むずむず脚症候群の薬物治療の新しい考え方

総説。最近まで、RLS/WEDの第一選択の治療は低用量のドパミン作動薬であり、 the US Food and Drug Administration およびthe European Medicines Agency3つの薬が認可されていた。しかし、dopaminergic augmentationの発生とドパミン作動薬による長期間の治療中の症状の程度の全般的な増加により、非ドパミン作動薬、特にα2δリガンドの選択肢が最初の治療として使用されつつある。最近の国際的なガイドラインは、可能であれば最初からaugmentationを避けるためにこれらの薬(α2δリガンド)で治療を開始することを勧めている. その他の(例えばグルタミン酸作動性又はアデノシン) 神経伝達物質はRLS/WEDを引き起こすことに重要な役割を果たしているかもしれず、そのため新しい治療を導くかも。

BMJ.2017 Feb 27;356:j104. doi: 10.1136/bmj.j104.

New concepts in the management of restlesslegs syndrome.

Garcia-Borreguero D1, Cano-Pumarega I2.

  • 1Sleep Research Institute, Madrid 28036, Spain dgb@iis.es.
  • 2Sleep Research Institute, Madrid 28036, Spain.


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# by fibromyalgia11 | 2017-03-19 19:46 | むずむず脚症候群

複合性局所疼痛症候群におけるビタミンCの予防効果:系統的総説とメタ解析


手関節骨折後のCRPSに対するビタミンCの予防効果の系統的総説とメタ解析。
結果:
875人の患者を含む3つの無作為振り分けの偽薬対照研究を本研究に含んだ。758/890(85.1%)は骨折を非手術的に治療し、132(14.9%)は骨折を手術。Vitamin C補充を受傷日から開始し、50日間継続した。500mg vitamin Cを毎日投薬された群では, CRPS-Iの危険比は0.54 (95%CI,0.33-0.91;p=0.02).そのため, CRPS-Iが発生する危険性は1500mgvitamin Cの予防投与により有意に低下した. 異質性の割合は65%(非有意)。まとめ:1500mgvitamin C50日間の補給は、手関節骨折後の1年時のCRPS-Iの危険性を低下させる。エビデンスレベル:II, systematic review of level I and IIstudies.

OrthopTraumatol Surg Res. 2017 Mar 5. pii: S1877-0568(17)30055-5. doi:10.1016/j.otsr.2016.12.021. [Epub ahead of print]

Efficacy of Vitamin C in Preventing Complex Regional Pain Syndrome after Wrist Fracture: ASystematic Review and Meta-Analysis.

Aim F1, Klouche S2, Frison A2, Bauer T2, Hardy P3.

1

HôpitauxUniversitaires Paris Ile-de-France Ouest, AP-HP, F-92100 Boulogne-Billancourt,France. Electronic address: florenceaim@gmail.com.

2

HôpitauxUniversitaires Paris Ile-de-France Ouest, AP-HP, F-92100 Boulogne-Billancourt,France.

3

HôpitauxUniversitaires Paris Ile-de-France Ouest, AP-HP, F-92100 Boulogne-Billancourt,France; Université de Versailles Saint-Quentin-en-Yvelines, F-78000 Versailles,France.


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# by fibromyalgia11 | 2017-03-19 19:41 | 複合性局所疼痛症候群

線維筋痛症における偽薬効果のメタ解析

FMにおける偽薬効果と決定因子の無作為振り分け対照研究(randomised controlled trialsRCTs)のメタ解析。文献検索から3912の研究を同定。精査の後、229の研究が含まれる基準を満たした。無作為振り分け対照研究(randomisedcontrolled trialsRCTs)により偽薬を受けた参加者は無治療の患者(観察のみまたは待機リスト)よりも疼痛、疲労、睡眠の質、身体機能、およびその他の主要な結果が有意に改善した。鎮痛における偽薬の効果の大きさ(effect sizeES)は臨床的に中等度(0.53, 95%CI 0.48 to 0.57).活性治療の強さが増えるに従い、患者の年齢とベースラインの疼痛強度が増える従い、ESが増加したが、女性が多いRCTSFMの罹病期間が長くなるとESは低下した。さらに、FMにおいてRCTsにおける偽薬治療は有効。要因(期待された治療の強さ、年齢、性別、疾患の期間)の数はFMにおける偽薬効果の強さに影響するようである。{Chen, 2017 #7077}

