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線維筋痛症の年齢別有病率は逆V字

 線維筋痛症FMの年齢別有病率を調べた研究がいくつかあります。FMの約8割は女性であるため女性に限定して話を進めます。十代後半から年齢と共に有病率は増加します。ピークは研究により異なりますが50-80歳でピークになり、以後は年齢とともに有病率は減少します。
 10代後半から50-80歳までは年齢とともに有病率が増加することは何となく理解できます、50歳頃になれば自分自身の健康問題、子供の進学や結婚、親の介護、夫の定年などの問題が出てきます。強姦される女性の頻度も50歳頃までは年齢とともに増加するでしょう。仕事上での過労の頻度も増えるでしょう。リストラの対象にもなりやすいでしょう。しかし、ピークを過ぎると有病率が年齢と共に減る原因は私には理解できません。
 高齢者では有病率が減少しますが、これは高齢者では線維筋痛症患者が減ることを必ずしも意味しません。実は、有病率の研究の対象者は自宅に住んでおり、痛みのアンケートや圧痛点の診察が可能な人なのです。つまり、病院に入院していたり、老人ホームや施設に入所している人はこの研究に含まれません。また、自宅に住んでいても、自分の痛みを正確に訴えることができなかったり、圧痛点の診察時に「痛い」ということのできない人、つまり認知症のひどい人はこの研究には含まれません。
 そのため、高齢者の有病率が減少する原因としては以下の可能性があります。
1:高齢者では線維筋痛症の症状が軽減するため、線維筋痛症患者が減少する。
2:高齢の線維筋痛症患者は寝たきりになりやすく、その結果自宅には住めなくなる可能性が高い。つまり、病院に入院していたり、老人ホームや施設に入所する可能性が高くなる。
3:高齢の線維筋痛症患者は寝たきりになりやすく、たとえ自宅に住んでいても認知症になりやすい。
4:高齢の線維筋痛症患者は寝たきりになりやすい。原因は何にせよ、寝たきりになった高齢者は合併症により死亡する確率が高くなる。
 この原因が何であるのかは現時点ではよくわかっていません。

 児童の有病率はそれらの研究では報告されていません。それらの研究からは児童の有病率は成人のそれよりかなり低いことが予想されます。しかし、児童のみを調べた研究では、むしろ成人の有病率よりもかなり高い有病率が報告されています。
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by fibromyalgia11 | 2011-12-29 20:20 | FMの疫学

抗うつ薬、抗けいれん薬、抗不安薬、抗精神病薬の後発品は効果が少ないことがある

 心血管疾患に使用する薬物においては、後発品も先発品も同程度の効果を発揮するようである。
Kesselheim AS, Misono AS, Lee JL, Stedman MR, Brookhart MA, Choudhry NK, et al.
Clinical equivalence of generic and brand-name drugs used in cardiovascular disease: a systematic review and meta-analysis.
JAMA. 2008;300:2514-2526.


 しかし、抗うつ薬、抗けいれん薬、抗不安薬、抗精神病薬においては、後発品は先発品より効果が少なく、先発品から後発品に変更するとそれまでなかった副作用が出ることがある。
Desmarais JE, Beauclair L, Margolese HC.
Switching from Brand-Name to Generic Psychotropic Medications: A Literature Review.
CNS Neurosci Ther. 2011 Dec;17(6):750-60.

 日本の後発品と、外国の後発品は必ずしも同じではないため日本における後発品がどうであるのかは厳密にはわかりません。ただし、これは「先発品と後発品は必ずしも同一ではない」ことを前提にした推測です。
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by fibromyalgia11 | 2011-12-27 20:23 | FMの薬物治療総論

