カテゴリ:FMの雑感( 86 )


旧ガイドラインの薬物療法アルゴリズムにエビデンスはなく最大の問題点

CQ8-1 わが国の線維筋痛症に対する薬物療法アルゴリズムの原則は何か

 この章が最も問題になる章である。エビデンスに基づき私が日本線維筋痛症学会に送った原稿は以下の通りである。


医学中央雑誌で「線維筋痛症 AND 薬物 AND アルゴリズム」で調べると該当する論文はなかった。『線維筋痛症診療ガイドライン2013[1]には、FMを筋緊張亢進型、筋付着部炎型、うつ型およびその合併に分け、各型で優先使用すべき薬を指定している。これを日本式GLと呼称する。日本式GLには多くの問題がある。FMのサブグループ分けが行われているが、それらは患者から得たデータに基づき、痛みが強い群と弱い群、あるいは抑うつが強い群と弱い群の様なサググループ分けが行われている。しかしガイドラインのサググループ分けではそれが行われていない。また筋緊張亢進型、筋付着部炎型、うつ型ごとに優先使用すべき薬を指定しているが、指定した根拠のデータが示されていない。例えば、筋付着部炎型でプレドニンやサラゾスルファピリジンが推奨されているが、学術団体が出したFMの治療ガイドラインでプレドニン、サラゾスルファピリジン、NSAIDsを推奨しているのは世界中で日本のみである。炎症を合併しない限り、FMにグルココルチコイドを使用することは禁忌であるが、FMにグルココルチコイドが使用されてしまう根拠になる危険性がある。実は、筋付着部炎型とはFMのサブグループではなく、FMとは異なる疾患である筋付着部炎を合併したFM患者なのである。その患者に、プレドニンやサラゾスルファピリジンを使用しましょうという意味である。癌型(癌合併)FMに抗癌剤を使用しましょう、糖尿病型(糖尿病合併)FMにインシュリンを使用しましょうということと同じである。これでは読者に混乱を引き起こしてしまう。筋付着部炎型にはプレガバリンが推奨されているが、抗うつ薬が推奨されておらず混乱に拍車をかけている。癌型(癌合併)FM、糖尿病型(糖尿病合併)FM、筋付着部炎型の中でなぜ筋付着部炎型のみが取り上げられるのかの根拠が不明である。日本式GLから外して、筋付着部炎型を合併した場合にはプレドニン、サラゾスルファピリジン、NSAIDsを併用しましょうとすればよいのみである。うつ型では抗うつ薬が推奨されているが、これも混乱を引き起こす。うつ病を合併したFMでは抗うつ薬を優先使用すべきであるが、うつ病を合併しないFMでは抗うつ薬を優先使用すべきではないという誤解や、抗うつ薬の鎮痛効果は抗うつ効果によるものであるという誤解を引き起こしてしまう。抗うつ薬の鎮痛効果は抗うつ効果とは独立した直接の鎮痛効果である。つまり日本式GLは「わが国の線維筋痛症に対する薬物治療アルゴリズム」として有名であるが、臨床の現場に混乱を引き起こしている。『線維筋痛症診療ガイドライン2013』を詳細に読めば日本式GLには科学的根拠がないことはわかるが、それがわからない読者は少なくない。FMを認めない日本式医学は世界標準の医学からは乖離しているが、日本式GLを提唱する日本線維筋痛症学会も世界のFMの趨勢から乖離している。日本式GLを堅持するのであれば、科学的根拠に基づきFMを細分化し、各サブグループごとに優先使用する薬が存在するのであればその科学的根拠を提示すべきである。科学的根拠とは万人が閲覧できる論文、書籍である。

日本式GLをわが国のFMに対する薬物治療アルゴリズムとしてはならない。原則的には欧米から出ている薬物治療アルゴリズムと同一にすべきである。「原則的」と述べている理由の一つは、薬物治療アルゴリズムの基礎になる論文に日本語論文が加わること、あるいは日本でのみあるいはほぼ日本でのみ臨床的に使用されている薬の存在である。漢方薬、ノイロトロピン®、イブジラスト(ケタス®)などがそれに該当する。漢方薬は本家(中国)で行われている中医学とは似て非なる物である。

「原則的」と述べている二つ目の理由は薬物治療の優先順位である。欧米の薬物治療アルゴリズムはほとんど論文上の科学的根拠の強さに基づいて形成されている。その方法は公式であり、尊重されるべきである。しかし、その方法では論文と実臨床に乖離が起きている。論文上の科学的根拠の強さにはトリックがある。薬の有効性を示すためには多数の患者を用いた無作為振り分け、二重盲検法が必要である。それは研究に高額の費用が掛かることを意味する。その結果、製薬会社が研究費用を出す研究が多いことを意味する。日本でも騒がれたデータねつ造は論外であるが、製薬会社が研究費用を出した研究は製薬会社に有利に結果になりやすいという事実を否定できない。またNNTにも注意が必要である。NNT3とは3人に使用すれば1人でその薬が有効であることを意味する。しかし、NNTからは偽薬効果を除外しているのである。例えば実薬で50%の人に有効であり、偽薬で40%の人に有効な薬のNNT50%40%の差10%の逆数である10となる。つまりNNT上は10人に1人に有効であるが、実臨床では2人に1人で有効なのである。二重盲検法には興味深い事実がある。実薬が有効な割合は年代にかかわらず一定の傾向があるが、偽薬が有効な割合は年代が新しくなるほど多くなる。つまり古い薬、古い研究はNNTが小さくなりやすい。例えば神経障害性疼痛一般において、アミトリプチリンのNNT2に近いが、プレガバリンのNNTは約10である。しかし、実際に使用した経験では両者にはこれほどの差はない。つまり、有効性の検証には論文上の科学的根拠の強さのみならず、実際に使用した経験が必要である。