Clin Rheumatol. 2017 Mar 15. doi:10.1007/s10067-017-3595-8. [Epub ahead of print]

The placebo effect and its determinants in fibromyalgia: meta-analysis of randomised controlledtrials.

Chen X1, Zou K1, AbdullahN1, WhitesideN1, SarmanovaA1, Doherty M1, Zhang W2.

1

ArthritisResearch UK Pain Centre, Academic Rheumatology,Division of Rheumatology, Orthopaedics and Dermatology, University of Nottingham,Nottingham, UK.

2

ArthritisResearch UK Pain Centre, Academic Rheumatology,Division of Rheumatology, Orthopaedics and Dermatology, University ofNottingham, Nottingham, UK. weiya.zhang@nottingham.ac.uk.


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# by fibromyalgia11 | 2017-03-19 19:35 | FMの薬物治療総論

喫煙は抗うつ薬の血中濃度を減らす

喫煙と新世代の抗うつ薬の薬物動態の関連の系統的総説。結果:21の研究が含める基準に合致; 7つはfluvoxamine,2つはfluoxetine,sertraline, venlafaxine, duloxetine 又はmirtazapineを評価し, escitalopram, citalopram, trazodone およびbupropionは一つの研究で評価。paroxetine 又はagomelatineに関する研究はない. fluvoxamine, duloxetine, mirtazapineおよび trazodoneの血清レベルは非喫煙者の方が喫煙者より有意に高い。他の抗うつ薬の情報は乏しい。

Ann Gen Psychiatry. 2017 Mar6;16:17. doi: 10.1186/s12991-017-0140-8. eCollection 2017.

Smoking and antidepressants pharmacokinetics: asystematic review.

OliveiraP1, Ribeiro J1, Donato H2, Madeira N1.

1

PsychiatryDepartment, Coimbra Hospital University Centre, Praceta Mota Pinto, 3000-075Coimbra, Portugal.

2

DocumentationDepartment, Coimbra Hospital University Centre, Coimbra, Portugal.


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# by fibromyalgia11 | 2017-03-19 19:31 | 抗うつ薬

妊娠中のアセトアミノフェンは子供の喘息の危険因子:系統的総説とメタ解析

出生前のparacetamol暴露が子供時代の喘息と関連するかどうかの系統的総説とメタ解析。結果:1,043,109人以上を含む13の論文をこのメタ解析に含めた。出生前のparacetamol暴露と子供の喘息の危険性の間には有意な関連があった。データによると、random-effectモデルでは、出生前の paracetamol暴露は子供の喘息の危険性を増加させ得る(OR=1.19; 95% CI, 1.12-1.27; P<0.00001). 6つの研究では、妊娠の第1の三分期でのparacetamol暴露を報告. 妊娠の第1の三分期でのparacetamol暴露は子供の喘息の危険性を増加させる(OR=1.21; 95% CI, 1.14-1.28; P<0.00001). さらに、妊娠第2,3の三分期でのparacetamol暴露は子供の喘息の危険性と関連(OR=1.13; 95% CI, 1.04-1.23; P=0.005)。まとめ:本研究によると、出生前のparacetamol暴露は子供時代の喘息の危険性の増加と有意に関連。

Allergol Immunopathol (Madr). 2017 Feb 22. pii: S0301-0546(17)30005-8. doi:10.1016/j.aller.2016.10.014. [Epub ahead of print]

Prenatal paracetamol use and asthma inchildhood: A systematic review and meta-analysis.