侵害受容性疼痛でなければ治療はほぼ同じ


 痛みは原因の観点から侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛、およびその合併の三つに分類されます。典型的な場合には侵害受容性疼痛や神経障害性疼痛とすぐに診断可能ですが、それが不明瞭な場合もあります。あ侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛の合併の場合の診断は不明瞭です。
 侵害受容性疼痛か神経障害性疼痛かがかわからない場合にはまず、前者の治療を行えばよいのです。カロナール、セレコックス、ロキソニンの順に使用し、最後はボルタレン座薬です。オピオイドの使用は別として、それで効果が不十分であれば神経障害性疼痛の治療を行えばよいのです。NSAIDが不十分ながら有効であればNSAIDに神経障害性疼痛の治療を追加し、NSAIDが無効ならNSAIDを中止して神経障害性疼痛の治療を中止すればよいのです。
 神経障害性疼痛の治療は単純です。基本的には線維筋痛症の治療をすればよいのです。線維筋痛症の治療とかなり異なる神経障害性疼痛はありますがそれは例外です。片頭痛の発作時、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、群発頭痛がそれに該当します。CRPSの初期にはステロイドが有効なことや、ビスフォスフォネート製剤がCRPSに有効ですが、それら以外は線維筋痛症の治療をCRPSに流用することは許容されます。
 神経障害性疼痛と判断したら厳密な診断にこだわる必要はありません。正確な診断ができればそれが望ましいのですが、正確な診断ができない場合に治療を行わないことは望ましくありません。たとえば脳卒中がある場合、脳卒中が原因の痛みであるのか、線維筋痛症あるいはそのグレーゾーンが原因の痛みであるのかを厳密に鑑別することは不可能です。場合によっては両者が原因かもしれません。線維筋痛症の治療をすればよいのです。診断がつかないから治療ができないという医学理論は捨てた方がよいと思います。診断不能のまま治療を行えばよいと思います。
 線維筋痛症の治療を勧める理由は三つです。①有効な治療方法が恐らく神経障害性疼痛の中で最も多い。②線維筋痛症あるいはそのグレーゾーンは人口の少なくとも20%であり、それらには線維筋痛症の治療が有効です。片頭痛の予防薬は線維筋痛症の治療を類似していることを鑑みれば、恐らく線維筋痛症の治療が有効な神経障害性疼痛が、神経障害性疼痛のなかで最も多い。③症状が広範囲で多彩である。
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by fibromyalgia11 | 2011-12-27 19:29 | 神経障害性疼痛

SSRIによる自殺や殺人

 SSRIには衝動性を増加させる副作用があります。SSRIを飲んでいる最中に怒りやすい、あるいは何かにつけて突っかかりやすいという症状が出る場合があります。
 実は、SSRIには自殺や殺人を引き起こす副作用があります。以下のような論文が報告されています。

系統的総説。8つの研究で中等度または強度の抑うつを持つ20万人以上のメタ解析。青少年ではSSRIs投与により自殺完遂または自殺企図の危険性が増え (odds ratio [OR] 1.92, 95% confidence interval [CI] 1.51-2.44), 成人では危険性が減少する (OR 0.57, 95% CI 0.47-0.70)。65歳以上ではSSRIsは予防効果がある(OR 0.46, 95% CI 0.27-0.79).青少年ではSSRIsは自殺完遂の危険性を高め(OR 5.81, 95% CI 1.57-21.51)成人や (OR 0.66, 95% CI 0.52-0.83) 老人では (OR 0.53, 95% CI 0.26-1.06)その危険性が低くなる.
Barbui C, Esposito E, Cipriani A. Selective serotonin reuptake inhibitors and risk of suicide: a systematic review of observational studies. CMAJ. 2009;180:291-297.