当然ながら、製薬会社は薬価が高く自社に利益をもたらす薬の治験は行うが、薬価が安い薬の治験は行わない。その典型がノルトリプチリンである。アミトリプリンが体内でノルトリプチリンに代謝されるため、当然ながらノルトリプチリンはアミトリプリンと類似の鎮痛効果がある。明確なデータはないが、一般的にはノルトリプチリンはアミトリプリンより鎮痛効果も副作用もやや弱いと推定されている。国際疼痛学会は、神経障害性疼痛の薬物治療における一般論としてアミトリプチリンよりノルトリプチリンを優先使用するように勧告している[2]。この点に関しても、実際に使用した経験が必要である。

実臨床で薬の有効性に影響する要因には、論文上の副作用、実際に経験した副作用も加わる。製薬会社の資金が提供された論文の副作用をそのまま信用してはならない。さらに、薬価、適用外処方の程度、日本独特の問題である一律の自動車運転禁止薬も実臨床で薬の有効性に影響する要因に含まれる。FMの治療成績を向上させようとすると適用外処方という規則違反を犯す必要がある。監査が入った場合、「うつ病」であれば言い逃れは可能であるが、「てんかん」や「慢性気管支炎」では言い逃れはできない。また、睡眠薬を含む向精神薬はパロキセチンなどのごくわずかの例外を除いて、例外なく自動車の運転が禁止されている。少なくとも米英の添付文書は、「安全性が確認されるまでは自動車の運転は禁止(つまり安全性が確認されれば自動車の運転は可能)」という主旨の記載である。添付文書の記載を守ると、日本の経済は破綻してしまう非現実的な規則であるが、裁判が起こればそれを遵守しなければ敗訴になってしまう。パトカーを運転する警察官でさえ守っていない規則である。

わが国の線維筋痛症に対する薬物治療アルゴリズムの原則は欧米の薬物治療アルゴリズムと同様の、論文上の有効性の強さの順番に基づいたアルゴリズムであるべきであり、それに日本独自の薬である漢方薬やノイロトロピン®などを追加すべきである。前述したようにそれは学問的には妥当であるが、実臨床とは乖離してしまう。戸田は論文上の有効性と副作用、実際に経験した有効性と副作用、薬価、適用外処方の程度、自動車運転の可否を総合して薬に優先順位をつけて、患者にかかわらずほぼ一律の治療を行なっており、治療成績も報告している[3]。戸田の方法は明確な根拠がなく学問的には妥当ではないが、実臨床には有用である。『線維筋痛症診療ガイドライン2013』がそれを推奨しているように[1]、薬物治療アルゴリズムの参考程度にはなると考えている。

引用文献

1. 日本線維筋痛症学会: 線維筋痛症診療ガイドライン2013. 2013, 東京: 日本医事新報社.

2. DworkinRH, O'Connor AB, Backonja M, Farrar JT, Finnerup NB, Jensen TS, Kalso EA,Loeser JD, Miaskowski C, Nurmikko TJ, Portenoy RK, Rice AS, Stacey BR, TreedeRD, Turk DC, Wallace MS: Pharmacologic management of neuropathic pain:evidence-based recommendations. Pain. 132(3). 237-251, 2007.

3. 戸田克広: 線維筋痛症の診断と20134月時点での治療方法線維筋痛症の治療は変形性関節症にも有効—. 2014; 電子書籍: http://p.booklog.jp/book/74033/read.



旧ガイドラインに病型分類試案(筋緊張亢進型、筋付着部炎型、うつ型およびその合併)が報告されているが、今回のガイドラインではエビデンスレベルが低いことが記載されている。「エビデンスレベルが低い」とはエビデンスは弱いながらも存在することを意味する。実はエビデンスは弱いのではなく、ないのである。この病型分類試案こそが線維筋痛症の治療を混乱させ、結果的には患者さんに不利益をもたらす有害な理論なのである。エキスパートの個人的意見を「エビデンスレベルが低い」と見なすのであれば、その他の章でもエキスパートの個人的意見を「エビデンスレベルが低い」と見なすべきである。余談になるが、エビデンスとは旧ガイドラインが出版された時には既に出版されていなければならない。

 この病型分類試案は、恐らく特定の個人が個人的推測が正しいに違ないと考え、その個人の推測の通りに治療すればよいと考えた個人的推測以外の何物でもない。抗うつ薬の鎮痛効果は抗うつ効果による間接的な鎮痛効果ではなく、直接の鎮痛効果であることは痛みの業界では常識であり、その根拠となる論文も出ている。痛みの専門家であれば「うつ型」に抗うつ薬を優先使用するという理論を提唱しない。総合すると病型分類試案(筋緊張亢進型、筋付着部炎型、うつ型およびその合併)を提唱した人は痛みの常識を知らず、周囲の人がそれを止めることができなかったのであろうと推定する。

病型分類試案(筋緊張亢進型、筋付着部炎型、うつ型およびその合併)にはエビデンスがないと明言するか否かが新しいガイドラインの信頼性の試金石になる。


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by fibromyalgia11 | 2017-03-03 08:44 | FMの雑感

線維筋痛症ガイドライン2017:線維筋痛症の患者数の章は怪しい


CQ2-1患者数

 この章は私が担当した。ただし、私だけが担当したかどうかは不明である。私が日本線維筋痛症学会に送った内容は以下の通り。

 わが国のFMの患者数を調べることは実質的に不可能であるため、わが国におけるFMの有病率を調べた。

822日にPubMedで全フィールドでFibromyalgiaAND prevalence AND Japanを調べると16の論文が見つかった。その中でToda[1]Nakamura[2]の論文が見つかった。 

