カテゴリ:FMの雑感( 87 )


なぜ線維筋痛症は日本では認められないのか

 人間は、自分に不都合なことは認めないという習性があります。「神国日本が鬼X米英に負けるはずがない。」、「原子力発電所が地震や津波で破壊されるはずがない。」などがそれに該当すると思います。線維筋痛症を認めない医師は「心が弱い」、「気にしすぎ」、「気のせい」、「線維筋痛症と診断することは逃げである」、「精神がおかしい」、「支払いはいらないから、二度と来ないでほしい。」などと診断あるいは発言することがあります。その場合、自分自身がしてきたことを懺悔する必要があります。またNSAIDsを処方して効かなければ精神科へ紹介すればよかったのですが、線維筋痛症を認めると新たな勉強をする必要があります。
 つまり、歳をとるほど、医師として出世するほど線維筋痛症を認めることが困難になります。
 2011年8月6日にNHKが特集を放送しました。陸軍特殊情報部はテニアン島に12,13機の爆撃機の部隊があり、特殊な任務についていることを知っていました。原爆を広島に投下したB29 がテニアン島から飛んだことをつかみました。陸軍特殊情報部(の人)はそれをつかんだことにより表彰されました。そしてテニアン島から新たにB29が飛んだことを8月9日長崎に原爆が投下される5時間前に知っていました。すなわち原爆が再び投下される可能性が高いことを陸軍特殊情報部は知っていました。それは陸軍上層部に伝えられました。しかし、防衛部隊(紫電改の部隊)には出撃命令が出ませんでした。原爆が搭載された可能性の高いB29であれば、全機が体当たりをしてでもそのB29を撃ち落としたと思います。陸軍上層部は防衛部隊にそれを伝えませんでした。「・・・・のはずはない。」と考えたのでしょうか。これほど重要な情報は最優先で届くと思うのですが。
 今回の地震、津波は想定外であったという者がいます。しかし、今回の地震の大きさは今世紀で起こった地震の中で最大ではありません。貞観地震では内陸部まで津波が届いています。原発が安全といった者はそれらを意図的に無視していました。
 人間は自分に都合の悪いことは、認めたがりません。あるいは軽く考えたがります。線維筋痛症を認めない医師は陸軍上層部や原発は絶対に安全と言った者に思えてなりません。
 ただし、これは日本人にのみ該当するわけではありません。外国でも同じはずです。その理由を私は次の様に考えています。
1:日本語という言語の問題
 先進国の母国語は英語あるいは英語に類似の西ヨーロッパの言語です。そのため世界医学の共通言語である英語論文が出ると多くの医師が英語論文を読みます。しかし、日本人医師は英語論文をあまり読みません。Pubmedという医師であれば誰でも知っている英語論文のサイトがあります。そこにfibromyalgiaと入れると途方もない数の英語論文が見つかります。しかもPain、New England Journal of Medicine、JAMAなどの一流英語雑誌にごく普通に線維筋痛症の論文が掲載されています。「線維筋痛症は存在そのものが怪しい」と思っている人はぜひそれらの論文を読むべきです。線維筋痛症の英語論文を書いている日本人以外の先進国の多くの医師はばか者なのでしょうか。Pain、New England Journal of Medicine、JAMAなどの一流英語雑誌は馬鹿たれが書いた雑誌なのでしょうか。
2:先輩を批判できない日本の医学界
 日本の医師の世界では先輩を批判することはご法度です。少なくともアメリカでは先輩に対する批判が日本よりは自由に出来ます。ノーベル賞を受賞した学者の講演を、聴衆(大学生を含む)が評価しています。線維筋痛症は高齢者の医師ほど認めたがりません。そのため日本では線維筋痛症が認められにくいと思います。
3:日本の医療制度の問題
 日本の医療費は安すぎます。そして国民皆保険です。崩れかけてはいますが国民皆保険です。人口が5000万人以上の国では私が知る限り、最も優れた医療制度です。3時間待ちの3分診療ではないかという不満をお持ちの方、5000万人以上の国で日本より優れた医療制度を持った国があればお知らせ下さい。私は日本とアメリカの医療制度しか知りません。日本では3時間3分で診療が終了します。しかも日本のすべての医療機関を受診できます。アメリカでは医療機関の予約を取ることが困難です。アメリカでは大きく分けてHMOとPPOの二つの保険制度があります。HMOでは救急など特別の理由がない限り、指定された医師の紹介状がない限り他の医療機関を受診できません。PPOではそのグループと契約している医師を自由に受診できます。HMOではまず指定された医師を受診する必要がありますが、1週間以上かかることもあります。紹介状を書いてもらってもすぐには次の医師を受診できません。PPOではこれよりは早く受診できますが、それでも1週間以上かかることもあります。その代わり待ち時間は日本ほどではありません。診察時間も長めです。待ち時間を30分、診察時間を30分としましょう。日本では3時間3分で診察が終了ですが、アメリカでは1週間と1時間かかります。
 日本の医療費は安いのです。そのため、大勢の患者が医療機関に押し寄せます。そして薄利多診察をしないと医療機関はつぶれます。
 線維筋痛症の診察には時間がかかります。日本の医療制度では医療機関は赤字になることがあります。同じ時間で多数の患者を診察した方が儲かるのです。医療で儲けを論じることは日本ではタブーとされています。しかし、口に出すかどうかは別として、儲けを度外視して医療は成立しません。特に開業医はそれに敏感です。日本の制度では、線維筋痛症の診療をすると赤字になりやすいのです。
 ではどのようにして線維筋痛症において医療機関は儲けを出すのでしょうか。一つの方法は自費診療です。もう一つは過剰な検査です。
 日本の医療制度では、線維筋痛症を診療すると赤字になりやすいのです。国家の財政が破綻しそうな状況では、これを解決することは困難です。

