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痛みはガマンじゃ治りませんーファイザー、エーザイの宣伝ー

 2012年2月広島県と福岡県で神経障害性疼痛のキャンペーンが行われています。テレビのコマーシャル、新聞の全面広告、新聞のチラシです。
 リリカの販売促進を狙ったものですが、神経障害性疼痛の概念が広がることはよいことと思います。
 新聞のチラシを見ると同意できない点がいくつかかあります。痛みを「けが・炎症・刺激による痛み」、「神経の痛み」、「心理的な原因による痛み」の三つの分けています。それぞれ侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛(神経因性疼痛)、心因性疼痛に該当します。心因性疼痛単独があるかのごとき表現には賛同できません。日本医学では心因性疼痛単独が存在します。しかし、世界標準の医学では心因性疼痛単独は存在しません。私は「心因性疼痛単独は存在しない」という英語論文を書き、某英語雑誌に投稿しました。それに対して、「あなたの意見にはほとんどの痛みの専門家は賛成するだろう。」という理由で不採用になりました。あまりにも当たり前すぎて雑誌に掲載する価値がないという意味です。今回のキャンペーンで神経障害性疼痛の概念が広がることはよいことですが、「心理的な原因による痛み」の概念が広がることにより痛めつけられる人が多数出てしまいます。
実は、ファイザーやエーザーが今回配布しているパンフレットでは痛みを、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、心因性疼痛の三つに分けています。この分類が広まることはまずいと思います。線維筋痛症は心因性疼痛にされてしまいがちだからです。テレビでの痛みの分類と、パンフレットでの痛みの分類が異なることはまずいと思います。
 神経障害性疼痛の代表疾患に、坐骨神経痛、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛が上げられています。これには注意が必要です。坐骨神経痛は症状の観点でつけれれた病名です。原因は何でもよいので坐骨神経領域の痛みを全て坐骨神経痛と言います。坐骨神経の支配領域すべてに痛みがあれば何も問題はありませんが、坐骨神経領域の一部のみが痛い場合は坐骨神経痛という場合と、そうとは言わない場合があります。一定の神経の支配する範囲に痛みがある状態をneuralgiaと言います。
 一方、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛には痛みの範囲の概念はありません。痛みの原因の観点から定義された病名です。つまりneuropathic painあるはneuropathyの概念です。糖尿病性神経障害はdiabetic neuropathyですが、帯状疱疹後神経痛はpostherpetic neuralgiaと言います。帯状疱疹後神経痛は痛みの範囲ではなく痛みの原因の観点で定義された用語なのでneuropathic painあるはneuropathyと言う用語を用いることが自然なのですが、neuralgiaという用語を用います。罹患した神経の支配領域に限定して痛みが起こるためにneuralgiaという用語が使用されたのかもしれません。いずれにせよ、痛みの範囲の観点で定義された用語と痛みの原因の観点で定義された用語を一緒に使用することは混乱を招きます。

by fibromyalgia11 | 2012-02-12 14:14 | 神経障害性疼痛
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世界標準の線維筋痛症を専門家が説明します


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