 811日医学中央雑誌で「線維筋痛症 and 有病率」を調べると43の論文が見つかった。 

松本らは大規模な疫学調査をしたようである。都市部でのFMの有病率は2.2%、地方部での有病率は1.2%で、全体として1.7%と報告している。本来であれば、その研究が最も信頼性が高いはずであるが、調査対象人数などの詳細が不明であり、有病率のみが公表されている。調査対象人数などの詳細が不明な論文を引用している状態である。調査対象人数の記載のない有病率の信頼性は低いと言わざるを得ない。また、2.2%1.2%の平均を日本の有病率と見なしてよいのかという問題もある。そのため、現時点では科学的信頼性は低いと言わざるを得ない。

Todaは日本の複数の医療機関の敷地内で就労する者を1990年基準を用いて調べ、女性343人中7人(2.04%)、男性196人中1人(0.51%)がFMであったと報告している[1]。この研究は地域住民ではなく就労者を対象にした有病率調査である。

Nakamuraらはインターネットを用いた疫学調査を行い、日本全国の都道府県の20歳以上の20,407人のうち425 (2.1%)2010年基準(日本語版)を満たしたと報告している[2]。本研究はNRSnumerical rating scale)が4以上の条件を入れたり、医師が患者に症状を確認するのではなく患者が症状を選択するなど、2010年基準に従っていない。2010年基準では多数の症状を医師が患者にインタビューする必要がある。また、FM以外の疾患が2010年基準を満たす場合にはFMとは診断できないが、インターネットによる調査であるため、その確認を行っていない。しかし、患者数が多く、詳細なデータがそろっているため日本におけるFMの有病率に関しては最も信頼性が高い報告である。

 Toda2005年までに報告された世界の地域住民におけるFMの有病率の一覧を報告しており[1]、それによると2%程度と推定される。

 これらのことを総合すると日本人におけるFMの有病率は2%前後と推定される。日本の人口を約12700万人と見なすと、FM患者の総数は約250万人と推定される。

引用文献

1. Toda K: The prevalence of fibromyalgiain Japanese workers. Scand J Rheumatol. 36(2). 140-144, 2007.

2. Nakamura I, NishiokaK, Usui C, Osada K, Ichibayashi H, Ishida M, Turk DC, Matsumoto Y: AnEpidemiological Internet Survey of Fibromyalgia and Chronic Pain in Japan.Arthritis Care Res (Hoboken). 66(7). 1093-1101, 2014.


厚生労働省研究班が行った有病率の研究では対象者の数が記載されていないことが問題であった。私は多くの論文を調べたが、対象者の数は記載されていなかった。このガイドラインで初めて8000人と記載されている。私が知らない論文に8000人と記載されている可能性は否定しない。そのため、8000人の根拠となる引用論文が必要なのである。このガイドラインでは個々の記載のどの部分の根拠がどの引用論文なのかが不明瞭である。もし、過去の論文に8000人の記載がなく、このガイドラインで初めて8000人という人数を入れることはガイドラインとしては許されないことである。厚生労働省研究班が行った有病率の研究には対象者の数が記載されていないためエビデンスレベルが低いと私が批判したため、その批判をかわすために8000人と記載したのではないことを祈るのみである。再度言うが、過去の論文で8000人という記載がないにもかかわらずこのガイドラインで初めて8000人という人数を入れたのであれば、このガイドラインのいい加減さを象徴してしまう。さらに言えばちょうど8000人なのであろうか。不自然である。また、8000人における男女比が記載されていない。

 Nakamuraらの研究では、診断基準に問題がある点を私は指摘したが、不都合なことを無視している。線維筋痛症学会の中心人物が共著者にいるため不都合なことは隠すのであろうか。

 厚生労働省研究の研究での有病率とNakamuraらの研究の有病率の差を対象者の差であると決めつけているが、診断基準の差かもしれない。

 私の論文では女性343人中7人(2.04%)、男性196人中1人(0.51%)がFMであったと報告している。これを(男女平均で)1.5%にしたことは暴挙である。どのような計算をすると1.5%になるのであろうか。



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by fibromyalgia11 | 2017-03-03 07:18 | FMの雑感

線維筋痛症診療ガイドライン2017は大問題

線維筋痛症診療ガイドライン2017は大問題

 私は「線維筋痛症診療ガイドライン2017」の作成に加わった。19の章を担当した。この数は圧倒的に多くダントツの1位である。しかしこれは基礎資料を集めただけであり、最終判断をする委員になりたいと希望したが拒否された。

 今回日本線維筋痛症学会は「線維筋痛症診療ガイドライン2017」の試案を作成しそれを公表し、パブリックコメントを求めたが既に締め切られていた。当然ながら私に「線維筋痛症診療ガイドライン2017」の試案を作成しパブリックコメントを求めていることを知らせるべきであるが、19の章を担当した私には何の連絡もなかった。私がそれを知ったのは昨夜であった。私に問題点をつかれることを恐れたためかもしれない。

 前回のガイドラインよりは少し改善されたが、今回の「線維筋痛症診療ガイドライン2017」にも大きな問題がある。エビデンスに基づいた振りをしているため、問題はむしろ大きいかもしれない。今後順次具体的な問題点を報告する。

 日本線維筋痛症学会が作ったガイドラインの問題点は、特定の人間のエビデンスに基づかない個人的な意見にエビデンスがあるかのようなお墨付きを与えた点である。私は線維筋痛症のみならず神経障害性疼痛の英語論文を徹底的に読み、それを基に実際の診療を行っている。私はその問題点を特定の人間に、理事、評議員会でぶつけた。当然ながらその人は激怒して私は評議員の座を失った。正確に言えば、私の問題点指摘後に評議員という役職を廃止したため、自動的に評議員ではなくなった。特定の人間が作った問題点を、面と向かって批判する者は私だけである。このガイドラインにはエビデンスに基づいた正確な記述がある一方、エビデンスに基づかないがエビデンスがあるかのような記述が混在している。ほとんどの人はそれに気がつかないため危険なガイドラインである。何度も言うが、問題点に気がついている者は私以外にも少数いるが、それを公言している者は私のみである。このガイドラインは患者さんに不利益をもたらしてしまう。

