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日本式線維筋痛症と世界標準のfibromyalgiaの違い

 大変、残念なことですが日本で唱えられている線維筋痛症は日本式線維筋痛症であって、世界標準のfibromyalgiaとは異なります。世界標準のfibromyalgiaは中枢性過敏症候群(central sensitivity syndrome)に含まれます。しかし、日本式線維筋痛症はリウマチや膠原病の類縁疾患と見なされています。日本ではリウマチや膠原病から線維筋痛症に入った人が多いことと、PubMedでfibromyalgiaの英語論文をすべて読んでいる人の割合が少ないこと、利益相反の開示(製薬会社から研究費が出ている、特定の薬が使用されると自分あるいは自分が関連する会社に利益が入る、製薬会社の株を持っている、など)が不十分なことなどがその理由です。リウマチや膠原病の類縁疾患と捉えられていますので、ステロイドやNSAIDが使用されることが多いのです。その他にも、日本で唱えられている日本式線維筋痛症はかなりの部分で世界標準のfibromyalgiaとは異なっています。
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by fibromyalgia11 | 2011-07-31 09:13 | FMの雑感

世界標準の医学とは

 PubMedという無料のサイトにキーワードを入れるとそのキーワードを論文のタイトルやまとめに含む英語論文がすべて表示されます。少なくともまとめは無料で読むことができます。それにより標準的な医学が何であるのかが分かります。例えば線維筋痛症や複合性局所疼痛症候群(CRPS)の患者団体はPubMedにのった英語論文をすべて読んでいます。英語雑誌としては格の低い雑誌に掲載された私の論文をその団体は取り上げています。PubMedにのった雑誌を読んでいないとそれはできません。恐らく、専門家はPubMedを用いて自分の専門領域の英語論文をすべて読んでいると思います。そうしないと、患者より知識の少ない、自称{専門家」が出来上がってしまいます。
 複合性局所疼痛症候群のアメリカの患者団体のパーティーに出席したことがあります。その団体の幹部(非医師)の知識量はものすごいものでした。それに参加している一般会員の知識も相当なものでした。英語という障壁がないという事実はありますが、彼らはPUBMedを読んでいるのです。
 PubMedに採用されていない英語雑誌は格下と見なされます。インパクトファクター(Impact factor)という指標もあります。その雑誌に載った論文がその後引用される頻度を示す指標です。その数値が高いほど格上の雑誌と見なされます。インパクトファクターを持っていない雑誌も格下の雑誌と見なされます。インパクトファクターを持っており、PubMedにも掲載されている英語雑誌は少し格があると見なされます。一方のみを満たす雑誌もあります。
 線維筋痛症の英語名であるfibromyalgiaをPubmedに入れると途方もない数の英語論文がのっています。「線維筋痛症は世界の常識である」という私の主張の根拠の一つはそれです。
 私は少なくともPubMedにのった線維筋痛症の英語論文をすべて読んでいます。だからこそ、世界標準の線維筋痛症がいかなるものか知っています。日本でのみ通用する線維筋痛症を唱えていません。自分の考えが世界標準とは異なる場合には、その意見を英語論文にしています。何のデータもない個人的な意見を記載した英語論文が採用されることはデータのある論文が採用されることより困難です。私の意見は半分くらい採用になっています。その割合が高いのか低いのかは分かりません。線維筋痛症に限らず一般論として、自他共に専門家であるという医師が論文中でPubMedにのった重要な論文を引用していないことや、それを引用せずに講演をしていること、PubMedでは常識となっていることと異なる説を根拠もなく提唱しているがあります。講演を聞けば引用している論文の新しさ(あるいは古さ)で情報収集の程度が分かります。講演や論文において、過去2年間の論文の引用があまりにも少ないと、情報収集が十分ではないことが分かります。
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by fibromyalgia11 | 2011-07-31 09:02 | FMの雑感

ベンゾジアゼピンはPTSDに効果がない

PTSDに有効な薬はSSRI、ついでSNRIのvenlafaxine と非定型抗精神病薬のrisperidone。BZDには有効性の証拠なし。
Evidence-based pharmacotherapy of post-traumatic stress disorder (PTSD).
Ipser JC, Stein DJ.
Int J Neuropsychopharmacol. 2011 Jul 29:1-16. [Epub ahead of print]
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by fibromyalgia11 | 2011-07-31 01:37 | 抗不安薬の常用量依存

