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線維筋痛症外来をパンクさせないために、トラブルを起こさないために

 現在土曜日の午前午後は廣島クリニックで、火曜日と木曜日の午前中は福山リハビリテーション病院で診察をしている。
 廣島クリニックは整形外科のクリニックでフジグランという広島市の中心部の巨大モール(中規模モール?)の4階にある整形外科のクリニック。本院が別にあり、ここは分院。本院の医師が手分けして診療を担当している。土曜日は私のみが勤務している。特に土曜日の午後、診療をしている整形外科は少ないため、土曜日の午後に広島市およびその周辺で発生した整形外科的外傷患者がしばしば受診する。リハビリを中心にした整形外科のクリニックでありそこに私が専門にしている線維筋痛症およびその不完全型の患者さんが来院されている。多い日には全体で75人程度の外来患者さんが受診されている。線維筋痛症およびその不完全型の患者さんは多い日には20人強受診されている。線維筋痛症およびその不完全型の患者さんの中で広島市民は恐らく半数強。線維筋痛症およびその不完全型の患者さん以外の患者さんが多数を占めるため予約制ではない。待ち時間は10-20分程度。再診患者の診察時間は10-20分。予約制ではないため待ち期間は0(土曜日診察という待ち期間は除く)
 再診患者の場合、どのように早く診察しても平均すると1時間に8人が限度である。また使用する薬が確定するまではどのように遠方でも4週間に1回の診察が必要である。状態が悪い場合には2週間に1回の受診が必要であり、状態がさらに悪い場合には1週間に1回の受診が必要である。これを守らないと診察が荒くなり、その結果治療成績が悪くなる。
 福山リハビリテーション病院は官庁街の隣にある。病院の方針として外来を極力縮小しているが、特別に外来をしている。全員線維筋痛症およびその不完全型の患者さんであり、少ない日には2人程度、多い日でも6人程度。福山市民は1/3程度。予約制。待ち時間は10-20分程度。再診患者の診察時間は10-30分。待ち期間は1週間以内。
 私が最も恐れていることは外来がパンクすることと、トラブルが起きること。
 まずは外来がパンクしないための努力。東京や大阪の有名医師の外来はパンクしている。初診患者の待ち期間は3,4か月は当たり前。原則的に初診患者は診察せずコネがある患者のみを診察している医師もいる。予約制でも2時間待ちは当たり前。診察時間は10分以下。新患患者全員を引き受けると外来がパンクしてしまう。本当に治療を必要とする人に限定して治療をしている。そのために日々努力している。
 新患患者では、線維筋痛症ではない患者の方が線維筋痛症患者の約2倍いるが、全く同一の治療をしている。その由を書類に記載して、その書類を必ず読んでもらっている。線維筋痛症ではない患者さんの中には「線維筋痛症ではなければ治療を希望しない」という人が少なくない。私はその価値観を全く理解できないが、私の価値観を押し付けてはいない。また、線維筋痛症でもその不完全型でも治療の負の側面をすべて説明している。1:ほとんどの副作用は薬を中止すればなくなるが、眠気の副作用で転倒し骨折や脊髄損傷が起これば薬を中止しても副作用がなくなることはない。2:薬を使用すればごくわずかに死亡する確率が増える。3:適用外処方をすることが多く、その場合重篤な副作用が起きても本来もらえるはずの補償金はもらえない。4:2割程度の人は全く症状が軽減しない。特に死亡の危険性の説明により受診者が減っている。日本では治療の結果が悪ければ、逃亡や証拠隠滅の危険性がなくても逮捕されてしまう(大野病院事件)。私が逮捕されると、私自身、家族、線維筋痛症やその不完全型患者さんは非常につらい状況に追い込まれる。高血圧の場合、降圧剤を飲めば副作用で死亡する人よりも、降圧剤により寿命が延びる人の方が恐らく多いため、差し引きすると、「薬を使用すればごくわずかに死亡する確率が増える」と説明する必要はないと思う。しかし痛みの治療においては、寿命が延びることは少ないため、「薬を使用すればごくわずかに死亡する確率が増える」と説明する必要がある。実は多くの薬には死亡の可能性がある。ビタミン剤でさえ、不純物(重量比では不純物の方が多い)に対してアレルギーがあれば死亡の可能性は完全には否定できない。長期間大量摂取すると発癌性の危険性が増えるビタミン剤も存在する。