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線維筋痛症やそのグレーゾーンと診断すべきか、身体表現性障害と診断すべきか

 線維筋痛症(FM)あるいはそのグレーゾーンの慢性広範痛症(CWP)や慢性局所痛症(CRP)と言う症候群があります。一方、身体表現性障害(身体化障害、疼痛性障害)という疾患があります。FMを認める医師は前者と診断し、精神科医は後者と診断します。実はFMという概念を決める際には精神科医は恐らく参加していません。同様に身体表現性障害(身体化障害、疼痛性障害)という概念を決める際には痛みを専門にする医師は恐らく参加していません。実におかしなことです。胃がんに関して内科医と外科医の診断が全く異なるようなものです。
 現在作成中のDSM-Vから身体表現性障害(身体化障害、疼痛性障害)はなくなる予定です。だから、身体表現性障害(身体化障害、疼痛性障害)と診断すべきではなく、FM,CWP,CRPと診断すべきというつもりはありません。
 異なる医学理論が衝突した場合にはどうすればよいのでしょうか。簡単です。治療成績が優れた理論が正しいのです。FM、CWP、CRPの治療成績は報告されています。私の報告です。現在、最新の治療成績を集計中です。身体表現性障害(身体化障害、疼痛性障害)の治療成績は私が調べた範囲ではわかりませんでした。しかし、FMの診断基準を満たす患者に対してはFMの治療をした方が身体表現性障害(身体化障害、疼痛性障害)の治療をした方がほぼ間違いなくよいであろうと推測されます。FMに有効な治療方法やそのエビデンスレベルと身体表現性障害(身体化障害、疼痛性障害)に有効な治療方法やそのエビデンスレベルを比べると、圧倒的にFMに有効な治療方法が多いのです。身体表現性障害(身体化障害、疼痛性障害)と診断されるとSSRIが主に使用されます。SSRIの鎮痛効果は弱いのです。最近では「リリカが痛みには有効らしい」という噂により身体表現性障害(身体化障害、疼痛性障害)と診断したまま、リリカを使用する医師がいます。それでは治療成績はあまり改善しません。リリカはFM、CWP、CRPに有効ですがFMに有効な治療の一部にしか過ぎません。その程度の治療方法ではFMの治療にはかないません。リリカを使用するのであれば身体表現性障害(身体化障害、疼痛性障害)と診断せず、FM、CWP、CRPと診断すればよいと思うのですが。
 医学理論はどうでもよいのです。治療成績がよい医学理論が正しいのです。医学とはそういう学問です。ほぼ間違いなく身体表現性障害(身体化障害、疼痛性障害)と診断せず、FM、CWP、CRPと診断すれば治療成績はよくなります。それが答えです。

by fibromyalgia11 | 2012-01-22 17:59 | FMの診断

2010年と2011年の線維筋痛症の予備的診断基準の意義

 2010年に予備的診断基準、2011年にそれを一部修正した予備的診断基準が出されました。1990年の分類基準の筆頭著者であるWilfe医師が二つの予備的診断基準の筆頭著であり、二つの予備的診断基準の著者はほぼ同じです。私はletter to the editorを出しそれに対してWolfe医師が回答しました。
 2010年の基準は臨床用の基準でありアメリカリウマチ学会(ACR)が認めています。一方、2011年の基準は研究用の基準であり、ACRは認めていません。1990年の基準は廃止ではありません。どちらを使用しても構わないのです。
 2010年の基準、2011年の基準の両方に「症状を説明する他の疾患が存在すれば線維筋痛症と診断しない。」という条件が含まれています。1990年の基準では、その基準を満たせばいかなる疾患が存在しても線維筋痛症と診断できていました。私は症状を説明する他の疾患が存在すれば線維筋痛症と診断しない。」という条件を削除するように求めましたが、拒否されました。Wolfeのグループは血液検査をしない範囲で「症状を説明する他の疾患が存在すれば線維筋痛症と診断しない。」を行っている研究を報告しています。「症状を説明する他の疾患が存在すれば線維筋痛症と診断しない。」のであれば通常の血液検査を行うべきと私は考えています。例えば、関節リウマチ患者さんが2011年の基準を満たす場合、関節リウマチのみを罹患しているのでしょうか、それとも関節リウマチと線維筋痛症の両方を合併しているのでしょうか。私にはわかりません。
 日本では心因性疼痛単独や身体表現性障害が存在すると考える医師が多数派です。線維筋痛症を認めない医師は心因性疼痛や身体表現性障害と診断します。心因性疼痛や身体表現性障害と診断したから、「症状を説明する他の疾患が存在すれば線維筋痛症と診断しない。」という規定に従い、線維筋痛症とは診断しないという主張をする恐れがあります。DSM-Vから身体表現性障害はなくなる予定ですが、それに変わる病名を主張する医師が日本には現れると思います。
 また、線維筋痛症の臨床診断にはどのような存在意義があるのでしょうか。線維筋痛症のグレーゾーンであるchronic widespread pain(慢性広範痛症:CWP)やchronic regional pain(慢性局所痛症:CRP)にも通常、線維筋痛症と同じ治療を行っています。同じ治療を行うのであれば線維筋痛症とCWP/CRPを区別する意義はどれほどあるのでしょうか。
 ただし、今後世界の医師はどの診断基準を使用するのかはわかりません。ACRが認めようがどうかは関係なく、多数の医師が使用すればそれが標準的な診断基準になります。

