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複数の薬物を併用する際の安全性は不明

 患者さんから二つ、あるいは三つの薬を併用しても大丈夫ですかという質問をしばしば受けます。答えは不明としか言いようがありません。一つの薬の場合には動物実験により安全性が確かめられています。しかし、2つ以上の薬を併用した場合の安全性は動物実験では調べられていません。ごく例外的な組み合わせは動物実験で調べられているかもしれませんが、通常二つ以上の薬の組み合わせは動物実験では安全性が確かめれれていません。3つの組み合わせ、4つの組み合わせの安全性を動物実験で調べる事は不可能です。
 明らかに併用してはならない組み合わせはいくつかあります。しかし、それを除けば、安全かどうかは個々の患者さんに実際に使用するしか方法はありません。ひとつの薬でさえ、効果がでるか、副作用がでるかは実際に飲むしか方法はありません。ましてや二つ以上の薬を併用した際の安全性はわかりません。
 ある患者さんから人体実験ではないかという指摘を受けました。その通りです。個々の患者さんを使った人体実験としかいいようがありません。
 
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by fibromyalgia11 | 2011-10-31 23:04 | FMの薬物治療総論

外傷後に発生したCRPSに関する裁判

 複合性局所疼痛症候群(CRPS)は9割以上患者で外傷(手術、点滴、採血、針をさす医療行為を含む)後に発症します。捻挫や打撲傷などごく軽度の外傷後もCRPSが発症します。外傷の程度とCRPSの症状の程度には何ら関連がありません。捻挫や打撲傷を受傷した患者の中でCRPSが発症する患者はごくわずかです。恐らく、CRPSになりやすい要因(女性という性別など)がある人に外傷が加わってCRPSが発症したと推測しています。たとえCRPSになりやすい要因(女性という性別など)があったとしても外傷がなければCRPSは発症しなかったと推測されます。これは私の個人的な考えですが、裁判官も同様の考え方を通常しています。
 医療行為後にCRPSになり裁判になることがあります。通常は医療行為がCRPS発症の原因あるいは原因の一つと見なされます。しかし、神経に針が刺さった場合を除けば、医療行為そのものには過失がないと判定されることが多いように思います。神経に針が刺さった場合を医療側の過失とすることが適切かどうかはここでは述べません。手術によりCRPSが発症したことを過失と見なすと手術そのものをすべて中止せざるを得ません。つまり、手術後にCRPSが発症した場合、因果関係は通常認められますが過失とは認められません。
 ただし、適切な治療が行わなければ医療側の過失と見なされ、1000万円以上の損害賠償が認められます。医療行為ではない外傷の場合も、適切な治療が行われないと医療側の過失とされます。
 素因減額という概念があります。CRPSになりやすい要因のある人にCRPSが起こったのであるから素因の分だけ損害賠償額を減額するという理論です。最高裁は首長事件で素因減額を否定しています。首が長い人が頚椎捻挫になっても素因減額しませんでした。しかし、素因減額は頻繁に行われています。

 線維筋痛症もCRPSと類似しています。しかし、外傷後に発症した人の割合は半数以下です。線維筋痛症の場合、外傷とは通常交通事故後の外傷です。裁判官は因果関係に関してはCRPSの場合と同様に考えるようです。CRPSと異なり、適切な治療が行われなくても医療側は過失を現時点では問われません。

 PTSDも同様と思います。同程度に怖い思いをした人でも全員がPTSDになるわけでもありません。なぜPTSDが起こるのか完全に分かっているわけではありません。しかし、外傷後にPTSDが起こった場合には因果関係が通常認められます。PTSDでは因果関係が認められ、線維筋痛症では因果関係が認められないことはおかしなことです。
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by fibromyalgia11 | 2011-10-30 11:11 | 複合性局所疼痛症候群