「薬を使用すればごくわずかに死亡する確率が増える」を受け入れられなければ、多くの薬を飲むことができず、結果的には現在の医療を受けられなくなる。「薬を使用すればごくわずかに死亡する確率が増える」を受け入れられない価値観を私は理解できないが、私の価値観を他人には押しつけてはいない。死亡の危険性がある抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬、通常の鎮痛薬(NSAID)をすでに飲んでいながら、「薬を使用すればごくわずかに死亡する確率が増える」を受け入れられない価値観は全く理解できない。抗不安薬、睡眠薬を内服すると死亡率が増加することが統計学的に示されている。抗うつ薬、NSAIDでは時々死亡を引き起こすことが報告されている。「薬を使用すればごくわずかに死亡する確率が増える」を受け入れられない人が自動車にのる価値観も理解できない。自動車に乗ると交通事故死する危険性がごくわずかに増加する。それでも私の価値観を他人には押しつけてはいない。
 治療を希望しないが、「私はどこで治療を受けたらよいのでしょうか」という質問を私にする患者さんがいる。これには答えようがない。私は治療をすると言っている以上、その後の治療をどこで受けるのかは自分自身で判断していただきたい。
 意図したわけではないが、これらの説明により患者数は確実に減っている。それにより私を受診する人の待ち時間の短縮、診察時間の確保、新患患者の待ち期間の短縮に役立っている。
 また、意図したわけではないが、これらの説明によりトラブルを起こす患者の割合が減った。私の経験では複合性局所疼痛症候群患者より線維筋痛症およびその不完全型患者の方がトラブルを起こしやすい。整形外科医の間では複合性局所疼痛症候群患者はトラブルを起こしやすいとみなされている状況である。その上を行くのである。トラブルが医師以外の病院職員や病院そのものに向かうこともある。トラブルが頻発すると線維筋痛症の治療をやめるように病院から通告される危険性がある。それは何としても避けなければならない。
 初診時には問診は一切行っていない。病歴や現在の症状を紙に書いてもらっている。口頭で説明したい人がいるが、断っている。時間がかかり他の患者さんの診察時間を奪ってしまうからである。それに対して怒り帰ってしまう人もいるがやむを得ない。診察時間の確保が最優先。
 喫煙者には禁煙を厳しく指導している。喫煙のままでも治療はするが、現時点では喫煙を継続すると治療成績は極めて悪いためそれを説明している。喫煙者が受診した場合には最初の治療は禁煙である。「禁煙を完了して1か月して再診してください。喫煙のままでも治療はしますが現時点では治療成績は極めて悪い」と説明している。禁煙して再診する人はいるが、喫煙のまま再診する人はほとんどいない。この説明も結果的には患者数を減らしている。
 世の中にはモンスターと言われる人が一定の割合で必ずいる。自分の理論通り世の中が動いていると勘違いしており、いくら説明をしても聞き入れない。結局医師と患者が言いたいことを言いあっている状況になる。そのような人はいくら時間をかけても自説を引っ込めない。線維筋痛症患者さんにはモンスターの割合が一般人口におけるモンスターの割合よりも多いと感じている。正確にいえば、線維筋痛症患者さんが合併しやすい精神疾患にモンスターが多いと私は推定している。実際、線維筋痛症患者には様々な精神疾患が合併しやすいと報告されている。しかし、線維筋痛症という病名が目立つため「線維筋痛症にはモンスターが多い」ということになってしまう。私の経験をここで詳細に書くと個人批判になってしまうため詳細を書くことはできない。モンスターに対して譲歩するとその後の外来が大混乱する。できないことはできないと説明し、それを受け入れる患者さんのみが再診すればよいと考えている。患者さんとのトラブルは起きない方がよいが、回避できない人の場合には「その希望はかなえられない。あくまでその望みを主張するなら他の医療機関を受診していただきたい」と通告した方がよい。トラブル回避ができない場合には、早めにトラブルが起きた方がよいという考え方。

by fibromyalgia11 | 2015-08-22 23:27 | FMの雑感
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世界標準の線維筋痛症を専門家が説明します


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