 私を最終判断をする委員にしないことはある意味では妥当な判断である。これまでのガイドラインの問題点を懺悔しないと適切な「線維筋痛症診療ガイドライン2017」を作成できない。過去のガイドラインの問題点を曖昧にしてごまかしている。患者さんのために、次のガイドラインでは最終判断をする委員の一員にしていただきたい。

 今回の「線維筋痛症診療ガイドライン2017」の最大の問題点は、本文中で述べられた記載の根拠となるべき引用論文が不適切なことである。引用論文はあるが、本文中で述べられた記載のどの部分の根拠となる引用論文であるのかが不明な点である。これにより、いい加減な記載が許されることになる。個々の章の問題点は順次報告する。



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by fibromyalgia11 | 2017-03-01 17:51 | FMの雑感

線維筋痛症の難病指定の請願をやめ、基幹病院での線維筋痛症の診療開始のみを請願すべき

2016年の日本線維筋痛症学会でポスター発表した内容です。

線維筋痛症の指定難病認定の請願

 線維筋痛症(FM)の指定難病認定の請願が行われている。指定難病検討委員会の資料[1]によると指定難病の認定には、患者数が人口の0.1%程度であること、客観的な診断基準(又はそれに準ずるもの)が確立していることの二つを満たす必要がある。

実現不可能な請願

かし、FMの有病率は約2%であり[1]、不全型を含めると有病率は20%程度にもなると推定されている[2]。現時点では客観的な診断基準はない。FMを専門的に治療している医療機関においてでさえ、FMの診断基準を満たさない患者をFMと診断している実態がある。「##はFMの診療で有名であるが、FMの診断基準を満たさない患者をFMと診断している」という主旨を裁判官が認めた文書のコピーが演者の机の上に置かれたことがある。FMが指定難病に認定された場合の膨大な費用、就労可能患者の取り扱い、押し寄せて来るであろう多数の患者(仮病者を含む)の診療の実際を考えていただきたい。FMの指定難病認定を請願しても実現は不可能である。実現不可能な請願を行い却下されても駄目でもともとであり、FMの認知に貢献するという考えがある。しかし、演者はそうではないと危惧している。1つの疾患において実現不可能な請願を行うと、同じ疾患で実現が可能な請願を、同じ団体や個人が行っても同様に見なされる危険性が高い。それのみならず、同じ疾患で実現が可能な請願を、別の団体や個人が行っても同様に見なされる危険性が高いと演者は危惧している。つまり、実現可能な請願の実現を阻んでしまう。

実現の可能性の高い請願

実現の可能性の高い請願とは、大学病院を含む基幹病院でFMの診療を開始してほしいという請願である。少ない労力で効率を上げるためには、実現の可能性の高い請願を行う必要がある。不全型を含むと有病率が20%にもなる疾患の診療を行う医療機関がない地域が日本には多数ある。この請願が、日本全体のFMやその不全型の患者に最も利益をもたらし、実現の可能性が高いと考えている。FMの治療は神経障害性疼痛(NP)治療の中心である。FMの適切な診療を行う医療機関が増えればFM以外のNPの患者の恩恵にもなる。痛みを引き起こす様々な疾患の団体と協力して請願を行うことも可能である。膨大な費用が掛かりFM患者のみが利益を得る指定難病認定の請願は日本国民の賛同を得られない。指定難病認定に関する予算は一定額であり、FM患者を指定難病認定すると他の難病患者の自己負担が増える。それは後述するFM患者の中で重篤な患者のみに限定して指定難病認定を請願しても同様である。指定難病認定に関する予算その物の増額は、消費税の引き上げ延期やイギリスのEU離脱予定による不況で国家財政に危機が及んでいる状況では不可能と考えている。指定難病認定の請願をやめ、基幹病院での診療開始の請願のみを行なうことがFM患者に最も利益をもたらすと考えている。基幹病院での診療開始が法制化されなくても、厚生労働省から各都道府県や大学病院にFMの診療を開始してほしいという要請が出るだけでも現状よりは改善すると考えている。その要請には要請側に費用が掛からない。

重症者限定の指定難病認定の請願

国や地方公共団体に請願を行うのであれば一つに絞った方が実現の可能性が高くなる。FM患者の中で重篤な患者のみに限定して指定難病認定を請願するより、基幹病院での診療開始の請願を優先すべきと考えている。FM患者の中でも歩行不能の重症者は筋力低下が生じていることが多く、身体障害の認定が可能である。激痛のみでは身体障害の適用ではないが、筋力低下は身体障害の適用になる。ただし、FMという疾患を認めていない医師は、筋力低下が起きている重症FM患者を身体障害と認める可能性は低いと推定している。しかし、FMを疾患として認める医師は、筋力低下が起きている歩行不能の重症FM患者を身体障害と認める可能性が高いと推定している。身体障害の認定を受ければ既存の福祉の恩恵を受けることができる。基幹病院での診療開始が実現すれば、重症FM患者の医療費は無料にはならないかもしれないが、既存の福祉の恩恵を受けることができる可能性が高くなる。重症者に限定しても客観的な診断基準の条件を満たすことができない。重症者に限定した指定難病認定よりも、基幹病院での診療開始の方が実現の可能性が高く、FM患者全体への恩恵が大きいため、優先して請願すべきと考えている。ここまで述べてきたように、請願は一つに絞った方がよいと考えている。