自殺する患者さん

 線維筋痛症患者さんは時々自殺します。慢性疲労症候群を合併していると自殺する可能性が高くなると私は推測していますがデータはありません。自殺念慮(自殺したいと考えること)、自殺企図(自殺行動を起こすこと)、リストカットは日常茶飯事です。リストカットは文字通りの手首のみならず前腕、上腕、大腿部にも起こります。リストカットは自殺関連行動に含まれますが、通常自殺する意思はなく心を落ち着けるために儀式のようです。ただし、その儀式の最中誤って死んでしまう人はいるかもしれません。その場合、結果的には自殺になります。
 線維筋痛症患者さんの自殺の原因には大きく分けて二つあります。一つは痛みの苦しさや将来の不安のために自分の意思で自殺する場合と、薬の副作用で自殺する場合です。問題は後者です。SSRIという抗うつ薬の副作用で自殺が起こることがあります。SSRIは自殺のみならず衝動的な行動を引き起こすことがあります。衝動的な行動とは殺人と自殺です。アメリカのコロンバイン高校で大量殺人を起こした犯人の少なくとも1人はSSRIを飲んでいたことが報告されています。日本でもSSRIを飲んでいる人が殺人事件を起こしているようです。明確な証拠がないため「ようです。」という表現にしました。
 様々な報告を総合すると、SSRIは全体としては自殺を減らすあるいは少なくとも自殺を増やさないと考えています。しかし、ごく一部の患者では自殺や殺人を引き起こします。私自身の経験であるためそう断言します。最近では子供へのSSRIの投与は専門家(ほとんどの場合精神科医を意味します)に限るという規則になりました。しかし、SSRIは成人にも殺人や自殺を引き起こします。45歳男性でそれが起こりました。幸いにも強烈な殺人願望と強烈な自殺願望が出ましたが実行されませんでした(戸田克広:三環系抗うつ薬により弱い自殺念慮が選択的セロトニン再取り込み阻害薬により強い自殺念慮と他殺念慮が生じた成人慢性広範痛症の1例 最新精神医学 16: 205-208, 2011)。自動車に乗っている時には自動車から飛び降りたくなりました。その人がマンションの高層階に住んでいれば間違いなく自殺したであろうとのことでした。SSRIによる殺人や自殺の特徴は以下の通りです。1:SSRIを飲み始めた直後あるいは増量した直後に起こりやすい。2:攻撃的な自殺になりやすい。準備が必要な首吊りや服毒自殺ではなく、準備があまりいらない高いところからの飛び降りなどを選択する。そのため、SSRIを飲んでいる線維筋痛症患者さんが飛び降り自殺をした場合にはSSRIによる副作用としての自殺の可能性を考えた方がよいと思います。
SSRIによる自殺を防ぐ方法はありません。私は45歳の男性に1錠のSSRIを処方しましたが2,3日で殺人願望、自殺念慮が生じました。SSRIを飲む限りこの副作用を回避することはできません。誰に起こるのかもわかりません。私が全員に「薬を飲むと死亡する可能性がごくわずかに増える。」と説明する理由の一つがSSRIによる自殺です。ただし、「殺人を犯すかもしれない。」とは説明していません。
 この文章を読んでもSSRIを中止しないで下さい。自分の判断でそれを中止した場合の損害を私は補償しません。必ず医師に相談してください。
 話を元に戻します。線維筋痛症患者さんでは自殺が時々起こります。自殺念慮が出た場合には精神科に紹介しています。ほとんどの精神科医は線維筋痛症を認めていません。彼らにとっては身体表現性障害に訳のわからない診断をつけて治療に失敗したと映るようです。
 幸いにも現時点では私が治療している最中に自殺して死亡した患者さんは私が知る限り1人もいません。それは私の腕がよいのではなく、患者数が多くはないことと、運がよいだけです。私が2,3回診察を行い、いつの間にか受診されなくなり、他の医療機関に移った方が自殺したという風の便り(詳細は話せません)は聞いたことがあります。
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by fibromyalgia11 | 2011-10-30 09:00 | FMの雑感

逃げてくる患者さん

 他の医療機関、整体、マッサージ、鍼から多数の患者さんが私を頼って受診します、紹介される場合もありますが、紹介されず逃げてくる患者さんの方が多いのです。その点から考えると私の治療の方が優れているように思われてしまいます。大変残念なことですが、私の治療に嫌気がさして通院を中止する患者さんは少なくありません。他の医療機関などから逃げてくる患者さんと、私から逃げる患者さんを比べるとどちらが多いのかは分かりません。
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by fibromyalgia11 | 2011-10-29 22:41 | FMの雑感