 

by fibromyalgia11 | 2012-01-22 10:03 | FMの診断

個々の患者さんで有効な薬物は異なる、それを見つける方法

 線維筋痛症に限らず、全ての慢性痛を引き起こす疾患において、各患者さんで有効な薬は異なります。そのため、各患者さんごとに異なる薬物を使用する必要があります。しかし、それを言うことは簡単ですが、実行することは至難の業です。
 個々の患者さんに有効な薬を前もって知ることができればよいのですが、現時点の医学レベルではそれはわかりません。drug challenge testというほぼ日本でのみ行われている方法はほぼ無力です。それは別のところで述べたいと思います。
 例えば、線維筋痛症でsubtypeに分けて、subtypeごとに治療薬物を分ける方法が一部で提唱されています。subtypeごとに治療薬物を分ける方法以前に、subtype分類が統一されていません。報告により全くsubtypeが異なっています。当然ながらsubtypeごとに治療薬物を分ける方法には現時点では科学的根拠がありません。
 私は、線維筋痛症であろうが、そのグレーゾーンであろうが全く同じ治療を行っています。各薬物の有効性のエビデンスレベルを知った上で、一律に優先順位を決めています(「線維筋痛症がわかる本」参照)。一つの薬を使用し、不十分な鎮痛効果が得られれば、次の薬を追加しています。上限量を使用しても無効な場合や、副作用に耐えられなくなれば中止しています。この方法により、各患者への投薬は自動的に異なります。
 もちろん、痛みの強さ、自動車をどの程度運転するのか、経済的裕福さ、年齢により薬の優先順位は多少変更されます。

by fibromyalgia11 | 2012-01-22 00:23 | FMの薬物治療総論

炎症や免疫のむずむず脚症候群への関与(仮説)

小腸細菌異常増殖small intestinal bacterial overgrowth (SIBO)。54の疾患、症候群。、状態はRLSの原因になるかそれを悪化させると報告されている。そのうち38は対照群よりも高率と報告されており、9つは適切な患者数であり一般的にRLS-関連の状態として認めれれており、7つは症例報告として報告されている。47の RLS-関連の状態のうち42 (89%)は炎症 and/or 免疫の変化と関連がある。さらに43% は末梢の鉄欠乏に関連あり、40%は末梢性neuropathyと関連があり、32%は小腸細菌異常増殖と関連あり。残った状態の大部分はこれらの因子として研究されている。RLSと高度に密接な関連のある38の状態の95%は炎症/免疫変化と関連があると言う事実はRLSはこれらの機序により介在されるあるいは影響される可能性を示唆する。炎症は鉄欠乏の原因かも知れず、中枢性神経系の鉄欠乏がRLSを引き起こすかもしれない。あるいは胃腸の細菌やたの抗原に対する免疫反応が中枢神経系や末梢神経系への直接の免疫的攻撃によりRLSを引き起こすのかもしれない。

