょう症、変形性関節症、腰部痛、FM)。自己申告の後ろ向き研究。直接医療費は外来医療サービス、非医療健康サービス、薬剤費、入院費。多変量解析。結果: 医学的適応(p < 0.001), 年齢(p = 0.034) the Short Form-36 (SF-36) role physicalのスケール (p < 0.001), 肉体的機能(p = 0.036), 社会的機能(p = 0.047) そして活力vitality (p = 0.005) は直接の医療の有意な予測因子, 一方FMという診断(odds ratio (OR) = 5.74, 95% CI 2.051-16.066, p = 0.001), the Short-Form 36 (SF-36) scale role physical (OR = 0.988, 95% CI 0.980-0.996, p = 0.002)および合併症(OR = 1.161, 95% CI 1.043-1.292, p = 0.006)は直接の医療費が中央値を統計的に有意に超える決定因子。
Determinants of major direct medical cost categories among patients with osteoporosis, osteoarthritis, back pain or fibromyalgia undergoing outpatient rehabilitation.
Sabariego C, Brach M, Stucki G.
J Rehabil Med. 2011 Jul;43(8):703-708.
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by fibromyalgia11 | 2011-07-08 18:46 | FMの疫学

早産は慢性広範痛症の危険因子かもしれない

前向き研究で18,558人の体重と出生時の妊娠期間を調べた。参加者を妊娠期間(満期産37weeks; 早産 <37week)と出生時体重(十分な出生体重(FBW) ⩾2.5kg; 低出生体重(LBW) 1.5-2.5kg; 超低出生体重 (VLBW) <1.5kg).で階層に分けた。結果:45歳時のアンケートでCWPがあるかどうかを8572 人で調べた。可能性のある要因で補正した。結果:満期産に比べると早期出生はCWPの危険性を高める、ただしこれは有意差はない (risk ratio 1.26, 95% confidence interval 0.95-1.67). 性別、出生時と42歳時の社会階層、出生体重で補正すると、この危険性の増加は確固たるものであるが、子供時代の行動異常や成人時の精神障害で補正すると弱化する。低出生体重はCWPの危険性の増加には関連がなかった (RR 1.01, 95%CI 0.78-1.32). 超低出生体重は有意差はなかったが危険性が増加した (RR 1.48, 0.42-5.22) 、ただしこの関連は他の因子で補正すると不十分な強さであった。
Is there an association between preterm birth or low birthweight and chronic widespread pain? Results from the 1958 Birth Cohort Study.
Littlejohn C, Pang D, Power C, Macfarlane GJ, Jones GT.
Eur J Pain. 2011 Jun 17. [Epub ahead of print]
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by fibromyalgia11 | 2011-06-25 20:48 | FMの疫学

強直性脊椎炎患者の15%が線維筋痛症を合併

改訂ニューヨーク基準で診断した71人の強直性脊椎炎(AS)患者が対象。疾患活動性(BASDAI), 機能障害(BASFI)および生活の質(ASQoL)を調べた。FMと診断された患者はFIQで評価.結果:11人がFMであるためAS患者における有病率は15%. FMは女性患者に多かった(3.8:1). ASが発生した平均年齢は27.5歳. HLA-B27抗原は大部分で陽性 (80.4%). FMを合併しないAS患者に比べてFMを合併するAS患者はBASDAI, BASFI およびASQoLが有意に高い (P < 0.01)。

[Occurrence of fibromyalgia in patients with ankylosing spondylitis.]
Azevedo VF, Paiva ED, Felippe LR, Moreira RA.
Rev Bras Reumatol. 2010 Dec;50(6):646-650. Portuguese.
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by fibromyalgia11 | 2011-06-21 01:18 | FMの疫学
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世界標準の線維筋痛症を専門家が説明します


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