治療成績の問題点

 捏造された治療成績が少なくありません。線維筋痛症の患者数が5人もいないうちにすばらしい治療成績をうたっている治療法や、入院患者を集めるための怪しげな治療法の宣伝のための捏造されたと推測される治療成績があります。そのような捏造は除外して話をすすめます。
 線維筋痛症の治療成績を報告することは非常に難しいのです。最大の問題点はこなくなった患者さんの治療成績の評価法です。途中で通院を中断する患者さんは珍しくありません。通常、途中で通院を中断した患者さんは、治療成績が悪いことに嫌気がさして通院を中断します。そのため、そのような患者さんを除外すると治療成績がよくなります。線維筋痛症の治療成績の評価には様々な方法があります。しかし、途中で通院を中断した患者さん(ドロップアウト例)ではその評価が不可能です。これが大問題なのです。ドロップアウト例を含めると治療成績は悪くなり、ドロップアウト例を含めないと治療成績はよくなります。そのため、治療成績を記載した報告がある場合、ドロップアウト例を含めているのかどうかを確認する必要があります。何も記載がない場合にはドロップアウト例を含めていないと考えた方がよいと思います。
 私は自分自身の治療成績を報告しています。詳細は「線維筋痛症がわかる本」を参照してください。私はドロップアウト例を全例含めています。その人たちの治療成績の評価は非常に困難です。私は治療前の痛みを100とすると今の痛みはいくらですかという評価法を用いました。現在通院している人では評価は可能ですが、ドロップアウト例では不可能です。それでも私は評価しました。痛みが90以下にならなかった(無効)、痛みが90以下になったが30以下にはならなかった(有効)、痛みが30以下になった(著効)、薬を中止できた(治癒)の4段階にしました。ドロップアウト例はカルテを見てどれに該当するかを私の主観で判断しました。自分に甘く判定すればいくらでも甘くすることが可能です。私は自分自身の評価に絶対の自信を持っています。治療成績がよいからではありません。私は自分自身に厳しく評価を行いました。
 線維筋痛症の基準に合わない患者さんを線維筋痛症と診断する医師もいるようです。そのような患者さんは線維筋痛症より治療成績がよいのです。線維筋痛症の基準に合わない患者さんを線維筋痛症と診断することにより患者数が増えると共に、治療成績がよくなります。これは反則です。線維筋痛症の基準に合わない患者さんを線維筋痛症と診断すべきではありません。ましてや、その人たちを線維筋痛症の治療成績に含めるべきではありません。
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by fibromyalgia11 | 2011-10-29 22:27 | FMの治療総論

家に帰って考えるは再診しないことを意味する

 私は線維筋痛症ではない患者さんには「将来はともかく現時点では線維筋痛症ではありません。診断のみであればこれでおしまいです。治療を希望されるのであれば治療をします。」と説明しています。線維筋痛症類似状態には線維筋痛症と同じ治療をする書類を渡して読んでいただいています。
 また、「薬を使用すると、死亡する確率がごくわずかではあるが高くなります。」とも説明しています。
 そうすると、再診しない患者さんが少なくありません。繊維筋痛症でない場合には半数以上の方が再診しません。あいまいな返事をされる方もいらっしゃいます。その場合には「家に帰ってよくお考え下さい。」と説明しています。その場合、再診する人はほとんどいらっしゃいません。それでも再診した方は2人(私の記憶にある限り)のみです。1人の方はかかりつけの医師に相談され私は正直に説明したにすぎないと説明され再診されました。医師であればほとんどすべての薬を飲むと副作用で死亡する確率は皆無ではないことを知っています。また1年近くして再診された方もいらっしゃいます。その患者さんは大病院を受診して治療効果がありませんでした。診断書を書く際、「診断名が分からないので診断書を書くことができない。」と言われやむを得ず私を再診されました。その方は症状が改善し就労可能になりました。これとは逆に私が治療しても症状が改善せず、別の医療機関を受診して症状が改善した人もいると思います。
 線維筋痛症のグレーゾーンの患者さんは半数以上が再診されません。
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by fibromyalgia11 | 2011-10-29 19:03 | FMの雑感