演者は線維筋痛症患者の苦しみを知らない

 演者は、以前からFMの指定難病認定の請願を行うべきではないと公言しており、FM患者から患者の苦しみを知らないとしばしば非難されている。実現不可能な請願は100年たっても実現不可能であるばかりではなく、実現可能な他の請願の実現の可能性を低くしてしまう危険性さえあると演者は考えている。

線維筋痛症に対する医療業界の実情

FMの治療成績を向上させようとすると適用外処方(目的外処方)という保険医療における規則違反を犯す必要がある。それが一因となり、多くの医療機関が、FMの治療を行なう医師を採用しない。ましてや適用外処方(目的外処方)の論文を書いたり学会で発表したりすることを認める医療機関は絶望的に少ない。それは高校生が飲酒、喫煙をインターネット上で公表することと同等の扱いを受けている。麻酔科を兼任する医師は医療機関の宝であるため、適用外処方(目的外処方)の論文を書くことが通常黙認されている。しかし、麻酔科を兼任しない医師の場合にはそれが黙認されにくい。患者や行政がFMの診療をする医師を必要とすることこそが、FMの診療をする医師の数を増やすことになり、それが結局は日本全国のFMやその不全型患者に恩恵をもたらすことになる。現在、FMの診療を行っている医療機関の中に大学病院を中心にした基幹病院はないとは言わないが少数である。たとえ基幹病院でFMの診療を行っていても、治療を行なっている少数の医師が退職すれば、すぐに診療不能になってしまう状態である。大学病院を中心にした基幹病院が責任を持ってFMの診療を始めれば、多くの患者に恩恵をもたらす。日本ではFMの適切な治療を受けることはできないと判断し、FM患者が渡米して治療を受けるという事態が発生している。

子宮頸癌ワクチン接種後多発症状

 子宮頸癌ワクチン接種後の多発症状は、通常のFMより重篤なようである。国はその治療を行なう協力医療機関を指定しているが、その医療機関は大学病院を中心にした基幹病院のみであり、FMの診療を行っている医療機関に基幹病院が少ないことと対照的である。しかし、ほとんどの場合、FMの知識のある医師がいない。子宮頸癌ワクチン接種後の多発症状の治療を行う際には、最低限FMの知識が必要である。基幹病院でFMの診療を開始すれば、子宮頸癌ワクチン接種後の多発症状患者の適切な診療の受け皿となり得る。
引用文献

1) 指定難病の要件について. 厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会(第15回)資料. 厚生労働省ホームページ.http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000130341.pdf

2) Toda K: The prevalence offibromyalgia in Japanese workers. Scand J Rheumatol. 36: 140-144, 2007.

3)Toda K, Harada T: Prevalence, classification, and etiology of pain inParkinson's disease: association between Parkinson's disease and fibromyalgiaor chronic widespread pain. Tohoku J Exp Med. 222: 1-5, 2010.

4)  協力医療機関及び専門医療機関一覧について 厚生労働省ホームページ

ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関について http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/medical_institution/dl/medical_institution.pdf



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by fibromyalgia11 | 2016-10-10 10:47 | FMの雑感