Restless legs syndrome - Theoretical roles of inflammatory and immune mechanisms.
Weinstock LB, Walters AS, Paueksakon P.
Sleep Med Rev. 2012 Jan 16. [Epub ahead of print]

by fibromyalgia11 | 2012-01-21 19:53 | むずむず脚症候群

療養病棟から非ステロイド抗炎症薬を追放しよう

 非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS)には消化管出血という恐ろしい副作用があります。死亡する人も少なくありません。私は療養病棟に勤務しています。療養病棟から鎮痛目的のNSAIDSをほぼ追放することができました。ただし、解熱目的や脳梗塞予防目的の使用は除外します。
 NSAIDSを使用しない基本はカロナールの使用です。NSAIDSとカロナールを使用し、NSAIDSの方が鎮痛効果が強い場合のみにNSAIDSを使用するようにしています。入院時にNSAIDSを飲んでいる場合には通常2日以内に(多くは入院時に)カロナールに変更しています。NSAIDS内服時とカロナール内服時の痛みを比較し、NSAIDS内服時の痛みが軽い場合のみ、NSAIDS内服を継続します。これによりほとんどのNSAIDSを中止可能です。
 神経障害性疼痛の場合には、NSAIDSではなく、神経障害性疼痛に有効な鎮痛薬すなわち線維筋痛症に有効な鎮痛薬を使用しています。
 

by fibromyalgia11 | 2012-01-20 23:49 | その他の疼痛

抗うつ薬が2型糖尿病を引き起こす

方法: the Texas Medicaid prescription claims のデータベースを用いた。2002年1月1日から 2009年12月31日までに新たに抗鬱薬 (exposed) 又はbenzodiazepines (unexposed) を処方された人からのデータ。18-64歳の糖尿病の機能のない人をこのコホートに含める。2型糖尿病が発生したかどうか。結果:調査対象の人 (N=44,715)のうち, 大部分は抗うつ薬(exposed) (N=35,552) vs. benzodiazepines (unexposed )(N=9,163)群. 2型糖尿病の2943 casesと11,748人のマッチさせた対照 (1:4)で計算。Cases aとcontrolsを年齢、性別でマッチさせた。Benzodiazepine使用と比較して抗うつ薬使用は2型糖尿病の危険性増加に関連がある[Adjusted Odds Ratio (OR)=1.512; 95% CI 1.345-1.700]。 その危険性はSNRI (OR=1.742; 95% CI 1.472-2.060), TCA(OR=1.533; 95% CI 1.295-1.814), SSRI (OR=1.457; 95% CI 1.279-1.659), その他の抗うつ薬 (OR=1.318; 95% CI 1.129-1.540).

Int J Clin Pharm. 2012 Jan 18. [Epub ahead of print]
Use of antidepressants and the risk of type 2 diabetes mellitus: a nested case-control study.
Khoza S, Barner JC, Bohman TM, Rascati K, Lawson K, Wilson JP.
Department of Clinical Pharmacology, College of Health Sciences, University of Zimbabwe, PO Box A 178, Avondale, Harare, Zimbabwe, skhoza53@gmail.com

by fibromyalgia11 | 2012-01-20 17:54 | 抗うつ薬

CRPS-2患者の末梢神経のプロテオーム解析

札幌医大、整形外科。傷害された末梢神経の切断されたサンプルを3人の CRPS-2患者から得た。外傷や神経障害性疼痛の既往のない新鮮な死体から得た腓腹神経を対照とした。プロテオーム解析によると、CRPSと対照の神経に現れたたんぱく質の数と機能的分配は同様。 興味深いことに、メタロチオネイン(金属結合性タンパク質)はCRPS-2の傷害された神経にはないが、対照群には容易に見つけることができる。ウエスタンブロット法によりCRPS-2の神経にはメタロチオネインはなく、CRPS患者5人中5人と有痛性神経腫患者2人中 2人で傷害された神経内のメタロチオネイン発現がないことを免疫組織化学は裏付けた。新鮮死体からの5つの腓腹神経を含むすべての対照の神経と手術的に切除した腫瘍から得た41の神経にはメタロチオネインが発現した。さらに、Schwann細胞の標識としてのS100の発現と軸索の標識としてのneurofilament MはCRPS-2患者と対照で同程度。メタロチオネインは外傷や中枢神経が障害された後の続発性の変性の防御を多分巻き込んでいる亜鉛結合のたんぱく質である。CRPS-2患者の傷害された末梢神経にこれがないことは傷害された末梢神経内に痛みを引き起こすことに病因的役割があることを示唆する。

