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14th World Congress on Pain

 2012年の国際疼痛学会(IASP)の学術集会(8月27日ー31日)がミラノで開催されました。線維筋痛症の診断基準は徐々に新基準に移行していますがまだ少数派です。新基準は2010年春に報告されたため研究開始がそれ以降でないと新基準を使用できません。
 今回の線維筋痛症の講演は皮膚などの末梢の異常を取り上げていました。脳の異常が原因の中心である事は皆知っているにもかかわらずそれを取り上げていました。期待はずれでした。
 線維筋痛症の一般演題(ポスター演題)が多数出ていました。脳画像の異常など線維筋痛症患者の症状を基礎的に研究した成果が多く報告されていました。最も重要な治療に関する演題はほとんど報告されましでした。催眠治療、ミルタザピン(レメロン、リフレックス)、エパデールの報告があるくらいでした。催眠治療は私には実行できません。ミルタザピンの対照群のない研究は既に報告されていますが、今回のタイの報告は二重盲検法でした。睡眠には有意に有効のようですが、痛みへの有効性には有意差がありませんでした。エパデールの報告は私の報告です。EPAとDHAの混合製剤が線維筋痛症に有効という報告は既にありますが世界でもほとんど使用されていません。エパデールはエステル化したEPAが98%以上の日本のみの製剤です。対照群のない研究です。
 線維筋痛症を治療している医師の報告が少なく残念でした。しかし、論文をたくさん出している一部の医師と様々な話をすることができました。その人たちはさすがにたくさんの論文を読んでいましたが、それ以外の多くの医師はあまり論文を読んでいません。それは話をすればすぐにわかります。

by fibromyalgia11 | 2012-09-03 21:26 | FMの雑感
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世界標準の線維筋痛症を専門家が説明します


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