薬を飲んだら死亡する危険性がごくわずかに増加する

 私は線維筋痛症あるいはその不完全型の患者さんの治療を行なう場合全員に、「薬を飲んだら死亡する危険性がごくわずかに増加する」と説明しています。この説明によって少なくない人が治療を希望しません。
 この説明により治療を受ける患者数が確実に減っています。それにより治療を受ける患者さんの治療時間を十分にとることができます。初診患者の制限も全くしていません。初診患者の待ち期間はほぼゼロ(診察日が限定されているための待ち期間は除く)です。使用する薬を変更する可能性がある間は最低でも1か月に1回の受診を義務付けています。それができない人は治療を断っています。
 意図したわけではありませんが、この説明を行い始めてからは患者さんとのトラブルが減りました。大変残念なことですが、線維筋痛症患者にはモンスターと言われる患者さんの割合が多いのです。厳密に言うと線維筋痛症に合併しやすい精神疾患が原因でモンスターと言われる患者さんが多いのですが、一般的には線維筋痛症患者にはモンスターと言われる患者さんの割合が多いとみなされてしまいます。
 「薬を飲んだら死亡する危険性がごくわずかに増加する」は「人間は必ず死ぬ」と同程度の当たり前のことなのです。しかし、医師は薬を処方する際にはこの当たり前のことを説明しません。しかし、私は説明しています。線維筋痛症の薬物治療はほとんどの場合、適用外処方となるからです。各薬は使用する疾患が決められています。抗うつ薬はうつ病に使用するなどです。しかし、抗うつ薬を鎮痛目的で使用するなど、厚生労働省が決めた疾患以外に使用することを適用外処方と言います。適用外処方は原則禁止なのですが線維筋痛症ではこれをしないと治療成績が向上しません。適用外処方を行い死亡などの重篤な副作用が出た場合、医師は大変なことになります。大野病院事件(妊婦に異常があり手術を行い、妊婦が死亡)では医師は証拠隠滅の可能性がなくても(カルテが押収されたので証拠隠滅は不可能)、逃亡の可能性がなくても(このような状況で医師が逃亡することはあり得ない。私の先輩は戦時中南方の島で行方不明になりましたが、後に戦死と判明。)逮捕されます。この医師はその後裁判で無罪になりましたが、それまでの数年は医業につくことはできませんでした。私がそのようなことになれば患者さんは治療の場を失います。私は経済的に破綻し子供は退学になります。薬の副作用で死亡した場合、患者の家族から告訴(告発?)されるか、告訴されないかは大きな問題です。遺族と話をする際に、「薬を飲んだら死亡する危険性がごくわずかに増加する」という説明をしたことを遺族に話せば、告訴される確率が減ると考えています。
 実はほとんどすべての薬を飲むと死亡する危険性は増加します。当然です。化学物質を飲むのですから。エビやソバを食べても死亡する人がいます。テレビのコマーシャルで有名な風邪薬でも死亡する人がいます。ちなみに薬局で普通に売っている風邪薬でも毎年死者が出ており、その何倍もの人が視力の極端な低下などの作用に苦しんでいます。高血圧や糖尿病の薬はそれを飲むことにより寿命が延びるため、副作用死があっても差し引きすれば寿命は延びます。しかし、鎮痛薬の場合には寿命が延びることはないとは言いませんが、それはわずかです。そのため差し引きすると寿命は短くなってしまいます。
 ビタミン剤は実はビタミン剤ではありません。重量割合から考えればビタミン以外の不純物の方が圧倒的に多いのです。もし不純物に対してアレルギーがあれば死亡する可能性は否定できません。
 実はほとんどすべての医師は適用外処方を行っています。通常の鎮痛薬の場合、胃潰瘍の副作用予防のために胃薬を当初から併用する場合が多いのです。胃薬を使用するため、「胃潰瘍」という病名をつけます。厳密にいうとこれはルール違反であり、適用外処方です。胃潰瘍と言う病気があれば「胃潰瘍」という病名をつけることができますが、胃潰瘍がないにもかかわらず胃潰瘍を予防するために「胃潰瘍」という病名をつけることは、ルール違反であり、適用外処方なのです。予防投与が認められている胃薬は少数ありますが、副作用が多いためPPI(プロトンポンプ阻害薬)やムコスタが使用されることが多いのですが、それらの薬は予防投与することが認められていません。
 うつ病の薬を鎮痛薬として使用することも、ルール違反であり、適用外処方です。しかし、痛みのためにうつになったため、そのうつを治療するために抗うつ薬を使用したと言い訳をすることができます。しかしメジコンは慢性気管支炎の薬であり、ガバペンはてんかんの薬です。言い逃れはできません。
 「薬を飲んだら死亡する危険性がごくわずかに増加する」を受け入れられない人は、ほとんどの薬を飲めません。それは現代医療の恩恵を受けられないこととほぼ同じ意味です。さらに言えば自動車、電車、飛行機の乗ることもできなくなります。それらを利用すると事故死する危険性がごくわずかに増えてしまいます。
 「薬を飲んだら死亡する危険性がごくわずかに増加する」を受け入れられない人の価値観を私は理解できません。しかし、なぜ「薬を飲んだら死亡する危険性がごくわずかに増加する」を受け入れられない人と受け入れられる人に分かれるのでしょうか。ほとんどすべての薬には死亡する危険性があることがわかる人とそれがわからない人がいることが一因と考えています。また痛みにどの程度困っているかも一因と考えています。それほど痛みが強くなければ死亡する危険性を冒したくないが、痛みが強ければわずかな死亡の危険性を冒してもよいと考えるのかもしれません。しかし、「薬を飲んだら死亡する危険性がごくわずかに増加する」を受け入れられない人がすでに多くの薬を飲んでいる価値観は私には理解できません。
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by fibromyalgia11 | 2015-10-12 11:45 | FMの雑感