Fan G1, Wang B1, Liu C1, Li D2.

  • 1Norman Bethune Health Science Center, Jilin University, 828 Xinmin Avenue, Changchun 130021, Jilin, China.
  • 2Norman Bethune Health Science Center, Jilin University, 828 Xinmin Avenue, Changchun 130021, Jilin, China; Department of Hepatology, First Hospital, Jilin University, Changchun, 130021, P. R. China. Electronic address: lidong1@jlu.edu.cn.

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# by fibromyalgia11 | 2017-03-19 19:26 | アセトアミノフェン、NSAID

References:

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# by fibromyalgia11 | 2017-03-11 19:29 | その他

旧ガイドラインの薬物療法アルゴリズムにエビデンスはなく最大の問題点

CQ8-1 わが国の線維筋痛症に対する薬物療法アルゴリズムの原則は何か

 この章が最も問題になる章である。エビデンスに基づき私が日本線維筋痛症学会に送った原稿は以下の通りである。


医学中央雑誌で「線維筋痛症 AND 薬物 AND アルゴリズム」で調べると該当する論文はなかった。『線維筋痛症診療ガイドライン2013[1]には、FMを筋緊張亢進型、筋付着部炎型、うつ型およびその合併に分け、各型で優先使用すべき薬を指定している。これを日本式GLと呼称する。日本式GLには多くの問題がある。FMのサブグループ分けが行われているが、それらは患者から得たデータに基づき、痛みが強い群と弱い群、あるいは抑うつが強い群と弱い群の様なサググループ分けが行われている。しかしガイドラインのサググループ分けではそれが行われていない。また筋緊張亢進型、筋付着部炎型、うつ型ごとに優先使用すべき薬を指定しているが、指定した根拠のデータが示されていない。例えば、筋付着部炎型でプレドニンやサラゾスルファピリジンが推奨されているが、学術団体が出したFMの治療ガイドラインでプレドニン、サラゾスルファピリジン、NSAIDsを推奨しているのは世界中で日本のみである。炎症を合併しない限り、FMにグルココルチコイドを使用することは禁忌であるが、FMにグルココルチコイドが使用されてしまう根拠になる危険性がある。実は、筋付着部炎型とはFMのサブグループではなく、FMとは異なる疾患である筋付着部炎を合併したFM患者なのである。その患者に、プレドニンやサラゾスルファピリジンを使用しましょうという意味である。癌型(癌合併)FMに抗癌剤を使用しましょう、糖尿病型(糖尿病合併)FMにインシュリンを使用しましょうということと同じである。これでは読者に混乱を引き起こしてしまう。筋付着部炎型にはプレガバリンが推奨されているが、抗うつ薬が推奨されておらず混乱に拍車をかけている。癌型(癌合併)FM、糖尿病型(糖尿病合併)FM、筋付着部炎型の中でなぜ筋付着部炎型のみが取り上げられるのかの根拠が不明である。日本式GLから外して、筋付着部炎型を合併した場合にはプレドニン、サラゾスルファピリジン、NSAIDsを併用しましょうとすればよいのみである。うつ型では抗うつ薬が推奨されているが、これも混乱を引き起こす。うつ病を合併したFMでは抗うつ薬を優先使用すべきであるが、うつ病を合併しないFMでは抗うつ薬を優先使用すべきではないという誤解や、抗うつ薬の鎮痛効果は抗うつ効果によるものであるという誤解を引き起こしてしまう。抗うつ薬の鎮痛効果は抗うつ効果とは独立した直接の鎮痛効果である。つまり日本式GLは「わが国の線維筋痛症に対する薬物治療アルゴリズム」として有名であるが、臨床の現場に混乱を引き起こしている。『線維筋痛症診療ガイドライン2013』を詳細に読めば日本式GLには科学的根拠がないことはわかるが、それがわからない読者は少なくない。FMを認めない日本式医学は世界標準の医学からは乖離しているが、日本式GLを提唱する日本線維筋痛症学会も世界のFMの趨勢から乖離している。日本式GLを堅持するのであれば、科学的根拠に基づきFMを細分化し、各サブグループごとに優先使用する薬が存在するのであればその科学的根拠を提示すべきである。科学的根拠とは万人が閲覧できる論文、書籍である。

