世界標準の医学とは
複合性局所疼痛症候群のアメリカの患者団体のパーティーに出席したことがあります。その団体の幹部(非医師)の知識量はものすごいものでした。それに参加している一般会員の知識も相当なものでした。英語という障壁がないという事実はありますが、彼らはPUBMedを読んでいるのです。
PubMedに採用されていない英語雑誌は格下と見なされます。インパクトファクター(Impact factor)という指標もあります。その雑誌に載った論文がその後引用される頻度を示す指標です。その数値が高いほど格上の雑誌と見なされます。インパクトファクターを持っていない雑誌も格下の雑誌と見なされます。インパクトファクターを持っており、PubMedにも掲載されている英語雑誌は少し格があると見なされます。一方のみを満たす雑誌もあります。
線維筋痛症の英語名であるfibromyalgiaをPubmedに入れると途方もない数の英語論文がのっています。「線維筋痛症は世界の常識である」という私の主張の根拠の一つはそれです。
私は少なくともPubMedにのった線維筋痛症の英語論文をすべて読んでいます。だからこそ、世界標準の線維筋痛症がいかなるものか知っています。日本でのみ通用する線維筋痛症を唱えていません。自分の考えが世界標準とは異なる場合には、その意見を英語論文にしています。何のデータもない個人的な意見を記載した英語論文が採用されることはデータのある論文が採用されることより困難です。私の意見は半分くらい採用になっています。その割合が高いのか低いのかは分かりません。線維筋痛症に限らず一般論として、自他共に専門家であるという医師が論文中でPubMedにのった重要な論文を引用していないことや、それを引用せずに講演をしていること、PubMedでは常識となっていることと異なる説を根拠もなく提唱しているがあります。講演を聞けば引用している論文の新しさ(あるいは古さ)で情報収集の程度が分かります。講演や論文において、過去2年間の論文の引用があまりにも少ないと、情報収集が十分ではないことが分かります。