 
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by fibromyalgia11 | 2011-06-29 19:00 | FMの雑感

腰痛症患者中28%が慢性広範痛症

 女性慢性腰痛症患者120人中28% (n=37)がwidespread pain (WP)を合併。腰痛症患者のうちWPを合併した患者の方が疼痛が強く、その他の臨床症状も有意に強い。
Prevalence and Characteristics of Widespread Pain in Female Primary Health Care Patients With Chronic Low Back Pain.
Nordeman L, Gunnarsson R, Mannerkorpi K.
Clin J Pain. 2011 Jun 14. [Epub ahead of print]

 
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by fibromyalgia11 | 2011-06-18 09:41 | FMの雑感

医師の方へ

以下のサイトには医師向けの内容が記載されています。

http://www.carenet.com/cncontents/primary/fms/
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by fibromyalgia11 | 2011-06-18 00:04 | FMの雑感

慢性広範痛症、慢性局所痛症は世界の常識

 慢性広範痛症(chronic widespread pain: CWP)と慢性局所痛症(chronic regional pan: CRP)は世界では常識ですが、日本ではほとんど知られていません。腰痛症や肩こりから、CRP、ついでCWPを経由して線維筋痛症になります。この間は通常10-20年かかります。線維筋痛症の概念がやっと日本に取り入れられたばかりです。CRPやCWPの概念はほとんど知られていません。実はCRPとCWPの日本語訳は存在しません。日本語の医学用語集には掲載されていません。私が個人的に慢性広範痛症、慢性局所痛症と翻訳して使用しているに過ぎません。また、日本語の医学論文や医学書で慢性広範痛症、慢性局所痛症という用語を用いている者は私が知る限り私のみです。
 日本では知られていないCRPやCWPですが、世界では常識です。正確に言えば、線維筋痛症の業界では常識です。線維筋痛症の有病率は約2%、線維筋痛症を含むCWPの有病率は約10%、CRPの有病率はCWPのそれの1-2倍です。つまり、線維筋痛症のグレーゾーンの有病率は少なくとも20%です。この途方もない有病率を持つ疾患がごっそり日本医学から抜けていたのです。
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by fibromyalgia11 | 2011-06-17 23:52 | FMの雑感

県に圧力をかけましょう

 日本線維筋痛症学会のホームページには線維筋痛症を診る医療機関が掲載されていますが、線維筋痛症を診る医療機関がない県がいくつかあります。
 居住している県に線維筋痛症を診る医療機関がない場合、県の医療相談窓口に問い合わせましょう。①線維筋津症を診る医療機関を県が知っていることがあります。②県民から頻繁に線維筋痛症を診る医療機関を訪ねられると、県は何らかの対応をせざるを得なくなる可能性が高まります。
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by fibromyalgia11 | 2011-06-17 19:27 | FMの雑感