線維筋痛症外来をパンクさせないために、トラブルを起こさないために

 現在土曜日の午前午後は廣島クリニックで、火曜日と木曜日の午前中は福山リハビリテーション病院で診察をしている。
 廣島クリニックは整形外科のクリニックでフジグランという広島市の中心部の巨大モール(中規模モール?)の4階にある整形外科のクリニック。本院が別にあり、ここは分院。本院の医師が手分けして診療を担当している。土曜日は私のみが勤務している。特に土曜日の午後、診療をしている整形外科は少ないため、土曜日の午後に広島市およびその周辺で発生した整形外科的外傷患者がしばしば受診する。リハビリを中心にした整形外科のクリニックでありそこに私が専門にしている線維筋痛症およびその不完全型の患者さんが来院されている。多い日には全体で75人程度の外来患者さんが受診されている。線維筋痛症およびその不完全型の患者さんは多い日には20人強受診されている。線維筋痛症およびその不完全型の患者さんの中で広島市民は恐らく半数強。線維筋痛症およびその不完全型の患者さん以外の患者さんが多数を占めるため予約制ではない。待ち時間は10-20分程度。再診患者の診察時間は10-20分。予約制ではないため待ち期間は0(土曜日診察という待ち期間は除く)
 再診患者の場合、どのように早く診察しても平均すると1時間に8人が限度である。また使用する薬が確定するまではどのように遠方でも4週間に1回の診察が必要である。状態が悪い場合には2週間に1回の受診が必要であり、状態がさらに悪い場合には1週間に1回の受診が必要である。これを守らないと診察が荒くなり、その結果治療成績が悪くなる。
 福山リハビリテーション病院は官庁街の隣にある。病院の方針として外来を極力縮小しているが、特別に外来をしている。全員線維筋痛症およびその不完全型の患者さんであり、少ない日には2人程度、多い日でも6人程度。福山市民は1/3程度。予約制。待ち時間は10-20分程度。再診患者の診察時間は10-30分。待ち期間は1週間以内。
 私が最も恐れていることは外来がパンクすることと、トラブルが起きること。
 まずは外来がパンクしないための努力。東京や大阪の有名医師の外来はパンクしている。初診患者の待ち期間は3,4か月は当たり前。原則的に初診患者は診察せずコネがある患者のみを診察している医師もいる。予約制でも2時間待ちは当たり前。診察時間は10分以下。新患患者全員を引き受けると外来がパンクしてしまう。本当に治療を必要とする人に限定して治療をしている。そのために日々努力している。
 新患患者では、線維筋痛症ではない患者の方が線維筋痛症患者の約2倍いるが、全く同一の治療をしている。その由を書類に記載して、その書類を必ず読んでもらっている。線維筋痛症ではない患者さんの中には「線維筋痛症ではなければ治療を希望しない」という人が少なくない。私はその価値観を全く理解できないが、私の価値観を押し付けてはいない。また、線維筋痛症でもその不完全型でも治療の負の側面をすべて説明している。1:ほとんどの副作用は薬を中止すればなくなるが、眠気の副作用で転倒し骨折や脊髄損傷が起これば薬を中止しても副作用がなくなることはない。2:薬を使用すればごくわずかに死亡する確率が増える。3:適用外処方をすることが多く、その場合重篤な副作用が起きても本来もらえるはずの補償金はもらえない。4:2割程度の人は全く症状が軽減しない。特に死亡の危険性の説明により受診者が減っている。日本では治療の結果が悪ければ、逃亡や証拠隠滅の危険性がなくても逮捕されてしまう(大野病院事件)。私が逮捕されると、私自身、家族、線維筋痛症やその不完全型患者さんは非常につらい状況に追い込まれる。高血圧の場合、降圧剤を飲めば副作用で死亡する人よりも、降圧剤により寿命が延びる人の方が恐らく多いため、差し引きすると、「薬を使用すればごくわずかに死亡する確率が増える」と説明する必要はないと思う。しかし痛みの治療においては、寿命が延びることは少ないため、「薬を使用すればごくわずかに死亡する確率が増える」と説明する必要がある。実は多くの薬には死亡の可能性がある。ビタミン剤でさえ、不純物(重量比では不純物の方が多い)に対してアレルギーがあれば死亡の可能性は完全には否定できない。長期間大量摂取すると発癌性の危険性が増えるビタミン剤も存在する。「薬を使用すればごくわずかに死亡する確率が増える」を受け入れられなければ、多くの薬を飲むことができず、結果的には現在の医療を受けられなくなる。「薬を使用すればごくわずかに死亡する確率が増える」を受け入れられない価値観を私は理解できないが、私の価値観を他人には押しつけてはいない。死亡の危険性がある抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬、通常の鎮痛薬(NSAID)をすでに飲んでいながら、「薬を使用すればごくわずかに死亡する確率が増える」を受け入れられない価値観は全く理解できない。抗不安薬、睡眠薬を内服すると死亡率が増加することが統計学的に示されている。抗うつ薬、NSAIDでは時々死亡を引き起こすことが報告されている。「薬を使用すればごくわずかに死亡する確率が増える」を受け入れられない人が自動車にのる価値観も理解できない。自動車に乗ると交通事故死する危険性がごくわずかに増加する。それでも私の価値観を他人には押しつけてはいない。
 治療を希望しないが、「私はどこで治療を受けたらよいのでしょうか」という質問を私にする患者さんがいる。これには答えようがない。私は治療をすると言っている以上、その後の治療をどこで受けるのかは自分自身で判断していただきたい。
 意図したわけではないが、これらの説明により患者数は確実に減っている。それにより私を受診する人の待ち時間の短縮、診察時間の確保、新患患者の待ち期間の短縮に役立っている。
 また、意図したわけではないが、これらの説明によりトラブルを起こす患者の割合が減った。私の経験では複合性局所疼痛症候群患者より線維筋痛症およびその不完全型患者の方がトラブルを起こしやすい。整形外科医の間では複合性局所疼痛症候群患者はトラブルを起こしやすいとみなされている状況である。その上を行くのである。トラブルが医師以外の病院職員や病院そのものに向かうこともある。トラブルが頻発すると線維筋痛症の治療をやめるように病院から通告される危険性がある。それは何としても避けなければならない。
 初診時には問診は一切行っていない。病歴や現在の症状を紙に書いてもらっている。口頭で説明したい人がいるが、断っている。時間がかかり他の患者さんの診察時間を奪ってしまうからである。それに対して怒り帰ってしまう人もいるがやむを得ない。診察時間の確保が最優先。
 喫煙者には禁煙を厳しく指導している。喫煙のままでも治療はするが、現時点では喫煙を継続すると治療成績は極めて悪いためそれを説明している。喫煙者が受診した場合には最初の治療は禁煙である。「禁煙を完了して1か月して再診してください。喫煙のままでも治療はしますが現時点では治療成績は極めて悪い」と説明している。禁煙して再診する人はいるが、喫煙のまま再診する人はほとんどいない。この説明も結果的には患者数を減らしている。
 世の中にはモンスターと言われる人が一定の割合で必ずいる。自分の理論通り世の中が動いていると勘違いしており、いくら説明をしても聞き入れない。結局医師と患者が言いたいことを言いあっている状況になる。そのような人はいくら時間をかけても自説を引っ込めない。線維筋痛症患者さんにはモンスターの割合が一般人口におけるモンスターの割合よりも多いと感じている。正確にいえば、線維筋痛症患者さんが合併しやすい精神疾患にモンスターが多いと私は推定している。実際、線維筋痛症患者には様々な精神疾患が合併しやすいと報告されている。しかし、線維筋痛症という病名が目立つため「線維筋痛症にはモンスターが多い」ということになってしまう。私の経験をここで詳細に書くと個人批判になってしまうため詳細を書くことはできない。モンスターに対して譲歩するとその後の外来が大混乱する。できないことはできないと説明し、それを受け入れる患者さんのみが再診すればよいと考えている。患者さんとのトラブルは起きない方がよいが、回避できない人の場合には「その希望はかなえられない。あくまでその望みを主張するなら他の医療機関を受診していただきたい」と通告した方がよい。トラブル回避ができない場合には、早めにトラブルが起きた方がよいという考え方。
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by fibromyalgia11 | 2015-08-22 23:27 | FMの雑感