 SSRIによって(有意差があるかどうかは別として)自殺が増えるという報告もありますが、自殺が減るという報告もあります。若年者ではSSRIにより自殺が少し増えるが人口全体としては自殺は減ると考えることが妥当と思います。SSRIが未成年者の衝動的殺人を引き起こすのではないかと危惧されています。因果関係は不明ですがSSRI内服中に殺人事件が起きています。アメリカのコロンバイン高校で銃を乱射した生徒の1人はSSRIを内服していました(Breggin PR, ed. The antidepressant fact book. Cambridge: Perseus Books; 2001.)。殺人を犯した者は自分の罪を軽くするために「SSRIが原因である。」と主張する可能性はあります。
 実は45歳の人にSSRIを投与したところ強烈な自殺念慮と強烈な殺人願望の副作用がでたことが報告されました(戸田克広:三環系抗うつ薬により弱い自殺念慮が選択的セロトニン再取り込み阻害薬により強い自殺念慮と他殺念慮が生じた成人慢性広範痛症の1例. 最新精神医学 16(2) 205-208, 2011)。この人では自殺も殺人も強い欲求が出たのみで実行されませんでした。「SSRIが殺人を誘発した」と主張して、自分の罪を軽くする必要は全くないのです。
 SSRIは集団全体としては自殺を増やさないあるいは自殺を減らすかもしれません。しかし、個人レベルでは間違いなくSSRIにより自殺する人がいると判断せざるを得ません。私が報告した患者さんでは少量のSSRIを投与すると数日で強烈な自殺念慮と強烈な殺人願望がでました。防ぎようがありません。
 線維筋痛症にはSSRIはあまり有効ではないため使用はまれです。しかし、不安障害を合併している場合にはSSRIを頻繁に使用します。そのため私は「薬を飲むことによって死亡する確率がほんのわずかに増える。」と説明しています。しかし,「薬を飲むことによってあなたは殺人を犯す可能性があります。」とは説明していません。

SSRIを自分の判断で中止しないで下さい。

 
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by fibromyalgia11 | 2011-12-25 21:52 | 抗うつ薬

ノリトレンよりトリプタノールが優先(個人的見解)

 私の個人的な見解ではノリトレンよりトリプタノールを優先して使用しています。国際疼痛学会は、線維筋痛症と三叉神経痛を除く神経障害性疼痛の薬物治療の一般論としてトリプタノールよりノリトレンを優先使用するように勧告しています。トリプタノールよりノリトレンの方が副作用が少ないからです。
 まずは一般論。トリプタノールよりノリトレンの方が一般論として鎮痛効果が弱く、副作用も弱いのです。実際に使用すると逆のこともありますが、一般論としては正しいと思います。実はトリプタノールは体内で大部分がノリトレンに変化します。
 私の個人的な見解は、国際疼痛学会の勧告とは逆です。トリプタノールが副作用で中止になった場合には一般論で副作用の少ないノリトレンを使うことには問題はありません。しかし、トリプタノール150 mgが無効な場合、一般論で鎮痛効果が弱いノリトレンの使用は躊躇されます。一方、ノリトレン150 mgが無効な場合、一般論で鎮痛効果が強いトリプタノールを使用することには問題はありません。しかし、ノリトレンが副作用で使用不能になった場合には一般論で副作用の強いトリプタノールの使用は躊躇されます。
 トリプタノール150 mgが無効な場合、一般論で鎮痛効果が弱いノリトレンの使用は躊躇されます。ノリトレンが副作用で使用不能になった場合には一般論で副作用の強いトリプタノールの使用は躊躇されます。両方とも問題なのですが後者の躊躇の方が大きいと私は考えています。また明確なデータはありませんが、私の経験では後者の頻度の方が多い様に感じています。ノリトレンをトリプタノールより優先使用することはほとんどないため厳密にはわかりませんが。
 私の個人的見解が国際疼痛学会の勧告とは異なる理由は以上です。ただし、各医師はどちらの意見(あるいは勧告)を採用されても問題はないと思います。
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by fibromyalgia11 | 2011-12-25 18:29 | FMの薬物治療各論

慢性疲労症候群の原因としてXMRVを肯定する論文がScienceから撤回

論文取り下げ
Detection of an infectious retrovirus, XMRV, in blood cells of patients with chronic fatigue syndrome"
V. C. Lombardi et al., Science 326, 585 (2009);

 XMRVというウイルスが慢性疲労症候群の原因という説の有力な論文が取り下げになりました。論文投稿者が誤りに気が付き自主的に論文を取り下げた場合と、捏造と認定されて強制的に論文が取り消される場合があります。
 最近ではXMRVは慢性疲労症候群には関係がないという論文が多く、今回の論文撤回でXMRV説は一気に下火になると思われます。ただし、慢性疲労症候群の原因としてウイルスなどの微生物説は有力な説の一つであることには何ら影響はありません。