腰痛、肩こりから線維筋痛症へ


 線維筋痛症は独立した疾患ではありません。通常、肩こりや腰痛からグレーゾーンを経由して線維筋痛症が発生します。身体の5か所に痛みが3か月以上持続し、18か所の圧痛点のうち11か所以上に圧痛があれば、他にいかなる疾患があっても自動的に線維筋痛症が存在します。身体の5か所に痛みが3か月以上持続するが、圧痛点の数が10以下の場合はchronic widespread pain(慢性広範痛症)といいます。これは狭義の慢性広範痛症ですが、広義の慢性広範痛症は線維筋痛症を含みます。「身体の5か所に痛みが3か月以上持続する」という基準を満たさないが肩こりのみや腰痛のみより痛みの範囲が広い状態を通常chronic regional pain(慢性局所痛症)と言います。論文により線維筋痛症が慢性広範痛症に含まれていたり、含まれていなかったりするため、広義の慢性広範痛症と狭義の慢性広範痛症と表現しました。この基準は1990年の線維筋痛症の分類基準に記載されているchronic widespread painの基準です。これ以外の慢性広範痛症の基準も存在しますが、この基準の使用頻度が圧倒的に多いのです。他の疾患で症状が説明できる場合には通常、慢性広範痛症や慢性局所痛症とは診断されません。慢性広範痛症と慢性局所痛症の境界は明瞭ですが、慢性局所痛症と肩こりのみ、腰痛のみとの境界は不明瞭です。通常、肩こりや腰痛から慢性局所痛症、そして慢性広範痛症、最後に線維筋痛症になるので当然といえば当然です。
 線維筋痛症の有病率は先進国では約2%と報告されています。線維筋痛症を含む慢性広範痛症の有病率は約10%です。慢性局所痛症の有病率は慢性広範痛症の有病率の1-2倍です。慢性局所痛症から慢性広範痛症、線維筋痛症に進展するに従い症状が強くなります。線維筋痛症を治療している世界の医療機関では通常慢性広範痛症に対しては線維筋痛症と同じ治療が行われています。慢性局所痛症に対しても恐らく線維筋痛症と同じ治療が行われていると考えています。慢性局所痛症や慢性広範痛症に線維筋痛症の治療を行えば、有意差はありませんが線維筋痛症以上の治療性成績を得る事が出来ます。つまり、人口の少なくとも2割は線維筋痛症あるいはそのグレーゾーンであり、その人々に線維筋痛症の治療が有効です。もちろんグレーゾーンの人々全員が医療を必要としているわけではありません。また慢性局所痛症や慢性広範痛症の有病率の中には関節リウマチなどの疾患が含まれている可能性がありますが、人口の少なくとも2割という膨大な有病率の前では誤差範囲と考えています。
 線維筋痛症、慢性広範痛症、慢性局所痛症に同じ治療を行うのであれば、通常の臨床においてはそれらを区別する意義はありません。しかし、学会で発表する場合や論文を書く場合にその区別は必要です。圧痛点の数が0の患者さんを線維筋痛症と見なしたのでは治療方法の優劣の比較が出来ません。しかし、日本では圧痛点が10なので線維筋痛症ではない、そのため治療方法がないと宣告される場合が少なくありません。線維筋痛症の治療を行っている医療機関でもこのような事が起きています。線維筋痛症でなければ、線維筋痛症の治療を受けないという患者さんもいます。
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by fibromyalgia11 | 2011-02-26 20:18 | FMの雑感

線維筋痛症の位置づけ

 線維筋痛症には炎症所見がありません。つまりCRPや赤沈には異常がありません。また、現時点では抗原抗体反応が起こっている事は示されていません。そのため線維筋痛症は膠原病でも、リウマチ性疾患でもありません。線維筋痛症は慢性痛です。なぞこのような事をいうのか。それは治療の違いです。膠原病やリウマチ性疾患であれば非ステロイド性抗炎症薬(ボルタレンやロキソニンなど)やステロイドが有効です。慢性痛には抗うつ薬、ノイロトロピン、ガバペン、リリカなどが有効です。線維筋痛症には非ステロイド性抗炎症薬やステロイドは通常、無効です。ステロイドは無効なばかりか副作用の頻度が多いため有害です。偽薬(効果も副作用も通常ない薬)とステロイドを二重盲検法(患者も医師も本物の薬か偽薬かわからない研究)で調べると、有意差はないがステロイドを使用した患者では治療成績が悪かったという報告があります。ステロイドが有効である別の病気を合併している場合にはステロイドが有効です。この場合、ステロイドは線維筋痛症に有効なのではなく、線維筋痛症とは異なる別の病気に有効なのです。
 線維筋痛症の原因は不明ですが脳の機能の何らかの異常であるという説が定説になっています。Central sensitivity syndrome(中枢性過敏症候群)という一群の疾患(症候群)があります。何らかの原因により脳にcentral sencitization(中枢神経の過敏化)がおこりそれにより発生した一群の疾患です。これにはうつ病、不安障害、線維筋痛症、慢性疲労症候群、むずむず脚症候群などが含まれます。その他にも多くの疾患が含まれます。Functional somatic syndrome(機能性身体身体症候群)という用語が用いられています。機能性身体身体症候群に含まれる病気と中枢性過敏症候群に含まれる疾患はほぼ同じです。機能性身体身体症候群は検査で異常がないにもかかわらず、様々な症状を呈する疾患を意味します。この名称はなんとなく、症状は気のせいであるという考えを連想させてしまいます。疾患の原因の観点から中枢性過敏症候群の方が望ましい名称であると思います。線維筋痛症は中枢性過敏症候群の典型的な疾患なのです。

 現時点では線維筋痛症に関する本の中で世界標準の線維筋痛症の記載が最も多い本は「線維筋痛症がわかる本」(主婦の友社)と思います。
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by fibromyalgia11 | 2011-02-26 19:40 | FMの雑感
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世界標準の線維筋痛症を専門家が説明します


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