Metallothionein deficiency in the injured peripheral nerves of complex regional pain syndrome as revealed by proteomics.
Oki G, Wada T, Iba K, Aiki H, Sasaki K, Imai SI, Sohma H, Matsumoto K, Yamaguchi M, Fujimiya M, Yamashita T, Kokai Y.
Pain. 2012 Jan 14. [Epub ahead of print]

 基礎系の論文であり、よくわかりません。途中からCRPS患者の人数が変更になったり、神経腫が途中からでたり、この要約のみではよくわかりません。

by fibromyalgia11 | 2012-01-19 22:22 | 複合性局所疼痛症候群

口腔顔面痛の有病率、喫煙との関連

オーストラリアで2004年から2006年まで、18-91歳の3,954人からAdult Oral HealthのNational Survey からデータを得た。 TMD-関連の口腔顔面痛症状は7つのスクリーニングのアンケートで評価された。結果: TMD-関連の口腔顔面痛症状の有病率はオーストラリア成人の10.1. 男性より女性のほうが有病率が高く、年齢とは逆相関、苦悩や現在の喫煙とは正の相関。年齢と苦悩の逆相関は男性より女性でより顕著(P value for interaction = .005). 補正した二元ロジスティック回帰分析によると年齢、喫煙、苦悩は症状と正の相関。男性においてのみA sense of controlは was protective against TMD-関連の口腔顔面痛症状を防ぐ (P value for interaction = .040).

Gender modifies effect of perceived stress on orofacial pain symptoms: national survey of adult oral health.
Sanders AE, Slade GD.
J Orofac Pain. 2011 Fall;25(4):317-26.

by fibromyalgia11 | 2012-01-19 21:01 | 口腔顔面痛、舌痛症

薬で副作用がでた時の対応

 薬により副作用がでた場合の対応には注意が必要です。患者さんの対応②注意が必要という意味です。副作用が我慢できる場合には我慢する必要があります。しかし、副作用を我慢できない場合には薬を中止あるいは減量する必要があります。鎮痛効果が全くなければ完全に薬を中止すべきです。鎮痛効果がある場合には、我慢できる程度の副作用になるまで減量すべきであり、完全中止は望ましくありません。ただし、我慢できる程度の副作用となると、鎮痛効果があまりにも弱い場合には完全中止せざるを得ません。最適な投与量は効果と副作用のバランスで患者さん自身が決める必要があります。
 しかし、全く鎮痛効果がない量まで薬を減らして飲み続ける患者さんがいます。逆に、逆に我慢できない副作用がでたら、一気に中止する患者さんもいます。それが正しくない事は前もって説明していますが、実行されないことがしばしばあります。

by fibromyalgia11 | 2012-01-19 20:16 | FMの薬物治療総論

線維筋痛症と乾癬性関節炎の鑑別

・266人の乾癬性関節炎PsA患者 (平均年齢51.7歳; 平均罹病期間10.2年) と120人の FM患者 (平均年齢50.2歳; 平均罹病期間5.6年). 単変量解析によりFM患者は平均圧痛点点数(圧痛点の数?)と腱・靱帯付着部炎点数が高く、身体症状が多く、NSAIDに反応しにくい。多変量解析によりMultivariate analysis showed that the presence of ≥ 6 FMに関連した症状6つ以上と圧痛点の数8つ以上が最もFMを予測する。

Identification of the Clinical Features Distinguishing Psoriatic Arthritis and Fibromyalgia.
Marchesoni A, Atzeni F, Spadaro A, Lubrano E, Provenzano G, Cauli A, Olivieri I, Melchiorre D, Salvarani C, Scarpa R, Sarzi-Puttini P, Montepaone M, Porru G, D'Angelo S, Catanoso M, Costa L, Manara M, Varisco V, Rotunno L, De Lucia O, De Marco G.
J Rheumatol. 2012 Jan 15. [Epub ahead of print]

by fibromyalgia11 | 2012-01-19 00:50 | FMの診断
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世界標準の線維筋痛症を専門家が説明します


by fibromyalgia11
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