日本式GLをわが国のFMに対する薬物治療アルゴリズムとしてはならない。原則的には欧米から出ている薬物治療アルゴリズムと同一にすべきである。「原則的」と述べている理由の一つは、薬物治療アルゴリズムの基礎になる論文に日本語論文が加わること、あるいは日本でのみあるいはほぼ日本でのみ臨床的に使用されている薬の存在である。漢方薬、ノイロトロピン®、イブジラスト(ケタス®)などがそれに該当する。漢方薬は本家(中国)で行われている中医学とは似て非なる物である。

「原則的」と述べている二つ目の理由は薬物治療の優先順位である。欧米の薬物治療アルゴリズムはほとんど論文上の科学的根拠の強さに基づいて形成されている。その方法は公式であり、尊重されるべきである。しかし、その方法では論文と実臨床に乖離が起きている。論文上の科学的根拠の強さにはトリックがある。薬の有効性を示すためには多数の患者を用いた無作為振り分け、二重盲検法が必要である。それは研究に高額の費用が掛かることを意味する。その結果、製薬会社が研究費用を出す研究が多いことを意味する。日本でも騒がれたデータねつ造は論外であるが、製薬会社が研究費用を出した研究は製薬会社に有利に結果になりやすいという事実を否定できない。またNNTにも注意が必要である。NNT3とは3人に使用すれば1人でその薬が有効であることを意味する。しかし、NNTからは偽薬効果を除外しているのである。例えば実薬で50%の人に有効であり、偽薬で40%の人に有効な薬のNNT50%40%の差10%の逆数である10となる。つまりNNT上は10人に1人に有効であるが、実臨床では2人に1人で有効なのである。二重盲検法には興味深い事実がある。実薬が有効な割合は年代にかかわらず一定の傾向があるが、偽薬が有効な割合は年代が新しくなるほど多くなる。つまり古い薬、古い研究はNNTが小さくなりやすい。例えば神経障害性疼痛一般において、アミトリプチリンのNNT2に近いが、プレガバリンのNNTは約10である。しかし、実際に使用した経験では両者にはこれほどの差はない。つまり、有効性の検証には論文上の科学的根拠の強さのみならず、実際に使用した経験が必要である。

当然ながら、製薬会社は薬価が高く自社に利益をもたらす薬の治験は行うが、薬価が安い薬の治験は行わない。その典型がノルトリプチリンである。アミトリプリンが体内でノルトリプチリンに代謝されるため、当然ながらノルトリプチリンはアミトリプリンと類似の鎮痛効果がある。明確なデータはないが、一般的にはノルトリプチリンはアミトリプリンより鎮痛効果も副作用もやや弱いと推定されている。国際疼痛学会は、神経障害性疼痛の薬物治療における一般論としてアミトリプチリンよりノルトリプチリンを優先使用するように勧告している[2]。この点に関しても、実際に使用した経験が必要である。

実臨床で薬の有効性に影響する要因には、論文上の副作用、実際に経験した副作用も加わる。製薬会社の資金が提供された論文の副作用をそのまま信用してはならない。さらに、薬価、適用外処方の程度、日本独特の問題である一律の自動車運転禁止薬も実臨床で薬の有効性に影響する要因に含まれる。FMの治療成績を向上させようとすると適用外処方という規則違反を犯す必要がある。監査が入った場合、「うつ病」であれば言い逃れは可能であるが、「てんかん」や「慢性気管支炎」では言い逃れはできない。また、睡眠薬を含む向精神薬はパロキセチンなどのごくわずかの例外を除いて、例外なく自動車の運転が禁止されている。少なくとも米英の添付文書は、「安全性が確認されるまでは自動車の運転は禁止(つまり安全性が確認されれば自動車の運転は可能)」という主旨の記載である。添付文書の記載を守ると、日本の経済は破綻してしまう非現実的な規則であるが、裁判が起こればそれを遵守しなければ敗訴になってしまう。パトカーを運転する警察官でさえ守っていない規則である。