天候の変化は線維筋痛症の痛みに影響するか


この研究に登録したCWP/fibromyalgia女性 (N = 50) はNorway の4週間の入院リハビリテーションプログラム( 2009-2010)から集め, 5週間、1日3回(朝、午後、夕方)痛みや精神的要因を報告。これらの評価を公式の地域の天気と照らし合わせる。気圧は痛みに影響を与えるが、温度や相対湿度、太陽束(電磁波)は痛みに影響を与えず。精神的な変数は天気―痛みの関係に影響せず。天気の変数は痛みには影響せず痛みと気圧の逆相関の強さは非常に小さく、精神的な要因は痛みと気圧の関連に影響せず。FMにおける天気と痛みの強い関連に関するエビデンスは限定されている。
Int J Biometeorol. 2013 Oct 17. [Epub ahead of print]
Do weather changes influence pain levels in women with fibromyalgia, and can psychosocial variables moderate these influences?1請求
Smedslund G, Eide H, Kristjansdottir OB, Nes AA, Sexton H, Fors EA.
National Resource Centre for Rehabilitation in Rheumatology, Diakonhjemmet Hospital, Box 23 Vinderen, 0319, Oslo, Norway, geirsmed@hotmail.com
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by fibromyalgia11 | 2013-10-20 17:38 | FMの雑感

原因不明の痛みにおいて正しい診断、原因究明は不要

 
 医学的に説明のできない痛みや症状はmedically unexplained painあるいはmedically unexplained symptomsと言われている。線維筋痛症やその不完全型が該当する。線維筋痛症の原因は不明であるが、脳の機能障害という説が世界の定説である。脳の機能障害といっても器質的障害なのかもしれないが、現時点での医学レベルでは判別不能である。
 医師は正しい診断を行い、それに基づいて治療を行うように訓練されている。そのため、原因がわからないと治療がないということが起こる。世界では常識の線維筋痛症を知らないことが問題なのであるが、「医師は正しい診断を行い、それに基づいて治療を行う」を守っていることにも問題がある。原因不明の痛みには線維筋痛症の治療をすればよいのである。現時点の医学レベルでは原因不明の痛みに対しては線維筋痛症の治療を行うことが最も治療成績をよくする。
 臨床とは疾患の原因を突き止める場ではない。症状が軽減すればよいのである。ただし、心筋梗塞や痛みのある癌で痛みのみをなくすことは有害な治療である。しかし。原因不明の痛みでは直接生命を脅かすことはない。痛みさえ取れれば(軽減すれば)それでよいのである。しかし、医師や少なくない患者さんの中には、痛みの軽減より痛みの原因究明を優先する人がいる。臨床とは何が目的であるのかを確認した方がよい。もちろん、正しい診断ができる場合にはそれが望ましい。しかし、診断不能の場合、治療不能とする診療は間違っている。正しい治療ができる医療機関を紹介するか、症状をよくする治療を行うべきである。
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by fibromyalgia11 | 2013-09-01 12:59 | FMの雑感

線維筋痛症と慢性疲労症候群の区別:ミトコンドリアンの機能不全


CFSおよびFM患者におけるミトコンドリア発生と酸化ストレスの相関を調べた. 23人のCFS患者, 20人のFM患者および15人の健常者。末梢血の単核球(Peripheral blood mononuclear cells:PBMC)ではCFS 患者(p<0.001)および FM患者 (p<0.001対照との比較)のCoQ10レベルが低下し、CFS 患者(p<0.001対照との比較)およびFM患者(p<0.001対照との比較)のATPレベルが低下. 一方, CFS/FM患者では脂質過酸化反応のレベルが有意に増加し, (p<0.001 各々CFS患者および FM患者は対照群に対し)酸化ストレスが誘発した障害を示す。ミトコンドリアのクエン酸シンターゼ活性はFM患者では有意に低い (p<0.001), しかしCFSでは対照群と同レベル。ミトコンドリアのDNA 内容 (mtDNA/gDNA ratio)はCFSでは正常であるが、FM患者では健常者に比べて低下。 (p<0.001). PGC-1α and TFAM by 免疫ブロット法によるPGC-1αおよびTFAMの表現レベルは FM 患者では健常者より有意に低く(p<0.001) CFS患者では健常者と同程度。これらのデータによると、ミトコンドリアの機能不全の従属事象はCFSとFMを鑑別する標識になるかも、そしてミトコンドリアは治療の新しいターゲットになる可能性があるという仮説を導き出す
Antioxid Redox Signal. 2013 Apr 22. [Epub ahead of print]
Could mitochondrial dysfunction be a differentiating marker between Chronic Fatigue Syndrome and Fibromyalgia?1請求
Castro-Marrero J, Cordero MD, Saez-Francas N, Jimenez-Gutiérrez C, Aguilar-Montilla FJ, Aliste L, Alegre-Martin J.
Vall de Hebron Univ Hospital Research Institute, CFS Unit, BARCELONA, Barcelona, Spain ;
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by fibromyalgia11 | 2013-04-28 00:03 | FMの雑感

交通事故後に慢性広範痛症になった患者さんが高等裁判所で和解、約4000万円の和解金



 交通事故後に線維筋痛症の不完全型である慢性広範痛症を発症した患者さんの和解が成立しました。症状が重篤で就労不能になったばかりではなく介護が必要なため高額の和解金になりました。大変残念ながら患者さんは裁判中に線維筋痛症とは別の疾患により永眠されました。


平成25年2月15日東京高等裁判所
平成24年(ネ)第2593号(横浜地方裁判所平成21年(ワ)第3604号事件) 和解成立
和解金3960万円

この記載の公表は患者さんのご遺族から承諾を得ています。
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by fibromyalgia11 | 2013-02-26 23:12 | FMの雑感
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世界標準の線維筋痛症を専門家が説明します


by fibromyalgia11
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