トリプタノールとノリトレンにおける突然の心臓死と心室性不整脈の危険性はパキシルと同程度

突然の心臓死と心室性不整脈sudden cardiac death and ventricular arrhythmia (SD/VA)。アメリカの5つの大きな州のMedicaidとMedicareの1999年から2003年までコーホート研究。結果:1.3百万人―年の抗うつ薬暴露で、4222の SD/VAでありこれは 3.3/1000人―年(95%CI, 3.2-3.4). paroxetineと比較して修正ratios (HRs) はbupropion で0.80 (0.67-0.95), doxepinで1.24 (0.93-1.65), lithium で0.79 (0.55-1.15), およびmirtazapine で1.26 (1.11-1.42). amitriptyline, citalopram, fluoxetine, nefazodone, nortriptyline, sertraline, trazodone, and venlafaxineのHRsはほぼ1.

Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2011 Jul 28. doi: 10.1002/pds.2181. [Epub ahead of print]
Antidepressants and the risk of sudden cardiac death and ventricular arrhythmia.
Leonard CE, Bilker WB, Newcomb C, Kimmel SE, Hennessy S.
Center for Clinical Epidemiology and Biostatistics, Department of Biostatistics and Epidemiology, and Center for Education and Research on Therapeutics, University of Pennsylvania School of Medicine, Philadelphia, PA, USA.

三環系抗うつ薬であるトリプタノールやノリトレンには突然の心臓死と心室性不整脈の危険性はパキシルと同程度という報告です。従来の報告とは異なる報告です。
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by fibromyalgia11 | 2011-07-31 01:35 | 抗うつ薬

慢性骨盤痛男性では血管の剛性が高い

21人の男性chronic prostatitis/chronic pelvic pain syndrome と14人の無症候性対照を、動脈の剛性を調べるaugmentation indexや血管内皮の血管拡張を調べる反応性充血indexを評価するEndo-PAT®2000 machineを用いて試験。症状はthe National Institutes of Health Chronic Prostatitis Symptom Indexで評価し、 患者の表現型はthe UPOINT (Urinary, Psychosocial, Organ Specific, Infection, Neurologic/Systemic, Tenderness of Skeletal Muscles) systemで評価. p <0.05を有意と見なす。結果:両群の年齢は同様でありchronic prostatitis/chronic pelvic pain syndrome 群(22―63歳,中央値 40歳) であり対照群(19―57歳, 中央値40歳). 症状の期間の中央値は24 か月 (3―440か月), 平均Chronic Prostatitis Symptom Index score は24.7 ± 5.1であり、平均 UPOINT domainは2.9 ± 1.1 (1―5). chronic pelvic pain syndromeの方が対照群より(5.0% ± 2.3 vs -6.0% ± 3.0, p = 0.006)、the augmentation index は有意に高い (血管の剛性が高い). 患者は対照群より1.76 ± 1.2 vs 2.21 ± 1.7, p = 0.03)、反応性充血indexは有意に低い。症状の期間や症状の程度あるいは表現型 (number or type of UPOINT domains) と反応性充血index やaugmentation indexには相関なし。
J Urol. 2011 Jul 24. [Epub ahead of print]
Greater Endothelial Dysfunction and Arterial Stiffness in Men With Chronic Prostatitis/Chronic Pelvic Pain Syndrome-A Possible Link to Cardiovascular Disease.
Shoskes DA, Prots D, Karns J, Horhn J, Shoskes AC.
Glickman Urological and Kidney Institute, Cleveland Clinic, Cleveland, Ohio.
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by fibromyalgia11 | 2011-07-31 01:28 | 外陰部痛

中枢性過敏症候群(Central sensitivity syndromes)

戸田克広:中枢性過敏症候群(Central sensitivity syndromes) 日本医事新報 No4553 (2011年7月30日)84-88, 2011

Summary: 脳の過敏化によって生じる中枢性過敏症候群(CSS)には線維筋痛症(FM)、うつ病、多くの慢性痛などが含まれる。CSSに含まれる疾患は互いに重複することが多く、症状、治療が類似している。身体表現性障害と診断するよりFMおよびそのグレーゾーンと診断した方が治療成績が改善すると思われる。

 日本で初めての中枢性過敏症候群の日本語の総説です。中枢性過敏症候群はメタボリック症候群と同様に巨大な疾患の塊です。中枢性過敏症候群の中の疾患に全く罹患していない人は人口の半数以下であろうと推測しています。日本では中枢性過敏症候群という概念が欠如しているため、世界標準の医学とは異なる日本医学が行われています。
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by fibromyalgia11 | 2011-07-30 14:33 | FMの雑感