わが国の線維筋痛症に対する薬物治療アルゴリズムの原則は欧米の薬物治療アルゴリズムと同様の、論文上の有効性の強さの順番に基づいたアルゴリズムであるべきであり、それに日本独自の薬である漢方薬やノイロトロピン®などを追加すべきである。前述したようにそれは学問的には妥当であるが、実臨床とは乖離してしまう。戸田は論文上の有効性と副作用、実際に経験した有効性と副作用、薬価、適用外処方の程度、自動車運転の可否を総合して薬に優先順位をつけて、患者にかかわらずほぼ一律の治療を行なっており、治療成績も報告している[3]。戸田の方法は明確な根拠がなく学問的には妥当ではないが、実臨床には有用である。『線維筋痛症診療ガイドライン2013』がそれを推奨しているように[1]、薬物治療アルゴリズムの参考程度にはなると考えている。

引用文献

1. 日本線維筋痛症学会: 線維筋痛症診療ガイドライン2013. 2013, 東京: 日本医事新報社.

2. DworkinRH, O'Connor AB, Backonja M, Farrar JT, Finnerup NB, Jensen TS, Kalso EA,Loeser JD, Miaskowski C, Nurmikko TJ, Portenoy RK, Rice AS, Stacey BR, TreedeRD, Turk DC, Wallace MS: Pharmacologic management of neuropathic pain:evidence-based recommendations. Pain. 132(3). 237-251, 2007.

3. 戸田克広: 線維筋痛症の診断と20134月時点での治療方法線維筋痛症の治療は変形性関節症にも有効—. 2014; 電子書籍: http://p.booklog.jp/book/74033/read.



旧ガイドラインに病型分類試案(筋緊張亢進型、筋付着部炎型、うつ型およびその合併)が報告されているが、今回のガイドラインではエビデンスレベルが低いことが記載されている。「エビデンスレベルが低い」とはエビデンスは弱いながらも存在することを意味する。実はエビデンスは弱いのではなく、ないのである。この病型分類試案こそが線維筋痛症の治療を混乱させ、結果的には患者さんに不利益をもたらす有害な理論なのである。エキスパートの個人的意見を「エビデンスレベルが低い」と見なすのであれば、その他の章でもエキスパートの個人的意見を「エビデンスレベルが低い」と見なすべきである。余談になるが、エビデンスとは旧ガイドラインが出版された時には既に出版されていなければならない。

 この病型分類試案は、恐らく特定の個人が個人的推測が正しいに違ないと考え、その個人の推測の通りに治療すればよいと考えた個人的推測以外の何物でもない。抗うつ薬の鎮痛効果は抗うつ効果による間接的な鎮痛効果ではなく、直接の鎮痛効果であることは痛みの業界では常識であり、その根拠となる論文も出ている。痛みの専門家であれば「うつ型」に抗うつ薬を優先使用するという理論を提唱しない。総合すると病型分類試案(筋緊張亢進型、筋付着部炎型、うつ型およびその合併)を提唱した人は痛みの常識を知らず、周囲の人がそれを止めることができなかったのであろうと推定する。

病型分類試案(筋緊張亢進型、筋付着部炎型、うつ型およびその合併)にはエビデンスがないと明言するか否かが新しいガイドラインの信頼性の試金石になる。


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# by fibromyalgia11 | 2017-03-03 08:44 | FMの雑感