診断基準を満たさない患者を線維筋痛症と診断してはならない

 線維筋痛症の診断基準には1990年、2010年、2011年の三つがあるが、「2011年の基準はsurvey research(調査研究)様であり臨床の診断には使用してはならない。」というコメントがWolfe医師(三つの基準が載った論文すべての筆頭著者)から出ました。そのため恐らく1990年と2010年の二つの基準が存在することになります。
 線維筋痛症の日本語総説を読むと診断基準を満たさなくても線維筋痛症と診断しても構わないという記載がしばしばなされます。これには大反対です。それにより線維筋痛症そのものがいい加減であると思われます。いい加減な診断をした医師が不名誉な評判を立てられることはやむを得ませんが、線維筋痛症がいい加減な疾患と思われることは避けたいのです。
 私の診察机の上に某医師が書いた「本患者は線維筋痛症である」という趣旨の診断書、カルテのコピー、そして「その医師は線維筋痛症の診断基準を満たさない患者を線維筋痛症と診断している。」という趣旨の書類が並んだことがあります。
 線維筋痛症よりも線維筋痛症に似てはいるが線維筋痛症の診断基準を満たさない患者の方がはるかに多いのです。その人たちを線維筋痛症にしたい気持ちは分かりますが、それをすると線維筋痛症そのものの評判を落としてしまいます。線維筋痛症に似てはいるが線維筋痛症の診断基準を満たさない患者にも線維筋痛症と同じ治療を行えば何も問題はありません。論文を書いたり、学会発表の際には線維筋痛症患者の人数が多い方が都合がよいのですが、線維筋痛症に似てはいるが線維筋痛症の診断基準を満たさない患者を線維筋痛症と診断することは反則です。線維筋痛症に似てはいるが線維筋痛症の診断基準を満たさない患者(線維筋痛症のグレーゾーン)は治療に反応しやすいため、その患者が含まれる集団を用いて、「私の治療成績はよい。」と言うことは反則です。
 線維筋痛症に似てはいるが線維筋痛症の診断基準を満たさない患者(線維筋痛症のグレーゾーン)に線維筋痛症の治療を行えば何も問題はないのです。ただし、「(あなたは)線維筋痛症ではありません。診断のみを希望するのであればこれで終わりです。治療を希望するのであれば治療をします。」と説明すると治療を希望しない患者さんが少なくありません。私には理解できませんが、それがその患者さんの価値観なのです。自分の価値観を患者さんに押し付けることは私はしていません。もちろん線維筋痛症類似状態には線維筋痛症と同じ治療をすることは書面で説明しています。
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by fibromyalgia11 | 2011-10-28 23:40 | FMの診断

心因性運動障害と心因性疼痛

 テレビ番組で運動能力が著しく悪い芸人さんの特集をしていました。その運動能力は想像を絶するひどさでした。ボール投げさえもまともにできないのです。その芸人さんは普通に歩くことはできるのです。恐らく普通に食事もできると思います。しかし、ボール投げができないのです。ボールを投げる動作は体の様々な部位の協調運動です。恐らくその協調運動がうまくできないのであろうと推測しています。その原因はほぼ間違いなく脳の機能障害です。しかし、それは心因性運動障害とは言いません。
 線維筋痛症は脳の機能障害が原因であろうと推測されたいます。しかし、痛みの原因が脳の機能障害である場合には心因性疼痛と考える人がいます。これはおかしなことです。脳の機能障害が原因という点では同じでも、運動の場合には心因性運動障害とは考えず、痛みの場合には心因性疼痛と考えるのです。
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by fibromyalgia11 | 2011-10-28 22:55 | その他の疼痛

化学物質過敏症の合併

 線維筋痛症も化学物質過敏症も中枢性過敏症候群に含まれる疾患です。線維筋痛症には時々化学物質過敏症が合併します。化学物質過敏症が合併すると症状が重篤になるとともに治療が困難になります。
 化学物質過敏症を合併すると食事が問題になります。様々な食品添加物を食べると痛みが悪化したりアレルギー症状が出ます。ひどい場合には外出すら困難になります。化学物質過敏症が合併すると薬に対しても過敏になります。副作用という形で症状が出ます。患者さんの中には薬を使用することを断念する人もいます。その場合、治療の中止に限りなく近くなります。
 理論的には体内に化学物質を頻回に取り入れると化学物質過敏症になりやすいと考えられています。喫煙は大量の化学物質を頻回に体内に取り入れることになります。喫煙は間違いなく線維筋痛症の危険因子ですが、もしかすると化学物質過敏症の危険因子かもしれません。
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by fibromyalgia11 | 2011-10-27 19:50 | FMの症状

線維筋痛症患者の毛髪中の金属濃度は低い

ACR基準の54人の女性FM患者。通常の健康診断に訪れた年齢とBMIを一致させた122人の女性が対照。髪の毛の金属を比較。平均年齢は43.7歳. 全般的な特徴には両群に差がない。FM患者は有意にカルシウム (775 µg/g vs 1,093 µg/g), マグネシウム(52 µg/g vs 72 µg/g), 鉄 (5.9 µg/g vs 7.1 µg/g), 銅 (28.3 µg/g vs 40.2 µg/g) およびマンガン(140 ng/g vs 190 ng/g)が低い。多変量解析しても、有意にFM患者ではカルシウム、マグネシウム、鉄、マンガンが低い。
Women with fibromyalgia have lower levels of calcium, magnesium, iron and manganese in hair mineral analysis.論文あり
Kim YS, Kim KM, Lee DJ, Kim BT, Park SB, Cho DY, Suh CH, Kim HA, Park RW, Joo NS.
J Korean Med Sci. 2011 Oct;26(10):1253-7. Epub 2011 Oct 1.
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by fibromyalgia11 | 2011-10-26 17:28 | FMの検査
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世界標準の線維筋痛症を専門家が説明します


by fibromyalgia11
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