日本の診断基準の問題点
The Japanese version of the 2010 American College of Rheumatology Preliminary Diagnostic Criteria for Fibromyalgia and the Fibromyalgia Symptom Scale: reliability and validity.
Usui C, Hatta K, Aratani S, Yagishita N, Nishioka K, Kanazawa T, Ito K, Yamano Y, Nakamura H, Nakajima T, Nishioka K.
Mod Rheumatol. 2011 May 10. [Epub ahead of print]に対する質問の論文です。
fibromyalgia symptom scaleはwidespread pain indexとsymptom severity scaleの和です。実は2010年の予備的診断基準にはfibromyalgia symptom scaleは記載されていません。fibromyalgia symptom scaleは2010年秋に報告されたabstractと2011年の診断基準には記載されています。2010年秋に報告されたabstractのwidespread pain indexは2011年の診断基準のwidespread pain indexと同一です。しかし2010年秋に報告されたabstractのsymptom severity scaleと2011年の診断基準のsymptom severity scaleは少し異なります。つまり、2010年秋に報告されたabstractのfibromyalgia symptom scaleと2011年の診断基準のfibromyalgia symptom scaleはは少し異なります。
臼井先生の論文の要旨は以下の通りです。「日本の論文は2011年の予備的診断基準においてfibromyalgia symptom scaleが10がFMと診断するカットオフポイントである。アメリカでは2010年秋に報告されたabstractにおいてfibromyalgia symptom scaleが13がFMと診断するカットオフポイントである。つまりアメリカでは13が線維筋痛症と診断するカットオフポイントであるが、日本では10が線維筋痛症と診断するカットオフポイントである。」そもそも2010年の予備的診断基準にはfibromyalgia symptom scaleの概念がありませんが、それを作り出しました。また2010年の予備的診断基準のfibromyalgia symptom scaleと2010年秋に報告されたabstractにおけるfibromyalgia symptom scaleは異なるため、それを比較することは混乱を招きます。臼井先生の論文にはそれらが同じであるとは記載されていませんが、そうであるという前提で論文が書かれているように思えてなりません。