線維筋痛症の診断根拠をカルテに残しましょう

 大変残念なことですが、原因不明の痛みを何でもかんでも線維筋痛症と診断する医師がいます。私自身がその証拠を確認しています。
 1990年の診断基準(分類基準)を用いるのであれば、身体5か所に3か月以上の疼痛があることと、圧痛点の数が11以上あることをカルテに記載する必要があります。それをせず線維筋痛症という診断を下すと、その医師は信用を失います。それは自分がしたことですからやむを得ません。しかし、その医師が線維筋痛症の業界で有名であればあるほど、線維筋痛症はいい加減であると見なされてしまいます。
 線維筋痛症のグレーゾーンである慢性広範痛症や慢性局所痛症に対しては線維筋痛症と同じ治療を行うことが望ましいのです。しかし、それは慢性広範痛症や慢性局所痛症を線維筋痛症と診断してよいことにはなりません。線維筋痛症はいいかげんである後ろ指をさされないためにも、線維筋痛症と、慢性広範痛症や慢性局所痛症は厳密に区別して診断する必要があります。
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by fibromyalgia11 | 2011-07-28 21:03 | FMの診断

身体5か所の具体的な範囲

 1990年の診断基準(分類基準)では身体5か所に3か月以上疼痛があり、しかも圧痛点の数が11以上であれば、他にいかなる疾患が合併していても自動的に線維筋痛症と診断されます。
 身体5か所がどこなのかを適切に示した日本語医学書は、残念ですが「線維筋痛症がわかる本」のみです。国際疼痛学会が身体5か所の具体的な範囲を示しています示しています。「線維筋痛症がわかる本」はそれを引用して図示しています。
 頭部や顔面は上半身や左右の半身には含まれません。それは1990年の診断基準(分類基準)が掲載された論文の筆頭著者のWolfe医師からの個人的な連絡に記載されています(Wolfe医師からそれを公表してもよいという許可を得ています。
Toda K: The prevalence of fibromyalgia in Japanese workers. Scandinavian Journal of Rheumatology 86 (2) 140-144, 2007にそれを記載しています。
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by fibromyalgia11 | 2011-07-28 20:53 | FMの診断

FM患者は精神的原因が病気を引き起こしていることを認めやすい

93人の FM 患者と176 人の関節リウマチ(RA)患者が病気の原因、患者が受けている治療、効果判定に関しての患者の考えを評価した。結果:予測に反して、RA患者に比べてFM患者は精神的な原因が症状を引き起こしており、精神的な治療をより多く受けていることを多く認めている。さらにFMの患者は精神的な治療が薬物治療よりも有効であると見なしている。
Openness to psychological explanations and treatment among people with Fibromyalgia versus Rheumatoid Arthritis.
Gryfe Saperia NJ, Swartzman LC.
Psychol Health. 2011 Jul 26. [Epub ahead of print]
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by fibromyalgia11 | 2011-07-28 01:04 | FMの治療総論

機能性胃腸障害に対するトリプタノールの効果

8週間のamitriptylineの治療により飲料容量、標準的な飲料テスト (primary endpoint)と臨床症状 (secondary endpoint)によって引き起こされる症状を評価。Rome III基準を満たすfunctional dyspepsia (FD)患者に二重盲検方で無作為に amitriptyline (12.5-50 mg)又は偽薬を8週間投与。 PAGI SYM (patient assessment of upper gastrointestinal Thirty-eight patients symptom severity index)アンケートを行う。結果:38人の患者(18人がamitriptylineで偽薬が20人;年齢は41±2歳、61%が女性)が研究終了。液体飲料の飲料容量はamitriptylineでも偽薬でも影響を受けず。食後症状は両群で有意差なし。治療中、全症状点数(0.47点、P=0.02)と吐き気(0.86点、P=0.004)と)PAGI SYMは偽薬群よりamitriptyline の方が有意に減少。
Randomised clinical trial: the effects of amitriptyline on drinking capacity and symptoms in patients with functional dyspepsia, a double-blind placebo-controlled study.
Braak B, Klooker TK, Wouters MM, Lei A, van den Wijngaard RM, Boeckxstaens GE.
Aliment Pharmacol Ther. 2011 Jul 19. doi: 10.1111/j.1365-2036.2011.04775.x. [Epub ahead of print]
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by fibromyalgia11 | 2011-07-26 21:17 | 機能性胃腸障害
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世界標準の線維筋痛症を専門家が説明します


by fibromyalgia11
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