線維筋痛症ガイドライン2017:線維筋痛症の患者数の章は怪しい


CQ2-1患者数

 この章は私が担当した。ただし、私だけが担当したかどうかは不明である。私が日本線維筋痛症学会に送った内容は以下の通り。

 わが国のFMの患者数を調べることは実質的に不可能であるため、わが国におけるFMの有病率を調べた。

822日にPubMedで全フィールドでFibromyalgiaAND prevalence AND Japanを調べると16の論文が見つかった。その中でToda[1]Nakamura[2]の論文が見つかった。 

 811日医学中央雑誌で「線維筋痛症 and 有病率」を調べると43の論文が見つかった。 

松本らは大規模な疫学調査をしたようである。都市部でのFMの有病率は2.2%、地方部での有病率は1.2%で、全体として1.7%と報告している。本来であれば、その研究が最も信頼性が高いはずであるが、調査対象人数などの詳細が不明であり、有病率のみが公表されている。調査対象人数などの詳細が不明な論文を引用している状態である。調査対象人数の記載のない有病率の信頼性は低いと言わざるを得ない。また、2.2%1.2%の平均を日本の有病率と見なしてよいのかという問題もある。そのため、現時点では科学的信頼性は低いと言わざるを得ない。

Todaは日本の複数の医療機関の敷地内で就労する者を1990年基準を用いて調べ、女性343人中7人(2.04%)、男性196人中1人(0.51%)がFMであったと報告している[1]。この研究は地域住民ではなく就労者を対象にした有病率調査である。

Nakamuraらはインターネットを用いた疫学調査を行い、日本全国の都道府県の20歳以上の20,407人のうち425 (2.1%)2010年基準(日本語版)を満たしたと報告している[2]。本研究はNRSnumerical rating scale)が4以上の条件を入れたり、医師が患者に症状を確認するのではなく患者が症状を選択するなど、2010年基準に従っていない。2010年基準では多数の症状を医師が患者にインタビューする必要がある。また、FM以外の疾患が2010年基準を満たす場合にはFMとは診断できないが、インターネットによる調査であるため、その確認を行っていない。しかし、患者数が多く、詳細なデータがそろっているため日本におけるFMの有病率に関しては最も信頼性が高い報告である。

 Toda2005年までに報告された世界の地域住民におけるFMの有病率の一覧を報告しており[1]、それによると2%程度と推定される。

 これらのことを総合すると日本人におけるFMの有病率は2%前後と推定される。日本の人口を約12700万人と見なすと、FM患者の総数は約250万人と推定される。

引用文献

1. Toda K: The prevalence of fibromyalgiain Japanese workers. Scand J Rheumatol. 36(2). 140-144, 2007.

2. Nakamura I, NishiokaK, Usui C, Osada K, Ichibayashi H, Ishida M, Turk DC, Matsumoto Y: AnEpidemiological Internet Survey of Fibromyalgia and Chronic Pain in Japan.Arthritis Care Res (Hoboken). 66(7). 1093-1101, 2014.


厚生労働省研究班が行った有病率の研究では対象者の数が記載されていないことが問題であった。私は多くの論文を調べたが、対象者の数は記載されていなかった。このガイドラインで初めて8000人と記載されている。私が知らない論文に8000人と記載されている可能性は否定しない。そのため、8000人の根拠となる引用論文が必要なのである。このガイドラインでは個々の記載のどの部分の根拠がどの引用論文なのかが不明瞭である。もし、過去の論文に8000人の記載がなく、このガイドラインで初めて8000人という人数を入れることはガイドラインとしては許されないことである。厚生労働省研究班が行った有病率の研究には対象者の数が記載されていないためエビデンスレベルが低いと私が批判したため、その批判をかわすために8000人と記載したのではないことを祈るのみである。再度言うが、過去の論文で8000人という記載がないにもかかわらずこのガイドラインで初めて8000人という人数を入れたのであれば、このガイドラインのいい加減さを象徴してしまう。さらに言えばちょうど8000人なのであろうか。不自然である。また、8000人における男女比が記載されていない。