 
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by fibromyalgia11 | 2011-12-24 22:19 | 慢性疲労症候群

線維筋痛症のメラトニンレベルは健常人と差がない

25人の閉経前 FMS患者の特徴とメラトニンレベルを調べた. 25人の閉経前 FMS患者と20人の年齢性別を一致させた健常人の血清を検査。メラトニンレベルはenzyme-linked immunosorbent assayで測定。結果を健常人と比較。FMS患者の決しメラトニンは健常人と有意差なし(P>0.05). FMS患者のメラトニンレベルと、罹病期間、睡眠障害、疲労、痛み点数には関連なし。

Rheumatol Int. 2011 Dec 23. [Epub ahead of print]
Melatonin levels in premenopausal women with fibromyalgia syndrome.
Senel K, Baygutalp F, Baykal T, Erdal A, Ugur M.
Department of Physical Medicine and Rehabilitation, Atatürk University Medical Faculty, Erzurum, Turkey,
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by fibromyalgia11 | 2011-12-24 21:49 | FMの検査

機能性胃腸障害の補完代替医療

137人のfunctional gastrointestinal disorders 患者がアンケートに答える。62%(85人)が女性、38%(52人)が男性。28の異なる補完代替医療complementary and alternative medicine を受けていた。4つに分類され、栄養、薬/生物製剤、心理療法、肉体活動。全員が少なく一つを試しており、大部分の方法は部分的な症状改善をもたらす。

Complementary and alternative medicine used by persons with functional gastrointestinal disorders to alleviate symptom distress.
Stake-Nilsson K, Hultcrantz R, Unge P, Wengström Y.
J Clin Nurs. 2011 Dec 17. doi: 10.1111/j.1365-2702.2011.03985.x. [Epub ahead of print]
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by fibromyalgia11 | 2011-12-23 17:09 | 機能性胃腸障害

抗欝薬、抑うつにより脳卒中がおこりやすい

・脳卒中の既往のない54-79歳の女性80,574人を2000年から2006年まで経過観察. コホート研究では, よくうつ症状をthe Mental Health Index score (1992, 1996 and 2000)で評価し, 臨床的に抑うつ症状が強いことを52点以上と定義。1996年から2年に一度抗うつ薬使用を調べ医師が診断した抑うつを2000年から2年に1回報告。6年間の経過観察で1033人が脳卒中。抑うつの既往により脳卒中の危険性が高まり、抗うつ薬の使用は抑うつの既往の有無に関わらず脳卒中の危険性が高まる。
Depression and stroke risk.
Caso V, Santalucia P, Pezzella FR.
Womens Health (Lond Engl). 2012 Jan;8(1):35-7.
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by fibromyalgia11 | 2011-12-23 15:30 | 抗うつ薬

抗不安薬による死亡率の増加

 40-42歳の男女各々7000人以上を平均18年コホート研究で抗不安薬あるいは睡眠薬を投与すると死亡の危険性が高くなり、特に女性では様々な他の因子を除外しても死亡の危険性が1.7倍(95%CI 1.1-2.6)と統計学的に有意に高くなると報告されている。男性では1.5倍(95%CI 0.9-2.7)だが統計学的に有意には高くならず。

Hausken AM, Skurtveit S, Tverdal A. Use of anxiolytic or hypnotic drugs and total mortality in a general middle-aged population. Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2007;16:913-8.

 男性は統計的には有意ではありませんが、死亡率が高くなる傾向です。女性のみに危険な薬は通常ないと私は考えています。
 抗不安薬を自分の判断で中止しないで下さい。主治医に相談してから漸減してください。
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by fibromyalgia11 | 2011-12-23 15:07 | 抗不安薬の常用量依存
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世界標準の線維筋痛症を専門家が説明します


by fibromyalgia11
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