 Nakamuraらの研究では、診断基準に問題がある点を私は指摘したが、不都合なことを無視している。線維筋痛症学会の中心人物が共著者にいるため不都合なことは隠すのであろうか。

 厚生労働省研究の研究での有病率とNakamuraらの研究の有病率の差を対象者の差であると決めつけているが、診断基準の差かもしれない。

 私の論文では女性343人中7人(2.04%)、男性196人中1人(0.51%)がFMであったと報告している。これを(男女平均で)1.5%にしたことは暴挙である。どのような計算をすると1.5%になるのであろうか。



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# by fibromyalgia11 | 2017-03-03 07:18 | FMの雑感

線維筋痛症診療ガイドライン2017は大問題

線維筋痛症診療ガイドライン2017は大問題

 私は「線維筋痛症診療ガイドライン2017」の作成に加わった。19の章を担当した。この数は圧倒的に多くダントツの1位である。しかしこれは基礎資料を集めただけであり、最終判断をする委員になりたいと希望したが拒否された。

 今回日本線維筋痛症学会は「線維筋痛症診療ガイドライン2017」の試案を作成しそれを公表し、パブリックコメントを求めたが既に締め切られていた。当然ながら私に「線維筋痛症診療ガイドライン2017」の試案を作成しパブリックコメントを求めていることを知らせるべきであるが、19の章を担当した私には何の連絡もなかった。私がそれを知ったのは昨夜であった。私に問題点をつかれることを恐れたためかもしれない。

 前回のガイドラインよりは少し改善されたが、今回の「線維筋痛症診療ガイドライン2017」にも大きな問題がある。エビデンスに基づいた振りをしているため、問題はむしろ大きいかもしれない。今後順次具体的な問題点を報告する。

 日本線維筋痛症学会が作ったガイドラインの問題点は、特定の人間のエビデンスに基づかない個人的な意見にエビデンスがあるかのようなお墨付きを与えた点である。私は線維筋痛症のみならず神経障害性疼痛の英語論文を徹底的に読み、それを基に実際の診療を行っている。私はその問題点を特定の人間に、理事、評議員会でぶつけた。当然ながらその人は激怒して私は評議員の座を失った。正確に言えば、私の問題点指摘後に評議員という役職を廃止したため、自動的に評議員ではなくなった。特定の人間が作った問題点を、面と向かって批判する者は私だけである。このガイドラインにはエビデンスに基づいた正確な記述がある一方、エビデンスに基づかないがエビデンスがあるかのような記述が混在している。ほとんどの人はそれに気がつかないため危険なガイドラインである。何度も言うが、問題点に気がついている者は私以外にも少数いるが、それを公言している者は私のみである。このガイドラインは患者さんに不利益をもたらしてしまう。

 私を最終判断をする委員にしないことはある意味では妥当な判断である。これまでのガイドラインの問題点を懺悔しないと適切な「線維筋痛症診療ガイドライン2017」を作成できない。過去のガイドラインの問題点を曖昧にしてごまかしている。患者さんのために、次のガイドラインでは最終判断をする委員の一員にしていただきたい。

 今回の「線維筋痛症診療ガイドライン2017」の最大の問題点は、本文中で述べられた記載の根拠となるべき引用論文が不適切なことである。引用論文はあるが、本文中で述べられた記載のどの部分の根拠となる引用論文であるのかが不明な点である。これにより、いい加減な記載が許されることになる。個々の章の問題点は順次報告する。



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# by fibromyalgia11 | 2017-03-01 17:51 | FMの雑感

References

References:

1. Society forMaternal-Fetal Medicine Publications Committee. SMFM Statement: Prenatal Acetaminophen Use and Outcomes in Children. Am J ObstetGynecol. 2017 [Epub ahead of print].

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# by fibromyalgia11 | 2017-02-06 13:25 | アセトアミノフェン、NSAID
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